2月7日 山本幸雄
今日は、昼から山本さんのところへ来て、アルバイトをしていた。タブレットを触らながら、出荷具合や野菜や果物を確認していた。
山本「どうや、最近は?」
俺 「いや、大変ですよ」
山本は、畑を手入れしながら話し出した。朝晴れていた天気は、徐々に曇ってき始めた。
山本「何が大変なんだ?」
俺 「なんか、いろいろめんどくさくてね」
山本「まだ、若いんだからめんどくさがらずにしろよ」
俺のめんどくさいという発言が気になった様子だ。こういう時、山本さんは深くツッコンでくる。
俺 「そうなんですけどね」
山本「そういえば、アイツは元気にしとるか?」
俺 「アイツ、、、、、、?」
アイツ?誰だろう?頭の中で考え出した。ここに今、バイトできてるやつはいないしな、、、、。
山本「誰だっけな。サッカーしとるやつだ」
俺 「ああ。旭ですね?」
旭かぁ。そう言えば、最近までよくここでバイトしていたな。
山本「そうだ」
嬉しそうに返事をした。
俺 「頑張ってるみたいですよ。今度、決勝あるんで見てくださいよ」
山本「決勝?」
山本さんは、何も知らない様子だった。
俺 「はい。県大会で決勝まで進んでるんですよ」
山本「へぇー。すごいやんけ。レギュラーでてとるんか?」
俺 「そうらしいです」
一度はサッカーから離れた旭だったが、再び戻っていった。今やチームの中心だった。準決勝でも、決勝ゴールを決めたことを教えてくれた。
山本「たいしたもんや。俺も見ようかな」
俺 「ぜひ、見てください」
あの時は、旭も失意のどん底だった。ただ、ここでバイトしていた期間が少しずつ回復に向かうのだった。
山本「いつ、あるんや?」
俺 「明後日です」
山本「そうか。お前はなんかやらんのか?」
この言葉は、待っていなかったな。
俺 「俺は、旭ほどの才能はないんで無理っすね」
山本「才能ねぇ。そんなもんねぇよな」
山本は、キャベツの成長具合を入念にチェックしていた。
俺 「ないですね。俺には、、、」
山本「なんの才能がほしいかもわかんないしな」
俺に合わせながら返事をしてくれるこの人は、やっぱり凄かった。
俺 「卒業したら、どうするかとかあるのか?」
山本「いや、全くないですよ」
卒業かぁ。あんまり、考えたことがなかったな。




