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@5 ネット購入

遅くなりました。最近寝不足気味に書いてます。おかしくなってないか不安です。

『‥‥ター、マスター朝です。起きてください。』


「ん~、もう朝なのか‥‥」


(まこと)はルシアに起こされ、徐々に意識を覚醒させる。


朝になったら教えてと言ったような気がするから、起こしてくれたのだろう。

部屋の周囲を見ると顔が出せる位の大きさの四角い窓らしきものがあり、木の戸の隙間から光が差し込んでいる。


ルシア今何時?


『現在、6時27分です。』


昨日はそのまま寝てしまったからか、疲れがなくスッキリしてるな。


『マスターは創造神の素体で出来ていますので、全力で事に当たる事でも無い限り疲労はしません。また、食事や睡眠も必要としません。』


おい、それ人間辞めてるだろ?あ、神なのか。

どうしても人間感覚だから馴染めない。

食事や睡眠がいらないって、お腹空いたり眠たくなったりするのはおかしくないか?それに疲れるぼどの全力ってなに?。


『お腹が空いたり眠たくなるのは、マスターが感覚を人族に合わせている為です。基である神に感覚を戻せばそういう事もなくなります。それに、感覚だけの事なので空腹感があっても餓死はしませんし、睡眠を我慢しても普通に起きていられます。

マスターが創造神の素体だけなら、この世界にいる『竜神オルガノ』と戦闘して僅かに勝るくらいですが、マスターの場合は素体に創造神の神通力(せいめいりょく)を許容量以上使い創造されましたので……そうですね、創造神10人と同時に戦闘しても勝つくらいでしょうか。』


おい!ちょっとまて、創造神10人分以上とか意味が理解できん。

そもそも、神が自分より強い者を創造するか!?


『それはわかりません。創造する際に創造神が無限と思われる程の時間をかけて貯めていた神通力(せいめいりょく)を全て使用するように指示がありましたので、こうなりました。』


それじゃ仮に、間違ったから作り直しとか言われないか?


『通常ならそれも可能でしょうが、今回マスターはすでに創造神を遥かに越えた強さを持っているので、抵抗(レジスト)出来るため、実質創造神が手を出すことが出来なくなりました。』


それって、誰にも負けないって事か?


『誰にもとは限りません。マスターを越える存在が現れれば負けることも考えられます。』


現れればって……普通いないだろうなぁ。創造神を誕生させた存在ならあり得るのか?んー、考えたらきりがなさそうだ。それに元

人間として生きてきたんだから身体は神でも感覚くらいは人間でいたいものだ。


ぐうぅぅぅ……


あ、早速か。そういや昨日何も食べずに寝てしまった。

朝は日の出からご飯出るって言ってたから、行くか。


(まこと)は、部屋を出て一階へと降りていった。


「おはよう。お客さん、昨日はゆっくり眠れたかい?」

「はい。ベッドに入ってそのまま寝てしまいました。」

「あはは、かなり疲れてたんだろうね。奥に食堂の奥に裏庭があるから、そこで顔でも洗っておいで。ほれ、これで顔拭きな。」


宿の女将レンカさんに布を渡され、裏庭に出る。

少し広い裏庭の端につるべ式の井戸があり、カチャカチャと滑車を鳴らしながら水を汲み上げ顔を洗う。

渡された布はあまり吸水性がなく、何となく不満な気持ちを持ちつつ食堂に戻った。


滑車って事はポンプ式はないってことか?

それに、この布も水は吸わないし肌触りもよくない。

冒険はいいけど、内政で成り上がるのも悪くないか。


自身の今後の事を考えながら、女将に布を渡しテーブルに着くように言われたので適当に近くのテーブルに着く。

宿泊客はまだ起きてないのか、(まこと)しかいない。


昨日寝てた人は部屋に戻ったのかもう居なかった。

「はいよ、おまちどう。朝食だよ!」


女将は、テーブルに朝食を置くとすぐに奥へと帰って行く。


おおー!異世界初の食事。どれどれ……

パンに野菜が入ったスープ、あと、肉汁の滴るステーキ。

それにサラダだ。


「いただきます。」


まずはパンを千切ってって堅!ヨーロッパにある凄く堅いパン並に堅かった。しかし!ラノベ知識を活かしスープに浸けて柔らかくして食べた。ふやかしたパンはザ!小麦!としか言えない味‥‥スープは、野菜たっぷり!とは言えないがキャベツやニンジンみたいな野菜が入ってる。味は塩気が少ないのか薄い。

あと、ステーキみたいに焼いてある肉。ソースはなし。

だけど、これはうまかった!弾力があって噛むのに顎を使う感じだけど、噛むほどに肉汁特有の甘みがあり素材そのままでこの旨さは経験がない。

これにも、塩や胡椒などが使われていないと感じた。

パンとスープは微妙だったが、このステーキは満足出来る。


勢いに任せお腹の空かした人の様に、パクパクもぐもぐと休まず食べ続け、あっという間に完食してしまう。

そこへ、水を持って女将が近付いてくる。


「いい食べっぷりだね。そんな美味しそうに食べてくれたら、こっちも嬉しくなっちまうよ。はい、これ水ね。」


トンと木で出来たコップをテーブルに起き、先ほど食べた朝食の食器を片付けてくれた。


「それで、お客さん。今日は何をするんだい?」


はて?そう言われ、(まこと)は何も予定が無いことに改めて気付く。


言われれば、今日何しようか?せっかく冒険者になったんだから何か依頼でも見てみようかな。


「ギルドに行って、依頼でも探して見ようかと。」

「あー、お客さんは冒険者だったね。怪我しないように気をつけるんだよ。」


あー、客商売だからでも、心配してくれるって嬉しいよな。

あ、俺レンカさんに自己紹介してないや。


「ありがとうございます。遅くなりましたが、俺、(まこと)って言います。よろしくお願いします。」

「マコトね、覚えたよ。こちらこそ、贔屓に頼むよ。」

ングングング‥‥トン

「ごちそうさまでした。」

「どういたしまして。ところでその『ゴチソウサマ』って何だい?おまじないか何かかい?」

「そんな感じですね。」「そうかい。」

「それでは、ギルドに行ってきます。」

「はいよ、無事に帰ってくるんだよ。」


無事、自己紹介も終わり、水を飲み干して日本人の習慣を不思議に思われながらも、ギルドに行くことを告げ女将に見送られながら、宿を出る。

冒険者ギルドの道を思い出しながら、歩くとすぐにギルドに着いた。


ギイィ‥‥


相変わらずの音をたてて開く扉、中に入ると昨日とうって変わって冒険者で溢れかえっていた。


「おい、これなんてどうだ?」「それ場所が遠いぞ。」

「えーっと、ウーフ‥‥とう、ばつ……かな?」

「もう、読めないんだから意味ないでしょ!代わりに読んであげるわよ。」「あ、ごめん。ありがとう。」

「おい、それ俺達が先に見つけたんだぞ!」「そんなの知るかよ!手に取ったもん勝ちだ!」「なんだとぅ!」


ガヤガヤと喧騒響くギルド。(まこと)は思わずその場で固まってしまった。


すごいな。朝からこんなに人が居るのか。

左のボードに貼られている紙を取って受付に行けばいいみたいだな。に、してもこんなに人が居たら近寄れないぞ。


まるでバーゲンセールの激戦場のような状態、あの中に混ざるのはさすがに戸惑う。仕方ないと、(まこと)は空いているテーブルに着き、喧騒が落ち着くまで待つことにした。

少しぼぉーっと眺めていると、声を掛けてくる人物がいた。


「おはようございます。マコト様でよろしいでしょうか?」


声をする方へ顔を向けると、可愛らしくそれでいて素朴な感じ。くりっとした優しい目。口は少し小さめ。化粧をすれば即アイドルになれるだろう、そんな感じの女性が目の前にいた。

服を見ると、昨日受付をしてもらった人と同じデザインなのでギルドの職員だと気付く。


「はい、そうですけど。」

「すいませんが会っていただきたい方がいまして、今から会っていただけませんか?」


俺に会いたい人?エドアースさんかな?

何にしても、ここでぼぉーっとしてるよりいいか。


「いいですよ。」「ありがとうございます。では、ご案内しますので、ついて来て下さい。」


ギルド職員の案内に素直についていく(まこと)

そのまま着いていくと受付横にある職員専用と書いてある扉を開けて中へと入る。そのまま奥までいくと階段があり登っていく。

三階分上り、階段から一番奥にある部屋の前で立ち止まる。

扉には、『ギルド長室』とだけ書かれている。


トントン 「マコト様をお連れしました。」

『あー、入ってくれ。』「失礼致します。」


ガチャと扉を開け、受付の人が中に入ると「どうぞ。」と中に入るように促した。

マコト様は言われるまま中に入り、受付の人が扉を閉める。


部屋の中はシンプルで正面の奥には書斎があり、手前にはテーブルと三人掛けのソファがテーブルを左右に挟むように設置されている。

左の壁の上部には人物画が何枚か掛けられており、歴代の人を飾っているのだろう。

壁の真ん中あたりには、この世界の芸術家の絵画なのだろう絵がポスターサイズで額縁に入って飾ってあった。

右の壁には、少し上部に冒険者ギルドの紋章の絵が飾ってあり、その下に額縁に入った剣が二本クロスするように飾られていた。まるで映画で見るようなドクロの海賊旗を彷彿とさせる飾り方をしている。


再び正面に目を向けると、ほっそりとした男性が視界に入る。

目が細くニコニコと優しさを感じさせる雰囲気をもつ。

鼻立ちはよく、耳が笹耳になっているところをみると彼もエルフなのだろうとわかる。はっきり言って美形だ。

目が合うと、ニッコリと笑顔を向けるのでこちらも笑顔で返す。


「やぁ、初めましてマコトさん。

私は、この冒険者ギルドシュルベール支店のギルドマスターでエリックと言います。本日は、急にお呼びだてして申し訳ないですね。どうぞ、お掛けになってください。」


ソファに座るよう丁寧な言葉で語ってくるエリック。

(まこと)が、ソファに座るとエリックは対面に座る。

そのタイミングで案内してくれた女性が失礼致します。と部屋を出ていった。


なるほど、ここの受付が丁寧なのはギルドマスターのエリックさんの影響かな。


「初めまして、ギルドマスター。私は(まこと)といいます。」

「ああ、そんな堅苦しくいかずに、エリックで結構ですよ。」

「ありがとうございます。では、私は(まこと)で結構です。それで、エリックさん。何故私が呼ばれたのでしょうか?」


エリックに(まこと)は、何故呼ばれたのか尋ねた。


「そうですね……、私がマコトに興味があるから、では駄目でしょうか?」

「え?…………いや、そういう趣味趣向は持ち合わせていなくて‥‥すいません。」

「え?いや、そういう意味ではなくて、君の事が知りたいというか気になるというような意味で。私もそんな趣味趣向はありませんから。頭を上げてください。」


ペコリと頭を下げる(まこと)。少し慌てて話すエリック。


「あー、そうですよね。びっくりしました。」

「こちらも、驚きました。勘違いさせたようですいません。」

「私の事が知りたいって事ですけど?」

「ええ、それにしてもマコトはまだ何か警戒しているようですね。」

「どうしてそう思われるのですか?」

「簡単に、その丁寧な口調ですね。普通15歳と言う年齢で話す言葉ではありませんから。よほどマコトのご両親の教育が良かったのでしょう。でも、それは本来のマコトではないと思いますね。何も取って食おうなどと思っていないので、普通に接して下さい。」


エリックは、警戒する事はないと暗に(まこと)に言い、話しやすい話し方でいいと言ってくる。


「わかった。これでいいか?」

「はい。それで結構です。」

「それで、俺の何が知りたいって?」

「マコトが教えれる限りの事を。」

「そう言われてもな、聞きたいことがあるなら言ってくれ。」

「では、単刀直入に……貴方は何者ですか?」

「……はっ?何者って俺は俺だけど?」

「あはは、そうですね。では、もう少し分かり易く説明しましょう。まず、普通なら有り得ない事がギルドで起きました。そしてその原因となる人物がマコト‥‥貴方なのです。」


(まこと)は、何のことだろうと思い巡らす。


ん?魔石を大量に売ったからか?それとも、無詠唱で魔法放ったことか?何だろう。


「思い当たる節がないと言った顔ですね。

まず、大量の魔石です。冒険者なら大量の魔石を持ち込む事もあるので不思議ではないのですが、冒険者でもない15歳という成人したての貴方が大量に魔石を持ち込む事が大変珍しい。

その大量の魔石がスライム等の低級モンスターだけでなくEランク相当のウーフやグリグズ、更にC~Dランク相当になるオーグリズの魔石まである。

しかし、これはランクアップ試験でCランクの強さがあると解ったので気にはなりますが問題ではなくなりました。

次に、カードを作る際装置に触れ魔力を流されたのですが、その反応がありえない反応をしたこと。

それと、筆記試験の早さに、実力試験でのAランク試験官と闘い、無詠唱で魔法を放つ。

あと、15歳である貴方が武の極みである神動破(しんどうは)を使っていたこと。これが、お呼びだてした理由になります。」


あちゃー、フラグ建ちまくってました。

仕方ない。答えれる事だけ答えよう。


「なるほど、それで?何を知りたいんだ?」

「まず、マコトは何者かを知りたいのですが?」

「何者って言っても、普通の人間だがな。」

「普通の人間ですか‥‥では質問を変えます。

あの大量の魔石はマコトが倒して手に入れた物ですか?」

「あぁ、そうだ。」

「なるほど、ではカードを作る機械の反応がありえなかったのは?」

「反応がありえないってそもそも、何の事を言っているのかわからない。」

「あー、そうですね。あの装置は特殊でしてね。基本秘密事項なのですが‥‥。守秘義務もあるので周りには話さないでくださいね。

あの装置は、その人物の種族を知ることができるのです。

人族なら青、獣人族なら赤、という風に。

しかしマコトは人族と書きながら出た色は白。

白が表す種族はいないのです。

この装置は、魔力を流す事で魔力分析し種族を完全に見極めます。後のトラブルなどの防止のためです。」

「だったらあの時点で俺は怪しい奴になってたはずだが?」

「ええ、通常ならそうですが。白なのでね。特別にそのまま登録してもらいました。」

「一ついいか?」「はい、どうぞ?」

「白がないのなら、怪しむはずだろ?仮に特別に登録するにしろ、ギルドマスターのエリックに報告なり相談なりあるものじゃないのか?

あの時は、そんな素振りもなかった。職員が勝手な判断で作っていたら、その装置の意味がないんじゃないのか?」


「確かにそう仰るのもわかります。簡単に言えば昨日マコトを担当した者がこのギルドのサブギルドマスターって事ですかね。

なので、彼女には権限がありますから、今回のような事もあるのです。」


あの美人エルフ受付嬢がサブギルドマスター!?

ってことは、このギルドNo.2に初対面で口説いたと思われたのか‥‥。


(まこと)は、サブギルドマスターという役職に驚かされながらも昨日その人物に初対面で口説いたと思われてしまっていることに恥ずかしさを思い出し、少し顔を紅く染める。


「ん?マコト、少し顔が赤くなってますが‥‥。」

「い、いや、何でもない。‥‥それで、登録した意図ってなんだ?本当は白にも意味があるんじゃないのか?しかもその事を知っている。」

「ほぉ‥‥どうしてそうお思いで?」


エリックは目を細め、(まこと)をみる。


「決まっているだろ。まともにギルドを運営するなら、本当に存在しない色が出れば警戒して当たり前。登録なんてさせないだろうし、エリック、あんたがすぐ来て対応するはずだ。

となれば、めったに現れない白の種族が珍獣の如くノコノコやってきて、ギルドに敵愾心を感じない。それならギルドという檻に入れて観察したくなるのが人の心ってもんだろ?それに、さっきから俺に対して口調が丁寧過ぎる。まるで逆らってはいけない人と話しているような話し方だ。違うか?」

「ははは、さすがはマコトですね。いやはや、そこまで聡明だと気持ちがいい。」


エリックはそう言いながら愉快そうに笑い、落ち着くと話始めた。


「その通りです。もともと、口調はこんな感じなのですが‥‥白色は、無い種族として処理していますが、一部の者のみが白色が何を表すのか知っています。」

「それで?それは教えてもらえるのだろう?」

「もちろん、ここで隠しても話に進展はないですからね。

これを知っているのは、一部の上層部と私とサブギルドマスターのリースだけです。最高機密事項ですから、これも守秘義務ですよ。……我々が知る白に表す種族は……神です。」

「え?」

「ですから、白になるのは神様つまり神族だけなのです。これは、かなり古い文献に記されている事です。」

「それって、確証があるのか?」

「いえ、でも現実にマコトがここにいる以上嘘とも言い切れませんから。」


まぁ~確かに神族と断言出来なくても、異例な事が起こったのは確かなんだから、気になるのは仕方ないか。

さて、正直に言うべきか‥‥ルシアどう思う?


『別に言っても支障はありません。神に敵対または利用しようとするなら消滅させてしまえば良いだけです。』


ルシアって過激派だよな……俺恐い。


『フフ‥‥冗談ですよ。言っても支障ないのは確かですから。ただ利用しようとか思わないようにする必要はありますが。

このまま知らないと言い切るのは面倒事を招きかねないと思います。』


そうだよな、なら正直に話すか。


エリックは、ジッと(まこと)の言動を逃すまいと笑顔でありながら鋭さのある視線で見ている。


「何かお答えできますか?マコト。」

「……そうだな。その文献に書いてあることは間違っていない。」「そ、それではマコトは……神「しかし!」さま‥‥。」


エリックの言葉を遮るように大きな声で一喝する。


「エリックは、それを知ってどうするつもりだ?」


普通に話しかけるように静かにエリックに問いかける(まこと)


「……、まずは上層部に報告をし「報告してどうするつもりだ?」」


(まこと)は、エリックの言葉を遮りさらに問う。


「…………。」


黙すエリック。


「まぁ、興味本位なのはわかる。仕事に忠実で報告するのもいい。それで、俺をどうするつもりだ?はっきり言うが利用しようと思うなよ。それに利用出来ないからと敵対するような真似はやめておけ。死にたいのなら別だが。」


(まこと)は、話をしながら普段出さない殺気を開放する。

開放された殺気に指向性を持たせ、エリックだけにわかるように操作した。

(まこと)の殺気を浴びせられたエリックは、ガタガタと顔面蒼白になりながら震える。

そして、何とか先ほどの(まこと)の話に理解を示すように何度も首を縦に振った。

(まこと)は、それに満足し殺気の開放を止める。

エリックは、震えは止まったが顔は顔面蒼白のままだった。


「なぁ、エリック。何事も知らない方が幸せって事もあると思わないか?別に協力しないって訳じゃない。冒険者なら冒険者らしく依頼は受ける。ただまぁなんだ、納得できない事や理不尽に命令されるのはしないでくれると助かる。正体がばれてるから言うがギルドのランクなど俺にとってあってないようなものだ。

この瞬間にS+を軽く越えた強さを見せることも出来る。必要性を感じないからする気はないが。

まぁ、そういう訳だ。ちょっと脅す形にはなったがお互い仲良くやろうじゃないか。」


(まこと)は、笑顔でそう話す。


「マコト様‥‥先ほどは大変失礼いたしました。決してマコト様に逆らいご迷惑をかけることはしませんのでどうか‥‥どうかお許しください。」


エリックは、さっきと人が変わったようにソファから降りて床に正座して頭を下げる。土下座の姿勢だ。


「‥‥なぁエリック、ふざけるは止めてくれ。俺を怒らせたいのか?」

「‥‥クックックッ‥あはは、やっぱりマコトにはバレてしまいますか。」

「会って間もないが、そんな奴がギルドマスターなんてやっていられないことくらいはわかるからな。力は強くても性格が扱いやすいならって‥‥そんなところだろ。」

「かないませんね。さすが神様といったところでしょうか?」


演技がバレたとすぐに、スッと立ち上がり元のソファに掛け、普段のエリックに戻る。


「神とか関係ないな。あと、上に報告するならすればいいが、さっきの話しも伝えておけ。」

「あー、報告するのは止めておくことにします。私が理解しても、上層部が何を思うか分かりません。マコトに迷惑を掛けて連帯責任で殺されたくないですからね。マコトの言う知らない方が幸せな事もある‥‥ですね。」


エリックはそう話し秘密にすることを(まこと)に伝える。


「ただマコト。利用しようとは思わないですが我々では手に負えない事案が発生したら助けてはいただきたい。もちろんお願いと言う形で強制力はありませんが。」

「さっきも話したが、協力しないとは言っていない。

どうするかはその時に決めるが聞くぐらいはいつでもする。」


それから(まこと)とエリックは、しばしお互いの事を話し合った。


「では、マコト。長い時間引き留めてすいませんね。

これからもよろしく頼みますよ。」

「あぁ、色々と聞きたいことも聞けたからな。別にいいさ。

それじゃぁな。」


(まこと)は、立ち上がり部屋を出ていく。


「‥‥見た目とは違うみたいですね。敵対はしない方がいいでしょうが監視はしておいた方が良さそうです。さて、どうしたものか……。」


今後の(まこと)への対応をどうするべきか思案しながら、エリックは仕事に戻るのであった。


ギルドの受付に戻った(まこと)ではあったが、かなり時間を費やしたせいか依頼の貼られるボードには数枚程しか残ってなく。人もまばらになっていた。


めぼしい物は残って無いだろうなぁ。


半分諦め気味にボードに貼られた依頼を見ていく。

その中で、(まこと)は気になる依頼を見つける。

そこは、緊急依頼が貼られるボード。

そこに貼られた紙には、

『緊急依頼

ポーションの素材調達。

内容

薬師ギルドより、ポーションの不足により至急ポーション用の素材の調達を頼みたい。

期限

明日の昼鐘(ひるのかね)が鳴るまで。

報酬

依頼された素材の量による。』

と、簡潔に書かれていた。


ポーションの素材ってラノベだと低ランクが行けるような場所に生える草とかだけど、それなら低ランクがまず手にしそうな気もするんだが。んー、聞いてみるか。


(まこと)は、ボードから紙を剥がし受付に話しを聞いてみることにした。


「あの、この依頼なんですがどうして残っているのですか?」


朝、ギルドマスターの部屋に案内してくれた職員さんに話し掛ける。


「それは、ポーションの素材がなかなか手に入らないからです。」


何を当たり前な事をと、言いたそうな感じで答える。


「あー、すいません。私そういうの詳しくなくて、良ければ教えてもらえませんか?」

「そうですか‥‥分かりました。では説明いたします。

ポーション作りに必要な材料は、『サッキ草』と呼ばれる爽やかな香りを放つ草と、『魔力水』です。

サッキ草は、この街の西にあるニミラ草原に生育しているので、比較的簡単に手に入るのですが、魔力水はニミラ草原の更に奥にあるニミラの森の更に奥にある洞窟内で湧いてある水です。

『魔力水』とは、地下水が何らかの原因で濃い魔力を浴びて混ざったり馴染んだような状態のものをいいます。

人工的に作り出せるようですが質がとても悪いと聞きます。

ニミラの森は強い魔獣やモンスターが存在し奥の洞窟内はさらに強い魔獣やモンスターが存在するため推奨ランクがBランクからとなっています。

そのため、なかなか魔力水が手には入らず、ポーションは非常に高価な物となっています。

ポーションは高価な分、効き目は良く。部位の欠損は治せないようですが、瀕死の状態で服用して3割程の回復力があるとのことです。」

「ありがとうございます。」

「いえ、それでマコト様はその依頼をお受けになりますか?」


さて、どうしようか。魔力水って言うのが要は必要なんだよな。

理屈から言えば俺でも魔力水を創ることが出来そうだが。


『はい、マスターなら膨大な魔力で水を馴染ませてしまえば出来ますよ。』


あ、なんか簡単に出来そうだな。


それじゃ、経緯はどうであれ素材さえあれば達成されるみたいだから受けてみるか。


「はい、受けようと思います。」

「わかりました。では、受理致しますので、冒険者カードをお預かりします。(カードを渡す)少しお待ちください。‥‥‥‥お待たせしました。無事依頼の受理を完了しました。期限は、明日の昼鐘(ひるのかね)までに、薬師ギルドに素材を持っていくこと。こちらがカードと詳細は此方になります。

それでは、マコト様の冒険に勇気と幸があらんことを。」


無事依頼が受理され、詳細を書いた紙が渡される。

軽く会釈して(まこと)は、ギルドを出ていく。

外に出た(まこと)は、とりあえず昼飯を食べようと宿に戻っていった。

宿に着き中に入るとそこそこ人が入っており、女将は忙しく働いていた。


「おや、えらく早い帰りだね。いい依頼が見つからなかったのかい?」


女将が(まこと)に気が付くと話しかけてくる。


「まぁ、依頼は受けたんですけど、ご飯食べてから行こうかなって思いまして。」

「そうかい、そんじゃ、空いてる席に座っておくれ。すぐに持ってくるからさ。」


そう言われ、女将は厨房へと行き(まこと)は、近くの空いてるテーブルに座る。

座った途端、いつ戻ってきたのか、女将が食事を持ってきた。


「はいよ!今日は、トロルの野菜煮込みだよ!」


テーブルの上に置かれたのは、パンにサラダにシチューのような物。

パンは朝と変わらない。サラダは、ドレッシングはないようだが何か白い物が掛かっている。どうやら、チーズのような感じだ。

そして、このシチューみたいな物、肉が入っているのだが、これが柔らかい。角煮の肉のような柔らかさ。見た目はシチューっぽいが味は牛乳に近く少し酸味がある。きっとサラダに乗っているチーズみたいな物を使っているのだろう。

癖はあるが、慣れればそんなに気にならない不思議な味だ。


なんだかんだと、綺麗に完食した(まこと)は、女将にお礼を言って一度部屋に戻る。

部屋に戻った(まこと)は、依頼の詳細を見る。


なになに、サッキ草は要らないのか。

欲しいのは魔力水が樽一杯分ね。

それで樽ってどうやって手に入れるんだ?


『樽この街にも売ってはいますが、マスターの現在の所持金では買えません。同じ樽を買うならネット購入をお薦めします。』


あー、確かに資金が足りないか。

ん?そういやー、ネット購入があったな。

やったこと無いから忘れてた。

どうすればいいんだ?


『はい、まずネット購入がしたいと念じて下さい。』


ネット購入っと……お!目の前に通信販売サイトのような画面が出たぞ。


『それがネット購入の能力となります。マスターには画面として見えていますが、他の者には見えません。あと、タッチパネルのように触れて操作するか、思考のみで操作ができます。

商品を選び最後に購入ボタンをタッチするか、購入と念じれば購入し半径100メートル以内の任意の場所に出すことが可能です。』


おお、これは便利だ。では早速樽を検索っと……樽ひとつとっても種類ありすぎだろう。ルシアどれが怪しまれない樽になると思う?


『そうですね、古いタイプの樽が良いでしょうから、この辺りを選ぶと違和感はないと思われますよ。』


ルシアが言うなら安心して買えるな。

依頼は樽ひとつだが、何個か買っておこう。


(まこと)は、タッチして樽を選択し数量を決めて購入ボタンを押した。

すると頭の中にどこに出現させるかと問うようにイメージが浮かび上がる。

(まこと)は、ひとつをテーブルの横にイメージし残りは収納スキルの中に入れるイメージを持って念じた。

すると、テーブルの横にワインなどで見かけるようなタイプの樽がひとつ出てきた。

どうやら残りは無事収納スキルに入ったようだ。


よし、上手くいったな。

こっからが本番だけど、どうすればいいんだ?

ルシア頼む。


『はい。マスターの為なら何なりと。

まず水はネット購入で購入しましょう。

樽一杯になる量をイメージすると、必要量が計算され表示されますのでそのまま購入して樽の中に入れるイメージで出して下さい。』


ルシアにいわれ、樽を見ながらイメージすると必要量が表示される。一樽で965リットルか。

そのまま購入して、樽の中に入れるイメージで出現させる。

ゴトゴト‥‥少し樽が揺れる。中に水が注がれているのだろう。

数秒で満タンになったようだ。

なぜ解るのかって?それは購入完了と表示されたからだ。

あとは、魔力を馴染ませるだけか。


(まこと)は、目を閉じ樽に魔力を注ぐイメージで放出する。

樽は少しずつ輝きを帯びていき数十秒後に眩しい程の輝きを放つ。うっすらと目を開けもういいだろうと放出を止める。

それと同時に樽の輝きも失われる。


『マスター、お見事です!』


上手くいったようだな。これなら、残りの樽もやっておくか。


残りの樽に水を入れ魔力を注ぐ。しかし少し手間だった。

樽が大きい為、一つしか部屋に置けなかったのだ。

その数7樽。とはいえ、10分程度しか経っていない。


ふぅ~、これで薬師ギルドって所にこの樽を持っていけば依頼達成だな。


最後の樽を収納スキルに収納し、薬師ギルドに向かうため部屋を出、一階へと降りる。


「今から出掛けるのかい?夜になると危険が増えるから気をつけるんだよ。」


女将から声が掛かり、「はい、では行ってきます。」と返事をして宿を出て行った。

読んでいただきありがとうございます。

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