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「むう……」


「お前どんぶりすぎ」


「はう……」


「あーあ、こことかさぁ」


「うむです」


 全てをチェックをしたクリスですが、ため息をともにおてあげと両手をあげましたです。

 目録は特にノーチェックでした。

 一応経済や経営も学びましたが、図書館経営はずぶの素人ですからね私。

 

「こことか無駄だろ」


「お掃除道具を買っただけなのです」


「高すぎるだろお前これ……」


「そうなのですか?」


「モップに100Gなんて普通の10倍だろぼけ!」


「はあ」


 どうもぼられたようなのですよ。クリスに頼りすぎかなと思ったので独自で購入したのですが、どうも駄目だったようです。

 ちりとりもモップも箒も相場の10倍以上で買わされていたようです。


「本の金額は適正なのにどうしてお前……」


「交渉しましたのですよ!」


「本の値段をか!」


「本ではありません! 最初は値切りましたがね」


「お前馬鹿か!」


 本というものは定価以下は普通あり得ないとか言うクリスです。

 しかし例外はあるのですよ。


「図書館で購入する図書に関してはサービスという例外があるのです!」


「サービス?」


「値段を安くというよりブッカ―をつけてもらったり、分類番号を書くラベルをつけてもらったりなのですね」


「そういうことか」


 商人といえども本の事はクリスは素人なのです。だからなるほどと納得してくれました。

 ブッカ―は今回駄目でしたがラベルはおまけしてもらえたのです。

 おまけということはサービスでしてもらえるのでこのあたりを交渉し、購入費用を安く抑えているのですよ。


「それはまあ俺は口出しはしない、取りあえず買ったものは仕方ないから、これから購入する備品については俺がこれから仲介する」


「お願い致します」


「後はそうだな」


 今日は休館にしました。どうせ来る人はティンカさんと村長とジュニアスさんくらいですからねえ。

 ティンカさんは多分今日はきませんですよ。妖精王の夜会があるっていってましたから暫くこれないわって3日前に聞いたです。

 村長は1週間に1度しかこないのですよ。

 持病の腰痛があるので山道はつらいってことです。



「この辺りを改善して、後は移動図書館なんてどうだ?」


「でも移動手段はありませんよ。それ考えましたが私、馬には乗れないです。馬車は山道だから無理ですよ」


「雇えばいいだろ人を、それくらいは必要経費だ。商人のつてがあるから出来るだけ安く人を雇えるように見積をださせるからさ」


 村や町を回る商人さん達がいます。彼らは馬に荷物をのせたり、荷馬車などで商品をのせてます。

 そういう手段で本をのせて、後はアンケートをとって必要な本だけを村や町に貸出したらいいと提案してくれたのです。

 それは考え付きませんでしたよ。移動図書館は考えましたが馬がないから駄目って思ってましたです。


「こんなもんだな。改革ってもんじゃねえが思いつくのはこれくらいしか俺は今はない。後はあるこてゃあるが金が足りねぇ」


「いえいえありがたいです。早速試してみるですよ」


 持つべきものは商人の知り合いです。いえお友達なのです! 移動図書館はアンケートでどんな本が借りたいかを聞けばできますです。

 これは前にとったアンケートが役に立ちます。

 早速試してみようと私は紙の束を取り出しました。


「しかし、お前のじい様、全然ここに来ないのか珍しいな。いつも孫娘のことを口出しして……」


「口出しするなと念を押したですよ」


「なんでだ?」


「じじの七光は嫌でしたからね」


「そうか……」


 この辺りをすべる領主はおじい様です。その力を借りれば図書館に人は呼べたでしょう。

 それをしたくなかったので口出しするなと言ったのですよ。

 おじい様はわかったといってくれたです。中々苦労しましたですがね。

 孫娘命というおじい様はすごく口出ししてくるのですよ。


「相変わらずアーカンジェルとは仲悪いのかじい様?」


「アークと仲悪いのですよ」


「しかしアーカンジェル・アーカンジェルって名前どうにかならんかお前の弟……ややこしいぞ」


「センスの問題なのですよ多分、でも亡くなられた方ですからあまり言えないのです」


「そっか」


 亡き弟のお母様はお妾さんではなく、あまり突っ込みたくありませんが……お父様が手をだした町娘さんでした。

 お父様もやりますねえ。

 そして彼女がつけた息子の名前がアーカンジェル、うちの姓もアーカンジェル。

 はうはう、改名させるわけにもいかずアーカンジェル・レオン・アーカンジェルにしましたがね。

 レオンというのはうちのお父様の愛称です。レオニードと本当はいいますです。


「アークのことは口にしませんねおじい様」


「さすがになあ、娘の離婚の危機を作ったきっかけだもんな」


「仲良くはしてほしいのですがね」


「難しいだろうなぁ」


 溝は埋まりません。どうしてもアークとおじい様は仲悪いのです。 

 平民の子とかそういうのではないのですよ。差別はしてません。他の人はそんなこと言いますが……。


「おじい様はお母様が大好きですから」


「そうだな、上手くいけばいいけどな……」


 アークと仲良くしてほしいなとは思います。だけどおじい様はお母様が心を病む寸前にまでなったきっかけのアークを嫌ってます。

 年月が解決してくれますかねえ?

 アークは本当にいい子なのですよ。


「じい様の力は借りないと、わかった後は宣伝だな」


「宣伝ってやりましたですよ」


「だからさ人を選んで宣伝するんだ。本を借りそうな層にアピールとかさ」


「はあ?」


「子供が小さい母親、後は農具などの本を借りたい村人もいるだろ? 動物に関する本なら狩人とか、識字率はここ高いんだからそういうアピールをだな」

 

「なるほどです」


 目から鱗ですよ。あのように若いお嬢さん達相手ならうまくいきませんですね。ファッションや料理関係の本より美青年目当てなのですから。


「お若いお嬢さんならお料理やおしゃれ関係などですね」


「そうだ。その辺りをアンケートをとってアピールして移動図書館で運ぶ。そして少しずつアピールして寄付がくるようになったら移動手段を増やすんだよ」


「え?」


「移動魔法は割高だがないわけではない、後は馬だよ馬、俺は歩いて来たから大変だったけどな……」


「さすがクリスです!」


「将来的にってことだよ。今は移動図書館がメインに考えようぜ」


「はいです!」


 将来の展望が見えてきたのですよ。私はクリスの提案をメモしながら、できることからはじめようと考えていました。

 クリスは生き生きしています。こういう時は元気ですね。さすが商人さんですよ。

 すると扉が開いてジュニアスさんが入ってきました。休みの札はさげておきましたが……。

 ジュニアスさんだからいいですかね。


「アルジェお姉ちゃん久しぶり」


「アルジェお姉ちゃんだ!」


「アルジェお姉ちゃん!」


 小さな銀髪碧眼の男の子たちがワラワラと現れました。はう、弟さん達ですね。

 7人ほどいます。誰が誰だかわかりませんごめんなさいです。

 私にまとわりつく弟さん達、弟達が来たいというので連れてきましたとにこにこと笑いながらジュニアスさんは言います。

 

「はい大歓迎です!」


「お、ジュニアスさんの弟たちか? 俺はクリス、アルジェの友達だ」


「クリスお兄ちゃん? 僕はジーン」


「クリスお兄ちゃんよろしく、僕はジゼル」


「クリスお兄ちゃん」


 ワラワラと自己紹介する7人の男の子さん達、クリスは子供好きですから嬉しそうに笑って頭を撫でたり抱っこしたりしてます。

 年齢は5歳から7歳位までおチビさんたちです。


「上の弟さん達はどうしましたです?」


「留守番ですよ。下の弟達だけ連れてきました」


 にこっと笑うジュニアスさんがちょっと怖いです。壮絶な笑顔といいますか……。

 弟さん達の相手をするクリスをちらっと見て、またにこにことジュニアスさんが笑ったのですよ。

 あーう、この笑顔ちょっと苦手なのです。

 ふうと私がため息をつくと、弟さん達がワラワラと来て御本を読んでと甘えてきます。

 私は頷き、図書館の中に入ります。

 しかしどうもジュニアスさんがクリスを見る目がなぜかちょっと怖かったのでした。

 




 

 

 

 

 

 

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