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@4 ランクアップ試験

説明回で無駄に長くなってしまった……。

短縮してもいいんだけど、何となく文字数確保的な(汗)

回を追うごとに前回話を修正しないといけないジレンマ……難しすぎる。

美人の受付エルフ女性のお尻をムフフな気分で眺めながら、後をついて行く。

途中幾つか部屋を通り過ぎ、やがて『小会議室』と書かれた扉の前で立ち止まる。


「こちらの部屋で筆記試験を行いますので、中にどうぞ。」


受付のエルフ女性が扉を開け、中に入るように促す。

中に入ると、部屋の中はさほど広くなく、奥の壁に向くように木製の机と長椅子が配置されていた。

よく入って10人前後といったところだ。


「どこでも結構ですので、好きな場所にお座り下さい。」


後から声が掛かり、目の前の長椅子に腰を落とす。

一番扉に近い位置だ。

(まこと)が座るのを確認して、受付のエルフ女性は扉の横にある鍵付きの棚を開き、中から紙の束を出してくる。


「それでは、こちらがペンとインク、筆記試験の問題となります。」


渡された紙は10枚ほどはありそうだ。


「それでは、筆記試験の説明と注意事項を申し上げます。まず、問題が書いてある紙に書かないで下さい。解答は解答用の紙に書いて下さい。

試験時間はここにある、砂時計の砂が、全て下に落ちるまでとします。

次に、試験中の退出は出来ません。如何なる理由でも、この部屋を出た時点で失格となります。

あと、問題の書いてある紙をインク等で汚したり、破ったり燃やしたり等破損させる行為も、失格となっていますので御注意下さい。

以上説明を終わりますが、質問はありますか?」

「いえ、大丈夫です。」

「わかりました。では、試験を始めたいと思います。

それでは、筆記試験を始めてください。」


砂時計をひっくり返すと試験開始を告げ(まこと)は問題を見る。


えーっと……に、たす、なな、は?

次が、じゅういち、たす、ろく、は?

んで、さんじゅう、たす、じゅうに、は?

って、小学生の算数じゃねーか!

試験って言われりゃ試験だが、こりゃ、小テスト並みだぞ。

四則計算しかないし、内容単純。

紙が10枚もあるから、どんなかと思ったら、さっきの『 に、たす、なな、は? 』だって、文章問題なんだぜ?

『最初に二個の魔石を持っていました。

そして、七匹のモンスターを倒して魔石を手に入れました。

あなたは、今何個の魔石を持っていますか?』ってな具合。

そりゃ、文章にしたら紙使うよな。

結局、全15問あったけど、5分程で終わってしまった。

間違いがないか、二回も読み返し確認したが、間違えようがなかった。


「あのー……」

「はい?」

「終わったんですけど、どうすればいいですか?」

「え?終わったのですか?」

「はい。」

「……そうですか。ではインクとペンはそのままで問題と解答の紙をこちらに。」


そういいながら手を出してきたので、問題と解答の紙を渡す。


「それでは、次に実力試験を行いたいと思いますが、予定より早く筆記試験が終わってしまいましたので、早急に準備を致します。それまでこのままこちらでお待ち下さい。準備が整いましたら、声を掛けさせていただきます。それでは、失礼致します。」


受付のエルフ女性は、先程渡した紙の束を持って、部屋を出て言った。


んー、筆記試験は問題ないだろうけど、実力試験は不安だ。

武器も持ってないし、魔法で何とかするしか無いかな。


『マスターの場合、素手でも十分です。』


まぁ、全能力∞だからな。少し本気で殴ったら良い線いくか。


『マスターの今想像した力加減だと、胸に大きな穴が空きます。

さらに、弱めた本気をお勧めします。』


ルシア、それだと本気にならないんじゃ……。

本気は無しで様子見ながらいくとしよう。


カチャッ


「マコト様、実力試験の準備が整いましたので、ご案内します。どうぞついて来て下さい。」


受付のエルフ女性が、扉開け準備が出来たことを伝える。

そして、実力試験を行う場所へと案内され後ろをついて行く。

さっきの、筆記試験の部屋から更に奥へと向かうと、両開きの扉があり受付のエルフ女性は、扉を奥に押して開く。

中は学校の体育館程の広さと高さがあり、カマボコ型のように見える。

どういう仕組みなのか、柱らしき物もないのに、天井まで石のブロックで覆われているのだから不思議だ。

そんな、部屋の中央に独りの男性が立っていた。


「よう!なんだ、マコト。相手はお前だったのか。」


そんな声を掛けてくるのは、この街に入るのにお世話になったエドアースさんだった。


「え?エドアースさん?なんで?」

「おう、門番の仕事は夕陽鐘まででな。そんで居るって訳よ。」

「訳よって、門番って貴族の騎士とか兵士なんですよね?良いんですか、こんな事して?」

「あー、余所じゃどうか知らないが、ここの兵士は領主の指示で冒険者ギルドで訓練を受けててな、ギルドに最低Bランクの実力があると判断されないと、兵士を降格かクビになっちまう。

しかも、兵士の仕事ばかりしてギルドの訓練サボると降格かクビになる。その分給金はいいけど結構大変なんだわ。それとは別に俺は冒険者ギルドの冒険者で、ギルドでAランクだからこうやってギルド試験官としての義務もあってな。まぁ仕事の内って訳よ。」

「へぇ~色々あるんですね。」

「おーよ。さて、話も済んだ事だ。そろそろ試験を始めるとするか。」


エドアースが言うと、受付のエルフ女性が説明を始めた。


「では、実力試験の説明と注意事項をお伝えします。

実力試験は、試験者が降参するか試験官が終了と言った時点で試験終了です。

普通はありえませんが、試験官を気絶させる等、戦闘不能になった時も終了とします。

武器は入口横にある、刃を落としてある武器から好き物を使ってもらって構いません。ただし、どんな形状であれ素手以外の自前の武器は使用禁止です。使用した場合、即失格となります。魔法は初級までなら使用しても構いません。

最後に如何なる事があろうと、試験官を再起不能にしたり、死なせた場合は犯罪となり、強制拘束の上兵士に引き渡します。

以上で説明を、終わりますが、質問はありますか?」

「いえ、特にはありません。」

「では、武器を選んでもらい、ギルド試験官の合図で試験開始してください。」


んー、武器か。使ったことなど当然ないが、憧れはあるよな。

木刀があれば良かったが剣しかない。

斧や槍はいまいちだから剣にするか。


剣を手にとり、エドアースの正面で剣を構える。


「ほぉ、マコトは剣を選んだか。どれ、実力の程見せてもらうぞ。……試験開始だ!」


開始の合図と共に、エドアースは真っ正面から走り込んでくる。そして、剣の間合いに入ろうというタイミングで、素早く居合い抜きのように鞘から剣を抜きながら横一線に斬りつけてきた。


おっそ!!なんかビデオのスローコマ送り再生並みの動き。

全能力∞はすげーな。これでも軽く視てるだけなんだが。

まぁ、この街に来る途中散々モンスターと戦って目が慣れてしまったってのもあるか。

んー、変に受けるより避けるか。


エドアースの横一線を真上に跳び避けると身体を丸めるようにしながら、空中で前転回転しその反動で上から剣を叩きつける。


ガギィン!


エドアースは一瞬驚いた表情をするが、上から来る攻撃を、頭の上に剣を横に掲げ受け止める。

マコトは、受け止められた反動で逆回転しながら、スタッと地面に着地し剣を構え直す。


「マコトやるじゃねぇか。伊達に魔石をたくさん持ってた訳じゃなさそうだな。それなら、これはどうだ?」


ブゥン


一瞬エドアースがぶれたと思ったら、目の前におり袈裟切りをする。

しかしマコトには見えており


うん、一瞬早く感じたが遅い。

どうしよう?後に回り込んで胴でも決めるか?


『そのまま剣を弾いて飛ばしてしまうのは、どうです?』


あー、それがいいか。あとは、仕上げにあれをやれば……。


ガン!


剣同士がぶつかり合い、エドアースの剣が弾き飛ばされる。

武器を失ったエドアースは、瞬時に距離をとろうとして…… ドォン!と何かが当たる音と共にお腹に衝撃を受け吹き飛ぶ。


エドアースが下がろうと動いた瞬間にピンポン玉サイズのファイアーボールをエドアースのお腹目掛けて放ったのだ。

しかも無詠唱である。

10メートル程、飛ばされたエドアース。

少しじっと動かなかったが何とかヨロヨロとしながらも起き上がる。


「ぐっ、これは少し効いた、しかも無詠唱かよ。マコトの実力は大体わかった。試験終了だ。」

「試験官の終了を確認しましたので、実力試験を終了します。」


受付のエルフ女性が終了を宣言する。


「ハァ‥‥おう、もう行っていいぞ!」

「エドアースさん、大丈夫ですか?」

「なーに、こんなの大したことねぇ。今から、そこのネーチャンとランクの相談するから、マコトは受付カウンターのとこで待っててくれ。」

「わかりました。それじゃ、カウンターの所で待ってます。ありがとうございます。」


ぺこりとお辞儀をして、マコトは受付カウンターへと戻っていく。


「エドアースさん、大丈夫ですか?」

「リース、悪ぃ~……もう‥‥め‥‥‥。」


バタッ。


そのまま倒れるエドアース。その顔は苦しそうで、どうやら気絶している。


「エドアースさん!?すぐに、治療員連れてきます!!」


聞こえてはいないだろうエドアースにそう言うと、慌てて治療員を呼びに駆け出して行った。


「んー、暇だなぁ。」


(まこと)は、試験会場を去った後、エドアースが倒れた事など、つゆも知らずカウンターの前で暇を持て余していた。


「よう!新人。」


後ろから声が掛けられ、振り向くと三人の男がこちらに近づいてくる。

真ん中の男は熊のようにがたいが大きく腕の筋肉がヒクヒク動きそうな太さがある。背中にはバトルアックスだろう、斧を背負っていた。

左右の男は、見た目がまさにチンピラの雰囲気を出しており、あまり強そうには見えない。それぞれ、腰に剣をさげている。


「お前、さっきは、ランクアップ試験受けてたのか?」

「ええ、そうですけど?」

「そしたら試験官にやられて悔しいだろ。俺達は弱い奴には優しいからな。鍛えてやってもいいぜ。」

「あ、そういうの間に合ってます。」

「まぁまぁ、そう言うなって。先輩の言うことは聞いておくもんだぜ?」

「気持ちは嬉しいのですが、自分で何とか出来ますので。」

てめぇ……グリスグ殺しのダルマカ様が鍛えてくざさろうってんだ!素直に有り金全部出しやがれ!」


優しい口調で話していたダルマカだったが、(まこと)が断り続けた事でチンピラ風の男が怒り出す。


わぁ~テンプレ?まじかぁ。

ってか、グリスグってなんだよ?

よくわからんな。

んー、倒すのは簡単だが大丈夫だろうか?ルシア解る?


『まず、グリスグとは、熊型の魔獣でマスターが倒していた魔獣です。モンスターの強さを表すランクで言いますとDランクになります。それと、ギルド内部での争いは禁止ですが、正当防衛は認められていますので、証言者がいれば殺しても大丈夫です。』


あー、あの熊ね。ガオガオうるさかったな。でもなんで草原なんかに居たんだろ?そういう魔獣なのか?。

とりあえず、殺す程じゃないってか殺した事無いから殺せない。

気絶くらいはしてもらうけど。


「嫌です。」

「んだと、俺様を舐めやがって!」


ダルマカは、背中にある斧で(まこと)に斬りつけてくる。


ダルマカの攻撃を横をすり抜ける様に避けると、(まこと)はそっとダルマカのお腹に手を当て…


神動破(しんどうは)」 「ッ!…………」


(まこと)は周りに聞こえないくらいの小さな声で技を放つ。

神動破(しんどうは)を受けたダルマカは声もなくその場で崩れ落ちた。


神動破(しんどうは)とは、内部に直接衝撃波を伝えダメージを与える技である。

通常は、武道を極めた者が奥義として使用するような技で、見た目も若く武道に精通していない(まこと)が使えるような技ではない。

しかし、(まこと)は全能で有るがため理屈は通用しない。


「「なっ!?」」


取り巻きの男達は、驚きの声をあげ固まってしまう。


「すいませんが、手を出したのはそちらです。気絶はさせましたが殺していません。一応正当防衛ですよ?。」

「なっ!何いってやがる!これで終わるとおも「はい、そこまでにしてください。」うなよ‥‥」


取り巻きの一人が声を荒げていると雑踏の中でもはっきり聞こえるような声で、受付のエルフ女性、リースが止めに入る。


「先程の揉め事は、確かに正当防衛が成立するとギルドが保証します。これ以上事を起こすのであれば、ギルド規約に違反しますが、よろしいですか?」


静かに話すリースの顔は笑顔だが、その眼は鋭く物言わせぬ雰囲気を出していた。


「な、何もしねぇよ。なぁ?」

「お、おう」


取り巻き2人は首をブンブン横に振りながら答える。


「では、他の方の迷惑になりますので、その寝ている方と一緒に今日はお引き取り下さい。よろしいですね?」


更に笑顔で取り巻き達に去るように言う。


「あぁ、兄貴酒の飲み過ぎで寝ちまったようだし‥‥宿に戻るところだ。

おい、行くぞ!」


取り巻き達がダルマカの肩に手を回して運びギルドを去っていった。


「さて、マコト様。お待たせ致しました。おめでとうございます!ランクアップ試験は無事合格となります。これより、ギルドカードの更新を行いますので、カードの提出をお願いします。」


受付エルフ女性のリースさんは、さっきの出来事などなかったようにランクアップ試験の合格を伝えてきた。

なんとなく呆気に取られ言われるままにギルドカードを渡す。


「はい、では少しお待ち下さい。」


ギルドカードを受け取るとそのまま奥に向かい、数分程で戻ってきた。


「お待たせ致しました。こちらが新しいギルドカードとなります。

今回のランクアップ試験で、マコト様はランクCからのスタートとなります。冒険者ギルドの説明は必要ですか?」

「はい、お願いします。」

「では、説明致します。

当ギルドは冒険者の方に依頼を斡旋し、達成していただく事で依頼料金から手数料や税金等を引き、その資金等を基に当ギルドは運営しております。

冒険者ギルドには、規約と罰則があり、当ギルドの冒険者はそれに遵守していたたきます。

冒険者の方には、ランク付けをさせていただいており、下からF・E・D・C・B・A・Sとなり一番上がSとなります。Bランクからは、B-・B・B+と三段階となっており、B+の上がA-となります。最高ランクはS+です。

B-ランクからは、当ギルドの優遇制度を受ける事が出来ますが、同時に当ギルドでの指名依頼や、新人の研修、ギルド試験官などを請け負う義務が発生します。

ランクを上げるには、貢献度(クエストポイント)を貯めていただき各ランクアップに必要な貢献度(クエストポイント)を貯める事により、ランクアップ試験を受ける資格を得ます。

必要貢献度(クエストポイント)に達し、尚余った貢献度(クエストポイント)は、ランクアップ試験に合格の場合、次のランクアップ試験での貢献度(クエストポイント)として残ります。

不合格の場合は、試験に必要な貢献度(クエストポイント)が消失し、余った分のみ残る事になります。

不合格を受け、仮に余った貢献度(クエストポイント)が、すでに再び同試験を受ける貢献度(クエストポイント)まで貯まっていた場合、不合格を受けてから、3ヶ月経過するまでは試験を受ける事は出来ませんのでご注意下さい。

また、依頼などで予想を越える強さや貢献をした冒険者に対して当ギルドがランクアップが妥当であると判断した場合、当ギルドの権限によりランクアップ試験を免除し、強制的にランクアップさせる場合があります。

その場合、辞退する事も可能ですが、辞退されますと通常のランクアップ試験でのランクアップをしていただくことになります。

次に、依頼の受注について説明します。

依頼には、常時・討伐・緊急・指名の四種類があり、通常受ける依頼は、常時・討伐となります。

常時依頼は、薬草や低級モンスターの魔石、魔獣の素材など常に依頼されるもので、期間や条件などはありません。

討伐依頼は、文字通り魔獣やモンスターなどの討伐の依頼です。依頼条件があり、条件に満たないまたは条件から外れた場合は、失敗となり、罰則、違約金が発生します。

緊急依頼は、強力な個体の魔獣やモンスターの発生や大量発生など、当ギルドが判断または緊急として受けた依頼などの事を言います。

この依頼には、探索や偵察、内偵なども含まれています。

また、戦争などの場合も規約により依頼として発生します。

緊急依頼の場合、当ギルドが冒険者の指名を行う事があり、その場合、戦争の依頼を除く他の依頼は、請け負う義務が発生します。

仮に冒険者が怪我の治療中や他の依頼で遠方に居るなど当ギルドが指名が困難と判断した場合は、免除されます。

ただし、義務を放棄したと当ギルドが判断するような行為が行われた場合、罰則が発生します。

指名依頼は、依頼主が冒険者を指名し、その冒険者に依頼をする事です。

指名依頼には、冒険者の拒否権があり拒否する事が可能で、それに対する罰則等はありません

また当ギルドでは、冒険者自らが直接、依頼主への依頼料金や優遇処置などの交渉は禁止としており、依頼主側からの相談があった場合のみ、当ギルドが仲介となり指名された冒険者と依頼主間での交渉が可能となります。

次に規約や罰則について説明します。

代表的なのは、冒険者同士の殺し合いの禁止。一般人への暴力や障害及び殺害等の禁止。などです。

また、当ギルドを介さず直接請け負った依頼等に関しては当ギルドは一切の干渉・関与を致しません。

当ギルドは、基本的に冒険者同士のトラブル等に関与・干渉を致しません。

ただ冒険者同士でのトラブル等回避の為の、決闘システムがあります。

あと、当ギルドが関与・干渉する必要性があると判断した場合は、当ギルドの権限により対応させていただきますのでご了承下さい。

当ギルドの建物など、私有地内での喧嘩・揉め事・トラブルは、禁止されており、破られますと罰則がありますので、ご注意下さい。

以上、必要事項の説明を終わりますが、質問はありますか?」

「大体は分かりましたが、一つだけ‥‥緊急依頼の指名と指名依頼では、どう違うのでしょうか?」

「はい、緊急依頼は当ギルドが緊急案件であると判断した場合に冒険者に依頼または、指名依頼を行います。

他の依頼主からの緊急案件として依頼を受けた場合は、当ギルドで精査し緊急依頼が妥当と判断したものを、当ギルドがその依頼内容により冒険者に依頼または指名依頼をします。

ですので、緊急案件として要請のあった他の依頼主からの直接指名は出来ない事になっており、指名する場合は如何なる依頼であろうと指名依頼となります。

指名依頼は、他の依頼主からの指名依頼があった時のみで、当ギルドが依頼する事はありません。

当ギルドが指名依頼する場合は、全て緊急依頼として処理されます。以上質問の回答とさせていただきます。」

「ありがとうございます。よく分かりました。」

「では、マコト様の冒険に勇気と幸があらんことを。

お疲れ様でした。」


ぺこりとお辞儀をする受付のエルフ女性。結局一回も自己紹介がなかったな。


さてと、ギルドカードも手に入ったし、金もあるから宿に泊まれるな。

お薦めの宿がないか聞いてみるか。


「あの、これから宿を探すのですが、どこかお薦めの宿はありませんか?」

「そうですね、それでしたら『安楽幸(やすらぎ)の宿』という宿がよろしいかと。このギルドを出て右側を真っ直ぐ行くと左手に見えてきますよ。」

安楽幸(やすらぎ)の宿ですね。ありがとうございます。」


受付のエルフ女性に、宿を教えてもらい冒険者ギルドを出ると、陽は落ち外は真っ暗になっていた。

しかし、街が豊かなのか等間隔に街灯があり余り暗く感じない。

そんな少し文明的な部分に興味をひきながら教えられた宿へと向かう。

冒険者ギルドから思ったほど遠くなく、数分で着いた。

まだやってる事を祈りつつ、宿の扉を開けて中に入る。


カラカラカラン


ドアベルの音を聞きながら、中の様子を見る。

目の前に受付があり、左横側の奥に厨房らしきものが見える。たぶん左側が食事処だろう。丸テーブルとそれを囲むように椅子が並べられ、酔って寝ているのだろう、人がテーブルと仲良く添い寝をしている。

右側には、二階への階段と階段横に扉がある。


「すいませーん。」

「はいはい、こんな遅くにお客さんかい?あいにく、厨房の火を消してしまってるから、食事なら出来ないよ。」

「いえ、泊まりたいんですけど。」

「それなら、問題ないけど、坊やお金はあるのかい?疑いたくはないけど、手ぶらの様に見えるし宿(うち)も商売だからね。」


うん、さっきもそうだったけど手ぶらってまずいな。

早くバックか何か買わないと。

んー、この人にどうやって信用してもらえるだろうか?


『ギルドカードを見せればいいと思いますよ。』


なるほど、確かにそうだな。


「えっと、これで信用してもらえますか?」


(まこと)は、ギルドカードに魔力を通し紋章を浮かべる。立体的浮かんだ紋章の真ん中にCの文字が目立つように浮き出している。


「へぇー、子供みたいな顔して、Cランクなのかい!

こりゃ~信用しない訳にはいかないね。

さっきは、疑ったりしてごめんよ。えっと、泊まりだったね。

うちは、朝と夕の一泊二食付きで400エンになるよ。」


4000円か、思ったより安いな。


「はい。では、一週間宿泊で。」


そう言い、2800エンを払う。


「銀貨2枚に大銅貨が8枚。確かに。

さすがCランクともなれば金払いもいいね!

わたしゃ、この宿で女将やってる『レンカ』ってもんさ。

よろしくね。

ホントは、今夜から夕食を付けるんだけどね、さっきも言ったけど、もう火をけしてしまってね。お詫びに明日は昼も付けてあげるよ。

ちなみに、朝食は日の出から朝鐘が鳴るまでだよ。

昼食は、昼鐘がなってから昼中鐘が鳴るまで。

昼食は朝鐘までに言ってくれたら、お弁当にするからね。

夕食は夕陽鐘が鳴ってから。夜鐘が鳴るまでだよ。

夜鐘が過ぎても酒と軽いつまみ位は別料金にはなるけど言ってくれたら出すからね。

仮に食べ損ねても、返金はないよ。

ゴソゴソ……はい、これが部屋の鍵ね。

右の階段上がって一番奥の部屋だよ。

手洗いは、そこの階段横にあるのを使っておくれ。

あと、身体を拭くのに湯が居るなら別料金だけど用意するから、その時は声をかけておくれ。

説明はこんなもんだね。

じゃ、ゆっくりしておゆき。」

「はい、ありがとうございます。」

レンカさんにぺこりとお辞儀して階段を上り部屋へと向かう。


ルシア、この世界の時間とかってどうなってるの?


『はい、このメンテナウスの世界の時間ですが。

地球と同じ1日24時間で、30日でひと月で12ヶ月で一年となります。

魔法と機械仕掛けで造られた時計が存在しており、魔法の影響か

正確に時を示します。性能の影響かとても高価な為、王族や貴族でも富裕層クラスが持ち、教会にも使われますが一般人はもちません。

そのため、一般的に各教会が鐘を鳴らす事で時間の目安を計っています。

日の出の後になる鐘が『朝鐘(あさのかね)』と言い、朝の9時にあたり、朝鐘(あさのかね)のあとに陽が高く昇ったあたりで鳴る鐘を『昼鐘(ひるのかね)』と言い昼の12時にあたります。昼鐘(ひるのかね)の後に鳴る鐘が『昼中鐘(ひるなかのかね)』と言われ、15時にあたり、夕方、陽が沈むあたりで鳴る鐘を『夕陽の(ゆうひのかね)』と言い、18時にあたります。

夕刻の後、陽が沈んでから鳴る鐘を『夜の(よるのかね)』と言い、21時にあたります。

そのあとは、鐘が鳴らず朝を迎えることになります。

基本、夜鐘(よるのかね)と共に寝る事が多く、娯楽も少ないため人通りも少なくなります。

ちなみに、現在21時46分です。』


あー、夜鐘が鳴った後か。

転生してから、まだ何も食べてないからさすがにお腹空いたな。


何か食べさせろと訴えそうなお腹を宥めるようにさすりながら、二階の奥へと向かい奥の部屋の扉を開け中にはいる。

部屋の中は10畳くらいだろうか。ベッドに小さな円形のテーブルと椅子。物を置くための三段棚がある位だ。

(まこと)は、ベッドに掛かっているシーツを少しズラして中身を確認してみた。

中は少し柔らか目の藁を敷き詰めてあり、その上に何かの草を敷いていた。


藁は新しい感じがするから、大丈夫なんだろうけど、ルシアこの草は何の為なんだ?


『この草は『サッキ草』と言い防虫、防菌効果のある草として活用されています。効果は二週間位です。また、この草は爽やかな香りを放つ事で有名で、香りがしなくなると、効果も無くなるので交換の目安にもなっております。』


へぇ~生活の知恵ってやつだな。これなら、安心して寝れる。

それにして、ラノベでよく風呂が無くて恋しくなる場面あるけど気持ちがわかる。

ラノベで有名な、スッキリサッパリできる魔法とかないの?


『もちろんありますよ。身体を綺麗にするイメージで『クリッシュ』と唱えて下さい。声に出さず無詠唱でも構いません。』


(まこと)は、クリッシュと無詠唱で唱えた。

すると、全身が仄かに輝き始め同時に、サッパリしていく感覚が全身に広がり、輝きがおさまるとスッキリした気分になった。


「おぉ!」


さすが、異世界魔法!便利なものだな。

それでもやっぱり風呂に入ってサッパリしたいのは、日本人の心があるからだろうか。


それにしても‥‥お腹空いたなぁ‥‥


結局、何も食べることもなく気分的に疲れたのでそのままベッドに入って寝てしまった。








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