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図書館をどうして利用してくれないのか? アンケートの結果です。

1.山の上が不便すぎる 50

2.行くのが面倒くさい 60

3.どうしてあんなところにあるの? 58

4.その他       52


 村人は500人以上はおられますが、暇じゃないと言われてアンケートを拒否されました。

 これは私の失敗です。訪問時間は夜にしておくべきでした。

 夕方なのは駄目駄目です。


 しかしどうしたって山の上だからという意見しかありません。

 後は欲しい本がないという意見もありましたが、農具の本などを入れれば? という貴重なご意見はりがたいです。

 識字率はぶっちぎりでここは高いのですから、ニーズにさえこた……。


「あんなところに図書館を建てた馬鹿の馬鹿公爵令嬢ってのはお前か?」


 馬鹿とは失礼です! 私を見るのは村男Aでした。

 こちらを睨みつける彼は年齢は私位です。


「馬鹿ではありません」


「馬鹿以外にあんなところに図書館たてるやつはいないだろう!」


 私の祖父は辺境に住まう人でここの領主のはずです。

 しかし私は幼いころからここで育ちましたので、皆ある意味遠慮はありません。

 しかしこの村男Aはみたことがないお顔でした。


「数年いないうちに新顔が入りましたね……」


「俺はここに10年以上住んでいるぞ!」


「ふーむ、10年いないと顔ぶれは変わるものですね。変わらないものはないと誰かが言われてましたが……」


「10年いなかったら顔ぶれもある程度いれかわるに決まっている!」


 ふむこれは正論というやつですか? 顔を真っ赤にして怒る村男Aを必死で止めている村長。

 あ、村長はアンケートに答えてくれましたよ。


「すみませんアルジェ様、これはわたしの孫でオークレイといいますじゃ、嫁にいったうちの娘がオークレイを連れて……」


「余計なこというなじじい!」


 はい、そういえばそんな話あったようななかったような? 出戻りとか何とかこうとか……。

 私はあまりそういうことは興味がなくて右から左をしてしまったのですが……。


「あらあらまあまあ、そういえば……幼い頃遊んでくれたミルカお姉さんとなんとなく似てますわ」


「おい馬鹿令嬢!」


「馬鹿ではありませんわ、アルジェという名前がありますもの」


 名前はアルジェと通称でよんでもらっています。

 だがしかし……この男の子、オークレイさんですか? 


「馬鹿ではありません。アルジェという名前が……」


「馬鹿だろう? あの辺境伯グロウズ様のお孫さんと聞いたのに……」


「一応私はこちらの領主の孫ではありますが今は普通の人ですよ」


この村は一応人数は多いんですよ。人外の人を入れれば1000人はいますよ。精霊さんとか精霊さんとか妖精さんとか……。

 私はふっと夕暮れの空を見ます。はあとても綺麗ですね。

 王太子殿が美しい、しかし僕の方がもっと美しいとうっとりと鏡を見ていたことを思い出します。

 夕暮れを見ても朝焼けを見ても、夜会で美しいお嬢さんを見ても鏡をじっと見て同じ台詞を言っていたきもいお人でした。

 そうですね変態さんナルシストですか?


「お前な、アンケートとか馬鹿言ってないで、お嬢様のお遊びはやめて王都に帰れよ!」


「帰れませんよ、だって私は追放されましたから」


「お前な!」


「お前じゃありませんアルジェですよ」


 空の上をドラゴンさん達が飛んでいます。あれは銀の竜さんですよ。かわいいですね。

 ジュニアスさんもいます。

 弟さんたちは大きくなりましたね。20人以上弟さんたちがいると聞きましたがだれがどれだか私にはわかりません。

 ジュニアスさんと名前で一度読んだら何やらぱにっくっておられたので、名前呼びはやめました。

 ふーむでドラゴンさんとお呼びしたら微妙な顔をされてましたが……。

 名前呼びをしてみる時期でしょうか?ドラゴンさんは沢山いるのでドラゴンさん呼びは失礼ですね。


「司書さん、どうされました? オークが失礼な事でも?」


 ジュニアスさんがひと……一匹ですか? 数え方はこれでいいんですかね? 降りてきてこちらに来られました。目がいいですねえ。

 あう、なぜ人型になるのでしょう? 銀髪碧眼の美青年というやつです。

 たまにそんな感じで変身してくれましたが今日はどういう心境でしょうか?


「いいえオークさんに馬鹿と言われただけですよ」


「馬鹿……」


 ジュニアスさんはオークさんとは知り合いのようです。オークと呼ぶなとすっごくオークさんは怒ってます。なら私のこと馬鹿と呼ぶのはやめてほしいものですね。

 青い顔でオークさんを見るジュニアスさん。


「馬鹿とは女性に失礼ですよオーク」


「馬鹿令嬢って本当のことだろジュニアス!お前こいつの図書館とやらに行っているそうだが、よくあんな山の上に行けるな!」


 ふむ二人は顔見知り。そりゃそうですね。この村からすぐ近くにジュニアスさん兄弟は住んでます。

 しかし美青年ですね。私一応そういうのはわかりますよ。

 王太子殿は金髪青い目の美青年とやらだったのですが、また違う感じの綺麗な人です。

 にらみ合う二人、どうしましょう。私のせいですかこれ? おろおろする村長です。

 

「司書さん、どうして村まで?」


「需要と供給とニーズのアンケートにまいりました」


「え?」


「ジュニアスさん、そうですね」


 名前を呼んだ途端、美青年ドラゴンは焦ります。

 ああ名前をよんではいけない人でした。

 十年たってもかわりませんね。

 ふーむどうしましょう。焦って顔を真っ赤にするジュニアスさん、怒るオークさん。

 暮れなずむ村で私はさてどうしましょうと途方に暮れるしかありませんでしたよ。

 


 



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