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 クリスは幼馴染です。クリストファーといって商会の跡取りですよ。

 オッジ商会といって王都にあるのですよ。茶色の髪に瞳は平均的な色彩です。顔は普通です多分。

 私は7歳の時から王都で暮らしています。それまではこの辺境におりました。

 

 クリスは私が幼い時から色々と経済の勉強などを手伝ってくれましたよ。

 そのための先生役としておじい様に声をかけられてずっと家庭教師をしてくれていました。

 いやあ有る出来事があるまで私が一応跡取りでして……。

 帝王学?とやらも叩きこまれましたが。実はお父様の隠し子が見つかり私は跡取りの座を追われたのです。


 うう……泣いてみました。いえその当時は泣きました。

 お母様は怒り狂い、お父様と離縁するといったのですが……。

 引き取った弟はいい子で、お母様が折れる形になりました。

 3歳年下で今14歳です。エロ本を隠して読むような子ですがいい子ですよ?

 過ちは誰にでもあるものです。

 それに弟のお母様は死んでしまっていて誰も引き取る人がいないので心優しいお母様が折れたのです。


 まあ弟はいい子でしたし、私は跡取りレースから外れてほっとしました。

 大好きな本をずっと読めますし、司書の勉強ができることになりましたしね!

 まあ王太子の婚約者になったことだけが私の想定外でした。


 修羅場を体験しているのでちょっとしたことくらいでは驚きません。

 だがあの時と少し雰囲気が今似てますね? とても寒いです。


「クリストファーさんですか、私はジュニアス、司書さんとは幼馴染です」


「ああ俺もそうです。クリスと呼んでください」


 先ほどまでおい全く図書館の利用者がふえてないじゃないかなどとタメ口を聞いていたのにクリス、なぜかですますになってますよ。

 

「アルジェ、ジュニアスさんは王太子と同じ位綺麗な……」


「あれの話題は出さないでくださいです」


「あれっておいアルジェ」


「……うふふふふふふ」


「悪かった」


 ナルさんのことは思い出したくありません。風の噂によるとクリスティーナさんとうまくやっているようでよかったよかったですよ。

 しかしクリストファーって少し名前が似てますね。

 まあクリスなんてよくある名前ですから。

 銀の髪をかきあげてにこりと笑うジュニアスさん。

 ふうむ人型を取ることもありますって本に書いてましたが、ドラゴンさんというものはずっとドラゴンさんで、小型化するのは小回りがきくからですが人型はあまり取らないって聞いてましたよ。

 なぜか? さてわかりませんが……昔何かあったらしいです。

 まあ禁止はされてません、だから人型ドラゴンさんは王都にもたまに遊びに来てました。


「アルジェよかったな、王太子と上手くいかなくなってもこんな綺麗な……」


「綺麗とかいわないでくださいですよ」


「それも駄目か?」


「王太子殿が……いえやめましょうです」


「ア……じゃない司書さん、クリスさんとのご関係は?」


「友達ですよ」


 私が即答すると嬉しそうに笑うジュニアスさん、銀の竜って珍しいから人型できたんですかね? だって昔は商人さんがドラゴン狩りなんて力を入れてたこともあったらしいですから……。

 警戒するにこしたことはありません。

 なんて納得していると、そうですかと私が入れた紅茶を嬉しそうにジュニアスさんは飲み干しました。


「今日はここにとめてくれよアルジェ」


「別にいいですけど……」


「宿代がこれで浮いたぜ!」


 ふっ地がでてますよクリス、私がちらっとジュニアスさんを見ると、あれカップが揺れてます? あうぱりんとカップが割れてしまいました。


「お前安物のカップ買うなよ」


「買ったところですよあれ、安物でもありません」


「……すぐ割れたぞ」


「まあそういうこともあるでしょう」


 ジュニアスさんに火傷はしていないか尋ねるとひきつった顔で大丈夫と答えてくれましたよ。

 火傷はしてないようですが、私がカップを片づけているとじいっとクリスの顔を見ていました。

 むう、なぜでしょう、ジュニアスさんが最近おかしいです。

 クリスのことをぽろっと言ってからですが、ティンカさん曰く「あんた鈍い」と一言でした。

 よくわかりませんが……取りあえず泊めるのはやぶさかではありませんので承諾しましたが……。

 

 なぜかジュニアスさんも泊ると言いだし、二人も泊めることになってしまいました。

 司書としての仕事を気にしないと駄目ですが、今は株の運用益のほうが気になる次第です。

 どうも最近王都の経済が微妙に悪くなってきているようなのですよ。

 なら図書の購入費用も削らないとだめなのです。それはできたら避けたい事でした。

 逆ハーレムがどうとか王太子妃候補がどうとか……クリスから聞きましたが、王家がかなりもめていりらしいです。


「逆ハーレムってなんですか?」


「俺も知らないが、親父曰く男好きってことらしいぜ」


「はあ」


「王家も大変だな、色々と揉めてるらしい」


「まあ……私は図書館のほうが大事ですがね」


 ジュニアスさんが男好きですかあとのほほんと笑ってましたが、じいっとやはりクリスを見ています。

 夜が更けていきますが、しかし……うーんティンカさんを呼びたい気分です。

 なぜか空気が冷たかったのですよ。

 この地方は平和ですが、王都はきな臭い動きがありましたから家族が心配です。

 まあまあ上手くやっているようですが……。


 ベッドを用意しましたが、一応私は妙齢の女の子です。

 だがしかし……もう令嬢でもありませんしいいですか、開きなおって私は埃だらけの客室を掃除したのでした。

 



 

 

 

 


 

 

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