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ヒロインちゃん?!
何事もない、夏の朝。
今は7月。もうすぐ来る夏休みをクラスのみんなは今か、今か、と待ちわびている。
そんな朝。
我らが1年A組担任 バカ殿(頭が禿げている)こと、田中先生が入ってきて、転校生を紹介するとかなんとか言ってきた。
入ってきたのは、肩まである黒髪。ぱっちりまん丸お目目。いかにも『ヒロインです!』的な女の子。
なーんだ。
最後の攻略者、不和千春くんが来たのかと思って期待してしまった私は、予想以上にガッカリしていた。
『あの言葉』を聞くまでは。
転校生は、那月 昴と言うらしい。
全くの初耳な名前。そんな人ゲームに出たっけ?って言うレベル。特に関わる必要も無いからほっておこうとしたら、
バカ殿が「草野ぉ〜案内してやれ〜」とかなんとかいってきやがった。
仕方ないから案内することになった。
学校内を案内してても完璧にクールな、
ヒロイン(仮)ちゃん。
うえええん、どうしようーなんてのは、思うはずがなく、むしろ私は、「楽だな。」なんて感じていた。
でも、ヒロインちゃん(仮)は、トンデモ爆弾をかましてきたのだ。
「すごっ、やっぱ、ゲームの世界…?」
と。