表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

右ゾン3

大体5分程休んだところで魔術書から「そろそろ魔力回復したでしょう」と言われてモンスターを作る作業に戻された。

そんなに魔力が回復するのが早いのかと思ったらどうやらレベル1の俺は元々手持ちの魔力が少ないのでその分MAXまで回復するのも早いらしい。


そんなこんなを数回繰り返しコグモを14体程揃えたところで


「では数もそろってきたのでダンジョンの入り口を開けましょう」

「え?もう開けちゃうの?大丈夫?」


コグモもそれなりにそろえたと思うがそれでも俺のダンジョンの現状は分かれ道3つにコグモ14体だ、もしまともな装備をした人間が来たらすぐに突破されそうなものだけれど・・・


「こんなに小さいダンジョンなんて変な所に入り口を出さなればそうそう見つからないですし、いきなり冒険者なんて入って来ませんよ。 せいぜい野生のモンスター程度でしょう」

「そ、そうなの?俺死なない?」

「死にませんよ、それに私はダンジョン作成をサポートする魔術書ですが同時に貴方、このダンジョンの主を守る猿戸様の武器でもあります、素人冒険者では猿戸様に傷一つつけれませんよ」


「じゃあしばらくは君が・・えっと」

「・・・・ああ、魔術書ブメアです」

「それそれブメアが相手してくれたらいいんじゃ?」


俺が魔術書の名前を思い出せない事を察してもう一度名乗ってくれる

ブメアの言う通り魔術書ってすごいってイメージだし意志もあるなら楽勝なんじゃないだろうか。


「・・・・もっと慎重に行動しないと死にますよ? 私の武器としての能力は言わばついで、おまけです。 何度も言うようですが私の本来の使用目的はダンジョン作成・サポートです、もし冒険者が手練れだったり数人なら危険が出てきますよ、もし私を使って戦うのであれば猿戸様のレベル上げてあくまでも私を武器として使ってもらわないと勝てません」

「・・・はい、ごめんなさい」


「では理解して貰えたところでダンジョンを開けて敵が入ってくるのを待ちながら戦力の増強をしましょう。いいですか?」

「わかったやってくれ」


ついに俺のダンジョンが動き出すんだ、ずっとニートだった俺だがモンスターでも部下が出来るのは何とも言えない気持ちになる物だ。

不安もあるがこれからの事を考えながらワクワクしていると


「猿戸様?ダンジョン開けますよ?」

「へ?あ、いいよ」

「・・・・だから開けますよ?その後ろの壁はダンジョンの入り口です、主が入り口で棒立ちしててどうするんですか」

「あ」

シィ・・・


奥の方に控えているコグモ達からも「こいつ本当に大丈夫か?」とでも言いたげな声を上げて俺を見ていた。は、はずかしい





一番奥の部屋にこもりながら魔術書と世間話やこの異世界の話をしながらコグモの作成も26体目に差し掛かろうとした時。

俺の操作で小さくしていたダンジョンの地図が勝手に大きくなった。大きくなった地図の入り口には赤点が三つほど光っていた


「うお!なんだ?」

「猿戸様、侵入者です」


「なに!?冒険者か!?」

「・・・いえ、人間ではなくこれは・・・野生のゴブリンですね」


冒険者じゃなくてよかった・・・、ゴブリンと言えばどんなゲームでも初めに戦う雑魚敵の部類だ俺のコグモ25体がやられはしないだろう。

しかし俺のコグモちゃんたちが死なないか少し心配だ、これだけ大量に作って居るとクモになれるだけではなく少しだけ愛情が湧いて来た、これが母性本能か!!


「戦ってる所・・・前線の様子とかって見れたりするの?」

「猿戸様が作ったモンスターであれば視界を通して私が映すことが可能ですよ」

「おお!見せてくれ!」


何かがダンジョンに入って来て地図でしか見れないのは寂しいしだからと言って俺が戦闘をまじかで見に行くわけにもいかない。


「それでは・・・・どうぞ」


一瞬だけ魔法陣に戻ってからもう一度画面に戻ったそこには先程まで俺達が居たダンジョンの入り口の映像が映されていた。

俺がさっき見た時は壁だったところには穴が開いて外から少しだけ光が入って来ている、そこをよく見るとどうやらダンジョンの入り口はどこかの森につながっているのか緑の草木が見える、俺がこの異世界に来てから見たものと言えば岩の壁くらいなので少しお日様に当たりたいとは思うがそれは後回しだ。


映されているのはクモの視界なのでもちろんどこを見たいかは俺が決める訳ではないので視界の中央には今まさに俺のコグモ達と戦いを開始しようとしているゴブリン3体が映っていた。

ゴブリン達は腰にボロ布を巻きつけ木の棒を武器として持っている様だ、なんか・・・見るからに雑魚だ。


じりじりとコグモとゴブリンが睨み合い緊張の時間がながれていた。


グギャアアアアアアア!


先に動いたのはゴブリンだった、緊迫した空気に耐えれなくなったのは一体が木の棒を振りかぶり突撃したのを合図に残りの2体も木の棒を振りかぶりコグモに突っ込んでいった。

コグモはその虫の様な機敏さでゴブリンの攻撃を横に避けた、空を切った木の棒はガンッと音を立てて地面にぶつかった。


ギャア!?


避けたコグモを追撃しようとそのまま木の棒を横に薙ぎ払おうとするが天井に潜んでたコグモが落ちてきてゴブリンに馬乗りになってそのままゴブリンの首に齧り付いた。

首に噛みついているコグモを引きはがそうと暴れているゴブリンに他のコグモたちがカサカサと集まり群がっていくコグモ達の山の下からはたまに血と悲痛な悲鳴が漏れていた。


他のゴブリン2体は味方がコグモ達に襲われている味方を助ける為に駆け寄るが、自分達が背後を取られている事に気付かずに囲まれていった。


「勝ったな、もういいよ」

「はい」


わざわざゴブリンをコグモ達が食い荒らすところを見たいとは思わないので映像をとじる。

映像を閉じて数秒すると何か胸の奥から力が湧いてくる様な感覚になる。


「おお?なんだ?」

「レベルアップしたみたいですね、意識を集中してステータスオープンと唱えてください」

「俺魔法とか使ったことないぞ」

「知ってます、といってもダンジョン作成も魔法みたいものですけど。 魔力がある時点でステータスオープンは誰でも使えます」


言われてみれば俺の魔力を使ってダンジョンを作ったりモンスターを作ったりしている時点であれも俺の魔法扱いなのか。

出来ると言われたらやってみるしかないだろう、どうなるのかワクワクしながら言われた通りに目を瞑りステータスオープンと唱えるが特に何も感じない。


「なにもおき・・・お?」


少しがっかりしながら目をあけるとそこには


名前:真田 猿戸

年齢:21歳

職業:ダンジョンマスター

Level:2

HP:600/600

MP:700/700


とだけ書かれた画面だった。


「どうですか?レベル上がってましたか?」


目の前のステータス画面に食い入るように見ていた俺に魔術書が聞いてくる


「ん?もしかしてこれ見えて無いの?」

「あたりまえですよ、誰からでも見れたら困ります」


確かに俺は魔導書しか一緒に居ないので問題ないが、もしこれが他の冒険者だったら気安くステータスを開けない事になるな。

なるほどと納得しながら今の俺のレベルを魔術書に伝える。


「ああ、上がってるみたいだ。 今レベル2って書いてある」

「ゴブリン3体ですからね、1レベルあがっただけでもいいでしょう。 どうせレベル上がった事ですし次は違うモンスターでも作りますか?」


違うモンスターか、もし違うモンスターがコグモの群れにいたらそれはまた戦いにくそうだな。

さっきの戦闘を見ていたが全て同じモンスターで数で攻めたほうがよさそうに見えた、レベルが上がり魔力が増えたなら同じモンスターでも一階の作業でもっとたくさんの数を用意出来るはずだ。


「いや、もっとコグモをそろた方がいいかなって思ったんだが」

「コグモを追加ですか?今それなりの数が居るのでほっておいても増えますよ」


なんだって?・・・言われてみればモンスターも生き物だから繁殖もするのか


「これを見てください」

「どれどれ?」


また魔法陣が映像を映し出す。

そこに映ったのは一体のゴブリンはコグモ達の餌になり残りの2体は生け捕りにされてコグモの卵を腹に植え付けられて苗床へとなっている最中だった。

もちろん急にそんなえげつない物を見せられた俺は


「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!?」


魔術書を思いっきり殴り飛ばしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ