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右ゾン5 2度目の転移

ダンジョンの拡張とコグモの作成と休憩を繰り返し、分かれ道を6つコグモを60体程用意できたダンジョンを歩くと大体30分程くらいだろうか。

コグモの数が多すぎてほぼモンスターハウスと化していたので道の天井にコグモ用の通路を作りその道をコグモ控室にしておいた、敵がどこまで進行していてもすぐ近くからコグモの増援が来ると言うわけだ。

もちろんコグモ専用なのでちゃんとした鎧などの装備を来た人間は通れないしコグモ道はほぼ90度の急斜になっている、万が一ロープなどを使って上ったとしてもその先はコグモパラダイス、まさにモンスターハウスだ。


我ながら良い出来に仕上がったと満面の笑みをしながらブメアと話していると


ぐぅ~


俺のお腹が鳴った。

よくよく考えてみればこの異世界に来てからかれこれ8時間程になるか色々なことがあって空腹を忘れていたが、前の世界でも食料が少なくなり調達に出て居た所をこの異世界に連れてこられたんだった。


「お腹が空いたな、何か食べ物あるか? ここ数日満足に食べてなかったんだ」


ちょっとだけ恥ずかしながらブメアに聞く。

ここは前のゾンビが蔓延る世界とは違いのんびりとダンジョン作成が出来る異世界なのだ、現に今のんびりとブメアと話をしながらダンジョンを作って居たのであたりまえの様に聞く。


「ありますよ」


やっと食事にありつけると聞くと今まで忘れていた空腹感が一気に湧き出てて来て口の中に涎がジュワーと出てくる。

早く食べたい!ただでさえ空腹と言う最高のスパイスがある上にちょっと不安で怖いが異世界の料理と言う魅力的な食べ物!


「では苗床になっているゴブリンを食べますか?」

「は?」


「ですから今捕まえてるゴブ」

「いや別に聞こえなかったわけじゃないから! そうじゃなくてなんで俺がゴブリンなんか食べないといけないんだ!?」


ウォエ・・・卵植え付けられているゴブリンを思い出してしまった・・・吐きそう・・・


「あのな?この世界ではゴブリンを食べるが普通なのかもしれないけど俺はこの世界の住人ではないしゴブリンなんて食べたくない!てか食べれないわ!」

「別にこの世界でもゴブリンを食べるが普通ってわけじゃないですよ」


「普通じゃないんだ!なんで俺にそれをすすめたの!?」


なんだ!?いじめか!いじめなのか!?


「ただ餓死するよりかはいいかと思いまして、それに冒険者の中では食べたりする人いますからね」

「・・あーなるほど・・・」


ブメアの言っている事も納得できる、冒険者ならダンジョン内で食料が尽きれば敵の死体をむさぼる事のあるのかもしれない しかしだ!


「俺は現代っ子なんだ!戦時の時の人間なら食べるかもしれないが流石に俺はあんなゴブリンしかもコグモの卵付きとか無理だろ!!!」

「でしたら一度元の世界に戻って食料を取ってきたらどうですか?元の世界になら口に合う食事あるでしょうし。 今のダンジョンから離れるのは危険ですが餓死するわけにもいきませんからね」


今なんて言った!?元の世界に帰る!?

驚きの言葉が来たので頭がついて行かない


「ま、待ってくれ!ちょっと色々聞きたい!」

「はい何ですか?」


俺の筆問を待つかの様に黙ってくれているのでありがたく思った疑問を聞く。


「じゃあまずは元の世界に戻るってどう言う事だ?  てっきり俺は戻ったらもうこの異世界には戻ってこれないのかと思ってたけど」


確かに初めの時に元の世界に戻れる的な事を言っていたが普通こう言うのって

「この異世界でやり直すチャンスをやろう!このチャンスを棒に振るか生かすかはお前次第だーわはは!」みたいなものなんじゃ?


「いえ自由に行き来出来ますよこちらの世界と元の世界の神による契約ですからね、お互い受け入れも送りだすことも許可してこちら側に来てもらってますから。 あ、一応言っておきますけど敵にやられそうだから元の世界に逃げるって事は出来ませんからね」

「ちっ!なんで?」


「今舌打ちしましたよね?」

「してない」

「・・・猿戸様はこのダンジョンの主です、猿戸様が死ぬとこのダンジョンも死にます。 もちろんその逆も」

「つまり俺が居ない間に一番奥、この部屋まで攻略されると俺も死んでしまうのか。 だからさっき今のダンジョンでは離れるのは危険みたいな事を言ってたのか」

「はい、そのとおりです。 ちなみに補足しておくと戻ってくる場所は世界同士を移動した場所なので敵の目の前で転移すると戻って来た時敵の目の前・・・なんて事もありますから注意してください」

「考えたくないな・・・」


世界転移して戻ってきたら敵のテントがありその中からぞろぞろと敵が・・ひえぇぇぇぇ!


グゥ~


バカな妄想をしている間も俺のお腹はより一層食料を求めている、一瞬ブメアが期待させたせいでお腹が痛くなるほどぺこぺこになっている。


「でも元の世界に戻るのはいいとしてあそこゾンビだらけだからなぁ」

「ゾンビとはアンデットの事ですか?」


「アンデット?んーそうなるのかな?」


ダンジョンとか魔法とかある異世界にゾンビなんていないと思ってたが言われてみればアンデットとゾンビって一緒なのか?いやでも元の世界のゾンビは噛まれたら血液感染してたしなぁ・・


「アンデットくらいの敵なら私一人でどうにかできますし、猿戸様が私を使って戦う事も出来ますし大丈夫ですよ」

「おお、言われてみれば俺はもうファンタジーの人間だった!ひ弱な人間ではない!  てかブメアって一緒に世界転移出来るの?」

「もちろん出来ますけど私一人は無理です、私は猿戸様の武器言わば所有物です。 ですから元の世界の物を持ってこの世界に帰ってくる事も出来ます」


確かにブメアは一応本だし神様が作ったとか何とか言っているから大丈夫なんだろう、よくわからないけど大丈夫なんだろう。

と言うかそんな事はいい!さっさとご飯を食べたい!食べないと死んじゃう!


「とにかく向うに行っても俺は安全なんだな?危険はないんだな?」

「もちろんです、守って見せます」


何だかただの本だが心なしか胸を張っている様に見える。


「まぁそう言う事なら早速行くか!」

「分かりました、ですが何度も言いますが長く離れるのは危険ですのであくまでも食料を取ってくるだけです」

「分かったから!」


空腹でイライラして来た俺に急かされてブメアは少しの沈黙の後に前後の魔法陣を光らせ始めた。


「では世界転移を開始しますね。私を持ってください」

「お、おう!」


激しい光と言う訳ではないが動き光る魔法陣を纏った魔術書と言うのは無言の威圧感がある。


「世界転移は私だけではできません。」

「そうなのか! よし行こう!」


「私を所持品として連れて行ってもらうと言うのもありますが世界同士を移動する許可を持っている猿戸様とその魔法を実行する道具として神が作った私が必要なのです」

「そうなのか!! よし!行こう!」


「・・・では」

「お?おおお?」


ブメアが合図すると俺の足元に小さくブメアの前後に展開している魔法陣とは違う形の魔法陣が現れていた。

驚いて数歩後ろに下がってしまったが俺を中心に魔法陣も移動する、どうやら俺がこの魔法陣の起点らしい。


視界が一瞬だけブラックアウトして次の瞬間には見た事がある景色がそこにあった。

誰かに漁られたような棚と食品類にところどころに付着している乾いた血、天井にあるライトの数本はもう光を発してない。

そう、ここは俺が異世界に呼ばれる前俺が死にかけたコンビニの店内だ。 周りをキョロキョロとみわたしてゾンビが居ないか安全を確認するが辺りには俺がつまずいた斧も俺に襲い掛かったゾンビの姿もない、その代わりにこの風景とは似ても似つかない宙に浮く本ブメアの姿があった。


「ここが猿戸様の世界ですか、あちらの世界とは全く違いますね」

「そりゃな、いまはこんなに荒らされているがほんとうはもっときれいなんだ」


「では早くその食料を取りに行きましょう、どうやら外にはアンデットが居るようですがこの室内にはいないようです」

「そんなの分かるのか?」

「これでもダンジョンのマップを管理して表示していますからね、猿戸様のダンジョンではないので気配を感じることくらいしかできませんが」


それでも気配を感じれるのはかなり有利になるよな、本来では一枚壁の向こうにもゾンビが居ないか恐怖だったがそれがな


「何を顎に手を当てて考えに没頭してるんですか早くしましょう」

「あー、分かってる分かってる。 えっと何が残ってるかな」


店内にゾンビが居ないと言う事とブメアと言う常識ではありえない存在がいることで今まででは考えられない程大胆にそしてゆっくり物色する。

これまで俺を合わせて何人かの生存者がここの食料を持っていったので残りは少ないがそれでも今の現状ではありがたい。


前なら持ちすぎてゾンビに気付かれる心配や動きが遅くなり逃げれない可能性を考えて数個しか持って帰れなかったが今の俺はここから家までゾンビの目から逃れながら移動するわけでもないので出来るだけ沢山持って帰りたい、しかし手ぶらで異世界に呼び出された俺はもちろんこっちの世界に来ても手ぶらだ。


うーんどうしたものか・・・と悩んでいた所ふと店の外をガラス越しに見るとなんと近くに中くらいの大きさのリュックを背負ったゾンビが徘徊してるではありませんか!

あのリュックを使えばかなりの数の食料を持って帰れる。


「なぁブメア」

「はい?もう帰りますか?」


「滅茶苦茶帰りたがるなひきこもりかよ、そうじゃなくてあそこにいるゾンビを倒して背中に背寄ってるリュックがほしいんだけど」

「分かりました、あれに食料を入れて持ち帰るのですね。 ではついでに私を使ってみましょう練習です」

「練習!?」


今ここで練習とな!? 確かに普通ダンジョンの中で敵が俺と対峙するときなんて最後の最後の砦だろうし危険極まりない。

今なら危険は少なく動く練習にもってこいの的がそこらへんにいるからな。


「わかった、でどうすればいいんだ?」

「まずは私を持ってください。  ではまずはそうですね・・・燃やしたり切り裂くのはそのリュックが汚れるのでプルートを使いましょう」

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