願いと罰ゲーム
寝ていた優希はゆっくり立ち上がると全員を見て言った。
「よーし!それじゃあ俺が勝ったんだから俺の命令聞けよ!」
「は?」
それに奈々が嫌そうな顔をする。
「なにそれ聞いてないんだけど!」
奈々の言葉に後ろで瑠璃も首を縦に振っていた。
「?まぁいいじゃねーか」
奈々の言葉に優希は、あー言ってなかったなー、何て考えている顔をしながら返した。
「ちょっ」
「俺の命令はこれからもこのメンバーで海宝祭に行くで決定!!」
反論しようとした奈々の言葉を遮って優希が声高々と4人に命令を出した。
その命令にみんな呆気にとられる。
なぜなら皆が当たり前だと思っていたことを優希が命令したから。
少なくとも海音はそのつもりだった。
そうなればいいと思っていた。
だからこの命令はとても嬉しかった。
他のメンバーも苦笑していて文句を言おうとする人はいない。
その様子を見て優希は満足そうにまた笑ってみせた。
「あ、そーだ!」
いきなり笑うのを止めたかと思うと優希が海音の方に向き直る。
「海音は罰ゲームな!」
優希の発言に驚いて言葉が出ない。
「優希、いくらビリだったからってそれは・・・」
奈々が優希を諭そうと声をかけるが、また優希が遮った。
「何言ってんだ?ビリだから罰ゲームじゃなくて、途中で俺の方に戻って来ようとしたから罰ゲームなんだよ!!」
「それは海音があんたを心配したからで」
「ダメだ!罰ゲームっつったら罰ゲームだ!!」
こうなっては優希は聞かない。
奈々が申し訳なさそうな顔をして海音の方を見た。
それに仕方ないよ、と返す。
「んじゃあ海音の罰ゲームは今夜、俺と二人で徹夜な!!」
またも優希は楽しそうに罰ゲームを決めた。
もう奈々は呆れかえって何も言わない。
「なにそれ!おれもいく!!」
智也は参加して来ようとするが優希にダメだ!と言われて落ち込んでいた。
瑠璃は知らん顔だ。
落ち込んでいた智也を慰めながら優希が海音の方を見てくる。
「いいな?」
「うん!」
それに海音は大きく頷いた。
海音にとっては罰ゲームではなくご褒美だったから。
そんなこんなでその日は本殿で祭りの準備を手伝ったり、邪魔したりで遊び夕方バラバラに帰っていった。
「んじゃあ海音!飯食ったら俺ん家な!」
「うん!あとでいくね!」
「あ、ちゃんと海音の母ちゃんに言うんだぞ!!」
「わかった!」
優希ともそんな短い会話で別れた。
そして夜。
準備をして優希の家に出かける。
優希の家は歩きで15分程度の場所で近く、今は島の人たちが夜も祭りの準備をしてるからということで簡単に許可がでた。
「優希ー!」
家の外から呼ぶ。
すると2階の窓が開いて、中から優希が顔を出す。
「おー、上がってこーい!」
それだけ言って中に戻っていった。
中に入ると誰も居なかった。
優希に聞くとお祭りの準備で出ているらしい。
その夜は本当に楽しかった。
ゲームをしていろんな話をして、まぁただ途中で二人とも寝落ちしてしまって徹夜は出来なかったが。