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「アルジェリーク・アーカンジェル。婚約を破棄……」
「ありがとうございます」
私はアルジェリーク、一応公爵令嬢でした。
私は王太子の婚約者として10年間生きてきて、窮屈な思いをしてきました。
なのでこの展開はとても嬉しいものだったりします。
宰相が読み上げた罪状はみにおぼえがないものばかりでした。
だけど私は否定することなく断罪されることになったのです。
私は公爵令嬢、死刑になることはないはずです。幽閉位ならまあ数年すごせばいいかと軽い気持ちでいました。
王太子を好いていなかったからです。合法的に破棄できるのならよかったのです。
領地を没収される。爵位を没収される。連座などはないように手を打ってきました。
なので私一人に罰則がくるはずです。
「申し開きは……」
「ありません」
もう17歳です。生きたいように生きてもいいはずです。
だから私は断罪後、公爵令嬢としての身分を没収されるだけで市井にぽいされました。
だからそこからは隠していた貯金を元手にやりたいことをやることにしたのです。
それは図書館を母の郷里にたてました。
そして私はそこの図書館長になることにしたのです。
私は本好きの悪役令嬢。
悪役令嬢とは他の貴族の人がつけた私のあだ名です。
でも私は別に王太子の婚約者となったクリスティナさんを恨んでもなく、苛めてもいません。
しかし泣きながら王太子殿に私が悪口を言ったと告げた彼女を王太子殿は証拠固めもせずに決めつけました。
そういう人でしたからね。
ファンタジー、推理、エロと人々が読む本、ああ出来たら辞書もおかないとだめですね。
好きな本ばかりおいてはいけません。
私は銀髪碧眼という珍しい色彩をしていましたが、うちの田舎はこの色彩が多いのでまあ目立たないでしょう。
母は妖精と言われるほどの美貌を持った辺境伯の娘でしたから。
まあそれはそれでいいかもしれません。めっきり目が悪くなったので眼鏡もかけましょう。
ああ幸せな余生が過ごせそうです。
自分好きの王太子殿とフィーリングが合わず困ってましたから……彼は人の悪口が好きな方でしたので。
ここから私の図書館長としての余生がはじまります。
「はーい貸し出しは1週間です」
まだ私一人で、図書館はたったばかりですがね。ここからざまあも考えず、婚約破棄を楽しみ、余生は釣りもしてもいいかなと考える私の第二の人生がはじまります。