@6 薬師ギルド
そろそろ、名前だけでいこうかと悩んでいたり‥‥単なる文字数稼ぎと言われても仕方がない。それでも好きに書いていきます。
『薬師ギルドに到着しました。』
宿を出た真は、ルシアのナビで薬師ギルドへと到着し、そこに建つ薬師ギルドを見回した。
まず壁は石灰だろうか、白いセメントのようなもので塗られており、風化ではがれ落ちた所からはレンガが顔を覗かせていた。建物は全体的に横に長く50m程。右端から15mくらいのところに入り口がある。一階には左側に何ヶ所か窓があり、二階は等間隔に全体に窓がある。
三階には窓がなく壁となっていた。
そして、ここの窓には精巧ではないがガラスが填められていた。
薬師ギルドの三角フラスコに天使の羽が羽ばたいているような意匠の紋章。
真は、異世界でも医療とかのイメージは、白とか天使の羽とかなんだなぁと思いながら薬師ギルドの扉を開ける。
ギイィ‥‥ ここもか。
何となくな気持ちになりながら、中を見回す。
正面は、薬コーナーなのだろう。カウンターがありその奥に防犯の為と思われる牢屋のような柵がありその中に棚が並べられていた。左側には小さな袋や漢方薬のような物が置かれ真ん中には壺が並べられている。右側には、ザ!ポーション!と言わんばかりの陶器やガラスで出来た三角フラスコのような物が置かれていた。
カウンターには、白を基調とした服を着ている女性が何やら大きめの袋から木の匙で粉末状の物を秤に乗せている。横には奥に見える袋と同じ物が置かれているので、小分け作業なのだろう。 服をよく見るとデザインは冒険者ギルドと同じだ。
薬師ギルドの制服なのだろう。
建物の左側には長椅子が並べられ、建物の真ん中あたりにあたる場所にカウンターが見えカウンターの右側には階段と『御手洗い』と書かれた扉。左側には奥に向かう通路が見える。
左側の通路をよく見ると、通路の右側に扉が等間隔にあるようだ。左側は壁と外で見た窓があり光りを取り込んでいる。
カウンターの上の壁に『治療院』と書いてあるので、地球の病院と同じような感じなのだろう。外科手術があるとは思えないが。
建物の右側にも受付カウンターがあり、事務作業をしている。制服が薬コーナーの制服と違い白の基調は変わらないが、肩から腰までクロスするように山吹色のラインが入っている。役職に寄って制服が違うということだろう。
真は、依頼を達成するため右側の受付カウンターに向かう。
受付カウンターに居た女性が真に気付き声を掛ける。
「ようこそ、薬師ギルドへ。本日はどの様なご用件でしょうか?」
「冒険者ギルドで出されていた依頼の物を持ってきました。」
「えっと‥‥確か冒険者ギルドには『魔力水』の調達依頼でしたね。それでは、確認致しますので冒険者カードの提示をお願いします。」
真は、冒険者カードを渡す。それを黒光りした四角い箱の上に乗せると、冒険者氏名とランク、それに依頼受注状況と犯罪歴が空間に浮かび上がって表示された。
「はい、マコト様ですね。受注が確認されました。ありがとうございます。カードをお返しいたします。それでは、素材がある場所まで案内をお願いします。」
カードを返してもらい受付の女性がそう話すと、カウンターを出ようとする。
「え?どこに案内するんですか?」
「魔力水を樽で持ってきたのなら、馬車で運ばれたのでしょう?ですから、そこに案内をお願いします。」
何を言っているの?という顔で返事を返してくる。
「あ、私は収納スキルを持っているので。」
「っ!それは失礼しました。では、横にあるスペースに出していただけますか?」
受付の女性が謝るとカウンターから樽を横にして固定するための木枠を持ってきて
真にこの上に横倒しで置いて下さい。と言われ、真は、言われた場所に樽を出した。
なぁルシア。『はい。』
収納スキルって珍しいスキルではないのか?
ラノベだと普通は驚かれて騒ぎになる展開が多いんだけど。
『そうですね。この世界では収納スキルは、珍しいものではありません。数は多くありませんがそれなりには居るようです。ただ魔力量で収納量が変わるので、便利さはそれぞれです。
とはいえ、人によっては、馬車一台分位は収納出来るようなので、樽一つくらいでは珍しいとは言えません。』
そういうことか。無駄に騒がれるよりはいいんだけど。
「ありがとうございます。それでは今から鑑定しますのでしばらくお待ち下さい。」
受付の女性がガラスの試験管に樽の水を入れて、奥へと去っていった。
しばらくすると、バタバタと走る音が聞こえ白衣を着た中年の男性とそれを追いかけるように走る受付の女性がやってきた。
「ハァハァ‥‥この魔力水を持ってきたのは君か!?」
「え?あ、はい。」
「一体、どこで!?‥‥君はこの魔力水をどこで手に入れた!?」
「あ、えーっと。」
「あのニミラの森の洞窟か?」
「‥‥‥‥」「君、どうなんだ!?」
「い、いえません。」「なっ!」
「ハァハァ‥‥院長‥落ち着いて下さい。」
「これが落ち着いていられるか!これをどこで見つけた!?教えてくれ!」
「院長、彼が困っています。それに彼は言えないと言ったではありませんか!これ以上彼を困らせて依頼の取り消しでもされたら、この魔力水が手に入らなくなりますよ。だからどうか落ち着いて下さい!」
受付の女性の言葉で、どうやら落ち着きを見せ始めた院長だが、まだ目が魔力水の出所を教えろと言っていた。
「すいません、院長が大変失礼をいたしました。しかし、当ギルドとしては少しお話をお聞きしたいのですがよろしいでしょうか?」
どうしようか迷った真であったが、何とかなるだろうと思い、承諾するのだった。
受付の女性は、先に依頼達成の処理をしてくれた。そして、受付の女性は先ほど出した樽を他の職員に倉庫に持って行くように指示し、真は受付の奥にある会談部屋のような場所に案内され、院長と受付の女性に向かい合う形で部屋のソファに腰を下ろす。
最初に話したのは受付の女性だった。
「マコト様、今回マコト様がお持ちになられた魔力水なのですが、鑑定の結果最高純度の魔力水であることがわかりました。通常、魔力水は純度が7割あれば高品質です。ニミラの森の洞窟で採取される魔力水は6割程の品質です。そして、依頼を発注したのは昨日。依頼として出されたのが今日。まだ陽も落ちてない時間に、こんな最高純度の魔力水が持ち込まれるのは普通考えられません。なにより、古い文献などで話しが出るだけの存在するかわからない物がです。‥‥マコト様、話せる範囲で結構ですので、何かお話しいただけないでしょうか?」
受付の女性の言葉を聞きながらもずっと真を見たまま黙す院長。
真は、どうしようかと頭を悩ませる。
「すいません、やっぱり何も言う事は出来ません。」
「そうですか‥‥仕方ありません。」
真の言葉に、院長も残念な表情を浮かべる。
「ただ‥‥」「?」
「これからもこの魔力水がほしいと言うなら用意は出来ますよ。」
「それは、こちらが望めば定期的に納入して頂けるということでしょうか?」
「束縛されるのは嫌いですので定期的には無理です。たまには持ってくる位です。ただ持ってくる時、多く持ってきましょう。」
「マコト君だったか?今までこれを他の薬師ギルドに提供したことはあるかね?」
「いえ、ありませんよ。」「そうか‥‥ならもう一つ。どの様に手に入れたのか気になる所だが、この魔力水を君以外の人が知っていると言うことはないかね?」
薬師ギルドの院長が話しに割って入り、他の人で知る者が居ないか聞いてくる。
なるほどな、俺がダメなら他に聞こうって話しか。
気持ちは分からなくもないが俺しか作れないからな。
「いえ、ないでしょうね。」「なぜそう言い切れる?」
「それは言えないですが、私が持ってきた魔力水の事は誰も知らないと思いますよ。」
「私の?」「ええ、他の人の事は知りませんから、私のです。」
「なるほど‥‥それで今も、その魔力水を持っているのかね?」
「もちろんです。」「‥‥なら、薬師ギルドでぜひ全部購入させてくれ、頼む!」
薬師ギルドの院長は頭を下げてお願いしてくる。
横に座る受付の女性も同じように下げる。
「わかりました。今回はこの魔力水の事で一切追及しないと言うのであれば、今持っている全てを売る事と今後持ってくる事を約束しますよ。」
「本当か!わかった、薬師ギルドのマスターとして追及はしないと約束しよう。」
「もちろん、陰でコソコソ嗅ぎ回るような真似はしないで下さい。二度と『最高純度の魔力水』が手に入らなくなりますから。」
真は、薬師ギルドの院長の言葉に更に釘を刺す。
「‥‥うむ、わかっている。」
「あ、お聞きしたい事が有るのですが?よろしいですか?」
「なんだ?答えれることなら答えるが‥‥。」
「薬師ギルドは、外科手術をしていますか?」
「げかしゅじゅつとはなんだ?」
「え?えーっと、鋭いナイフなどでお腹を割いて悪い所を取り除いたり、切断された指をくっつけたり‥‥とかです。」
「なんて野蛮な!そんな事を薬師ギルドがするわけなかろう!
君は薬師ギルドを侮辱するつもりか!!」
突然怒り出す薬師ギルドの院長。しかし、横にいる受付の女性が冷静に院長を諭す。
「院長、マコト様はそのような行為をしているのかと聞いただけです。行っているとは一言もいってませんよ。
しかし、マコト様?どうしてそのような質問をされるのですか? 。」
「ただの興味本位です。誤解させてすいません。あ!ポーションはどれくらいの効果が有るのでしょうか?」
真は、これ以上の追及を避けるため他の質問をする。
「そうですか、妙に何か知っているような口振りでしたが‥‥、そうですね、ポーションの効果は魔力水の品質により変わります。‥‥‥‥。」
受付の女性が説明をまとめると‥‥
ポーションの製造には、『サッキ草』と『魔力水』が必要。
『サッキ草』は乾燥させる為、劣化等の心配はない。
ポーションの優劣は、『魔力水』で決まる。
魔力水の純度とは綺麗な水が魔力とどれほど混ざっているのかで決まる。
魔力水の純度(品質)と効果は‥‥
最高純度(9割以上) エクスポーション
瀕死時回復率80~100%
高純度(6割~8割) ハイポーション
瀕死時回復率40~60%
中純度(2割~4割) ポーション
瀕死時回復率20~30%
小純度(2割以下) 劣化ポーション
瀕死時回復率0~20%
%の幅は各ポーション劣化度合い。
基本的に劣化ポーションは人工魔力水で作られ、ニミラの森の洞窟で採取できるのが中純度。
高純度はめったに手に入らないらしく貴重。
最高純度は、伝説の魔力水で存在も確認されていない。今までは。
ただ、四肢の欠損などの回復は最高純度でも無理だろうと言われており、実際高純度では欠損まで治せなかったらしい。
「以上ですね。」
「わかりました。ありがとうございます。あと一つお願いが増えました。」
「なんでしょう?」
「先ほどの話しを聞いてわかった事ですが、私の事を他言無用でお願い出来ませんか?話が広がれば私がどういう事に巻き込まれるかわかりませんし、そうなれば薬師ギルドにも何かあるかもしれません。もちろんこの魔力水を持ってくる事も出来なくなる可能性もありますから。どうでしょう?」
真の問いかけに受付の女性は薬師ギルドの院長の顔を見て判断を仰ぐ。
「なるほどな、君の言うとおりだ。この事を知るのは、私とこのナースだけとする。今後受け渡し方法など君には面倒だろうがこちらで決めさせてもらう。もちろん、君が持ち込んで来たときの話しだ。強制はしない。」
受付の女性ナースの代わりに院長が答える。
「それで結構です。」
「こちらとしても、この魔力水が手に入るのは助かるからな。このチャンスを逃すわけにはいかん。そうだな、ナース君、契約書を持ってきてくれるか?内容は、先ほどの話し通りだ。」
「『真契約書』の方でよろしいですか?」
「ああ、それでいい。頼む。」
「はい、では少し失礼します。」
受付の女性ナースが部屋を出ていった。
「ところで、マコト君。‥‥ここだけの話しなんだが。薬師ギルドに入らないか?」
「薬師ギルドにですか?」
薬師ギルドの院長の突然の誘いに驚く真。
「ああ、君をギルドに入れば少なくとも、あの魔力水が手に入りやすくなるからな。今まで以上に助かる人が増える。今、この街で流行り病が起きててな、体力が奪われやすく老人や幼い子供は死ぬこともある。これといった薬がなくポーションで回復させ体力を維持することで一週間程で良くなるのだ。ただ劣化ポーションでは、治りが悪くてなどうしてもポーション以上が欲しいのだ。マコト君が薬師ギルドに入ってくれたならポーションの心配もなくなると思うんだが‥‥どうだろうか?」
ルシア何の病気かわかる?
『はい、インフルエンザですね。一応解熱作用のある薬などを処方しているみたいです。』
インフルエンザか、人助けになることはいいんだけど、束縛されるのは嫌だよな。そもそも、そんなポーションほいほい使えるのか?
『そうですね、エクスポーションはきっと今までなかったのですから、王族クラスが使うような値段になると思いますよ。
原料となる最高純度の魔力水を希釈して使えばハイポーション以下も作れますので、生産は上がります。それを見ているのでは?』
なるほど、でも今すぐは答えられないな。束縛は嫌いだ。
「今言われてもお答え出来ません。」「そうか‥‥。」
トントン 『失礼します。』と扉を開けて、先ほどの受付の女性ナースが真契約書を持って帰ってきた。
「では、こちらが真契約書になります。内容をお確かめ下さい。不備がなければ、その紙に魔力を流して下さい。青く光ります。」
ルシア、契約書と何が違う?
『契約書は通常マスターの知る書面でのみの契約です。
真契約書は、特殊な紙に特殊なインクで魔法陣が記され、その紙で契約を交わすと契約の神により、契約内容に記した効果と呪いを行う事が出来る物です。』
なるほど、契約にも神がいるのか。
真は、改めて契約内容を確認する。
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1.当薬師ギルドは、冒険者マコトが提供する魔力水を適正価格で購入する。
2.冒険者マコトが持ち込む魔力水に関しての一切の情報を最高機密として扱い、下記の現状を知る者以外に漏洩させない。
※ガルブ王国薬師ギルドシュルベール支店院長兼ギルドマスター『ドクダス・ライセン』
※ガルブ王国薬師ギルドシュルベール支店事務局局長『ナース』
3.冒険者マコトが持ち込む魔力水を購入する時の時間帯・場所・購入方法などは、当薬師ギルドの上記の者が決める。この事も含め最高機密として扱い漏洩させない。
ただし、冒険者マコトと合意していなければならない。
また、冒険者マコトが提案した場合は必ず協議し合意すれば冒険者マコトが時間帯・場所・売却方法などを決める事ができる。
4.冒険者マコトの素性その他一般的に知りうる事の出来る、冒険者マコトの情報に関して以外、追及や詮索などをしない。
5.冒険者マコト自らが公開または漏洩させた情報に関しては、この契約外の扱いとし、契約に反しないものとする。
6.上記が契約内容として記載され、契約と同時に『真契約書』の効力により下記に記した効果と呪いが掛けられる。
効果 契約違反しようとする者は、頭に激痛が走る。
呪い 契約違反したものは失明と失語症になる。
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契約内容に満足した真は、紙に魔力を流す。
すると淡く青く光りだす。
それを受付の女性ナースに渡し2人も内容を読みそれぞれが魔力を流す。
紙が宙に浮き更に輝きも増し、輝き終わるとそこには、透明のカードになった3枚の真契約書がスッと受付の女性ナースの手に落ちて納まる。
そして、その一枚を真に渡してきた。
「これで、契約が結ばれました。基本マコト様には何もありません。あくまでこちら側の為です。そのカードのような物が真契約書となり、魔力を流せば契約内容を見ることができます。もし、カードを持つどちらかが‥‥今回はこちら側だけなのですが契約違反をした場合そのカードが黒くなり、違反者の名前がカードに浮き出ます。」
真は、真契約書を受け取り収納スキルに入れる。
「では、マコト様のお持ちの魔力水を購入させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ。」
「では、場所を移りますので付いて来てください。」
受付の女性ナースは、場所を移動するため扉を開け部屋を出る。
「マコト君、これからも薬師ギルドをよろしく頼む。」
去り際に薬師ギルドの院長に言葉を掛けられ、真はペコリとお辞儀をして答え、受付の女性ナースの後をついて行く。
着いた先は倉庫のようで、色々と樽や木の箱が置かれていた。
「では、こちらに立てた状態で出していただけますか?」
言われたとおりに、残りの6つの樽を出す。
「これで全部です。」
「わかりました。鑑定してからお支払しますので受付カウンターのところでお待ち下さい。」
真は、頷くと受付カウンターに戻る。事務作業をしている他の職員に不思議な目で見られるが気にせず、そばにある長椅子に座り待っていた。
ふと、治療院の方に目をやると老人や子供連れの母親がそれなりに長椅子に座っており治療の順番待ちをしているようだ。
この世界の医療制度とかどうなってるんだ?
『この世界での怪我や病気の治療は、薬師ギルドが担っており、安くはありませんが国民が受ける事が出来る金額設定がされています。
これは、国民に限ったことであり、王族や貴族にはそれ相応の金額設定を設けています。それを嫌う各王族などの権力者は宮廷治療院などを設けているようです。
財力のある貴族や商人などは、薬師ギルドに所属していない治療院等で多額のお金を払い治療を受ける者もいます。
国民は薬師ギルドで治療などを受けるのですが、金額が高めになるため基本治療は受けない事が多く。受けたとしても、薬や治療費が高くつき、すぐに諦めるか借金をして治療します。一部富のある街や国が割安や無料で治療を受けられるようにしている場所もありますが、『その国に住む国民でないといけない』や『一定額の税を払っている』など、各施政者の条件で変わります。
薬師ギルドは、このような施政が行う優遇処置は依頼という形で行いますので権力者等からの圧力等は基本ありません。』
なるほど、薬師ギルドは独立した病院みたいなものか。金がないと治療出来ないのはどこも同じだな。まだこの街は一般国民が治療院に来ているだけ良い施政者がいるのだろう。
良い施政者に、人の為と言う薬師ギルドの院長。
ここなら、金儲けに走るような事はすまい。
ルシアの話しを聴き、良い街に着いたものだと改めて思う真。カウンターから「マコト様。」と声が掛かりカウンターに向かう。
「お待たせ致しました。全ての鑑定が終わりましので、お支払の方を行いたいと思います。今回買取させて頂いた物は一つにつき2枚。それが、6つですので合計12枚のお支払いとなります。」
ジャラと、カウンターの上には麻の袋に入ったお金が置かれる。
言葉も周りに聴かれても大丈夫なように配慮したようだ。
「確かに。」お金を受け取り収納スキルへ入れる。
「では、マコト様。またのご来場お待ちしております。」
ペコリとお辞儀する受付の女性ナース。
真もペコリと会釈して薬師ギルドを出て行った。
『マコト様が風の噂に聴く『聖者様』でしょうか?』
受付の女性ナースは、自身の聴いた噂の人物が真なのだろうかと考えたが、答えが出ないと思い仕事に戻っていった。
読んでいただきありがとうございます。