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羽山麻由美という少女

ノリと勢いで書いたこんな話が見たいシリーズ

私、西村秋穂!花の高校一年生!

と、少し昔の少女漫画のような始まり方をしたがそんな可愛らしい人間ではないことを初めに言っておこう。


本日4月17日、入学式から数日経ち授業が本格的に始まろうかと言う時期だ。

そろそろ友人やらグループやらが固まり始めた頃だろうか。そんな私は同中(同じ中学出身)がクラスに1人もおらず、一から友人を作ることになり大変苦労した。

なんとか近い学校だった子達と話せるようにはなったものの、まだなんとなく距離がある。

まあこればかりは仕方ない、3年もあればそれなりにはなるだろうとどこか達観していた。


そう、この時はまだ思いもしなかったのだ。

私に嫉妬の目が向けられていることに。



気づいたのはそれから更に1週間後、同中だった島田修弥と話していた時だった。

視界の端に何やら茶髪がチラついていたのだ。


「どした?」


『……君彼女っていたっけ?』


「嫌味か?」


『……あっ、ごっめーん!腹黒修弥くんに彼女とかできるわけないよねー!』


「おー、嫌味言うのはいいけどでけえ声出してんなよ潰すぞ?」


『おーこわこわ、何を潰す「お前のその学習能力皆無な頭をだよ」


ガッと片手で頭を掴まれる。その瞬間茶髪がすごい視界の端で揺れた。めっちゃ動揺してる。

さて彼女じゃないならあれファン?ストーカー?にしてはお粗末……。


『いててててて、本気で握るな握力ゴリラ!』


「安心しろよ、まだ3割だ」


『何も安心できないけど!?』


ともかく本人が気にしてないみたいだしいいかと茶髪については何も言わずにその場を後にした。

それからと言うものアイツがいない時でも私のそばに現れるようになった。

流石にその頃にはクラス全体が彼女の存在に気づいていた。


「秋穂ちゃん、アレいいの?」


仲良くなり始めた子と弁当を共にしてると、そう問われた。彼女の目線の先、教室の入り口にはあの茶髪が昼食と思われるパンを齧りながらこちらを見ていた。

他クラスの子も何事かと時々彼女を気にしながらも関わらないように去っていく。


『んー、今のところ害はないからいいでしょ』


「秋穂ちゃんがいいならいいけど……

それにしてもよく飽きないよね、羽山さん」


『んー、そうねー』


茶髪こと羽山麻由美はこの数日ずっと私に付き纏っている。隣のクラスであるせいか、教室に入ってきたりはしない。

まあだからと言って入り口で張られても困るけど。

おかしいな、島田のことが好きだと思ったんだけど、違ったか?

ともかく本人から接触がない限りは基本放置しようと決めた、その翌週。


「なんでこうなるのぉ……?」


校舎裏にある小さな池で、ずぶ濡れの彼女が泣いていた。

その遥か後方には私の数ⅠAの教科書とノートが少しだけ砂が被った状態で落ちている。


ことの起こりは10分ほど前。トイレに行って戻ってくると教科書とノートが消えていた。

無意識でしまったかと思っているとクラスメイトに声をかけられる。


「ごめん西村さん!羽山さんが持ってっちゃった!」


どう言うことかと詳しく聞けば、私がトイレに行った隙に彼女がダッシュで私の教科書とノートを奪っていったと。

唐突な出来事に皆動けず、一番早く反応した子が追いかけたものの見失ったらしい。


「もしかして今まで見たたのって西村のルーティーン探るため?」


「ていうかドロボーじゃん!先生に……『あー、大丈夫

とりあえずお昼終わって帰らなかったら先生にその説明しといて』


そうクラスメイトに告げ、とりあえず逃げた方向だけ教えてもらいその後を追う。

彼女のことだ、どうせ逃げるならこの時間人通りの少ない裏庭だろう。

そして行ってみると案の定、わざわざ外履きに履き替えたのか2階の廊下からのぞけばちょうどやってきたところだった。


手元には私のノートと教科書。近くには小さな池。

やりたいことがわかってしまい、私は思わずため息をついた。そして、携帯のカメラを起動し録画を始める。


さっさと投げ捨てればいいものの、何を迷ってるのか振り上げようとしては止め、またあたりを見渡す

警戒?とは違う、それならもうとっくに教科書は池の中だろう

池の淵の石の上に足をかけ、彼女がノートを振りかぶった瞬間、突風が吹いた。

ぐらりと体が傾きそのまま彼女は池に足を滑らせた。

驚いたのは反射なのだろうか、振りかぶったノートを守るように池とは反対の方に投げ捨てた。

結果濡れたのは彼女のみである。


「なんでぇ……?」


なんでも何もない、ノートを投げ込むだけならもっと後ろからで良かったんだ。

それにノートを投げずそのまま一緒に飛び込めば目的は達成されたろうに。


『ばっかだなぁ』


録画を止めて階段を降りていく。きっと今の私はとても気持ちの悪い笑みを浮かべているだろう。


一階の窓を乗り越えて彼女の下へ向かう。道中教科書を拾い砂を払えば絶望したようにこちらを向かれた。


「あ、あの……っ『羽山さんってばおっちゃめー!間違って私の教科書もってくなんてー!』


わざとらしく言って手を差し出せば躊躇われた後に手を取り引っ張り上げられる。

このまま引きずり込めばいいのに、ホント馬鹿だなぁなんて思いながら彼女に笑いかける。


『落ちちゃったの?風邪ひいたら大変だから保健室行きなねー?』


「う、うん……ありがとう」


それだけ告げて再び窓から室内へ。上履きに土がついてると怒られるので窓から靴だけ出して払っておいた。


教室に戻ればクラスメイトに心配された。しかし無事だったから大丈夫だと告げればとりあえず安心された。


「どうする?先生に言っとく?」


『んーん、大丈夫

むしろこれからも言わないでほしいかな』


そう言って廊下を見れば、保健室でジャージを借りたと思われる羽山さんがそそくさと通り過ぎていった。

あの様子からすると素直に自分で池に落ちたと申告したのだろう。


『あーほんと、バカワイイ』

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