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1月29日 大怪我

 俺の手からボールが抜けた視線を眺めていた。俺は、北條傑。大学2年生。今は、バイトをしながら、遊びにあけくれていた。今日は、高校の友だちである大田たちとボウリング場に来ていた。

 小学校、中学校は、地元の八代市で過ごした。幼なじみの喜早旭、親友の谷口隼人とは、ずっと遊んでいた記憶がある。あの頃の俺は、怖いもの知らずで、何か気になったらなんでもしてしまう好奇心旺盛な子どもだった。中学校3年生の時に2学年の下の篠木七海と付き合いはじめたり彼女と出会ったのは、俺が小学校6年生の時。たしか、俺がリレーを走る準備をしていると、彼女は、とても不安そうにしていた。彼女たちは、先にリレーを走ることになっていたが、ずっと下を向きながら、お腹を抑えていた。"そんな不安だったら、俺が走ろか?"。俺の何気ない一言が彼女に火をつけてしまった。彼女は、俺の方を睨みつけて、「そんなことない」とだけ言い返してきた。その後の彼女は、まるで別人かのような人になって圧巻させた。前に3人いる状態でバトンが回ってきた彼女だったが、その3人全てを抜いて一番にゴールテープを切ったのだ。

 そこから、時は流れ中学生の頃、彼女から告白されたのだ。篠木とは、今まで別れずずっと付き合っている。今は、高校3年生で受験勉強の真っ最中だ。中学生の時は、旭、大和たちとノリで出場者した全国中学駅伝で、まさかの6位入賞を果たし、そこから、俺の人生は大きく変わった。当時の俺は、なんとなく陸上をしていたが、全国駅伝を走ってから陸上にのめり込むようになった。いろんな高校の陸上部からスカウトがかかり、俺の進路も様々な選択肢があった。だが、どこも県外で、本当にやっていける自信は、全くなかった。だから、比較的近い、江陵高校に進んだのだ。高校でも、陸上を続け、高校3年の時は、全国陸上大会1万メートルで、2位になることができた。そして、中学校の時同様、多くの大学からスカウトがくることになった。

 当時は、旭が進学予定の城南大学に俺も行く予定だった。しかし、この時が、俺のピークだった。俺が、全国6位になった1ヶ月後の11月、近隣の奴らとケンカをしてしまう。そこで、運悪く右膝靭帯損傷の大怪我になり、スポーツ推薦も全て白紙に戻ってしまったのだ。結局、1年浪人にして、近くの広台大学に入学したのだった。

 時々、あの怪我がなければ変わっていたのだろうと何度も思い出す。やりきれない気持ちが少しずつ大きくなってきているのが、伝わってきた。

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