日登島
「ついたついたー!!」
電車から男の子と女の人が降りてくる。
他にもまばらに人がいる。
「おかぁーさーん!はやくはやくー!!」
男の子ははしゃぎながら階段近くで女の人に向かって手招きしていた。
「分かったからはしゃがないの。もう2年生でしょ!それに転んじゃうわよ」
女の人はニコニコしながら男の子の方に歩いていく。
「おかあさん!て!!」
「はいはい、それじゃあおじいちゃん達のお家にいきましょうね」
「うん!」
二人は笑ってホームの階段を下っていった。
「おじーちゃーん!おばぁちゃーん!」
男の子がそれなりに高い場所にある大きな一軒家の前で大声を出して呼び掛ける。
しばらくすると中から優しそうなおばあさんがでてきた。
「いらっしゃい、よぉきたね海音(かいと)」
「うん!!」
海音と呼ばれた男の子は頭を撫でられたのが嬉しいのか大声で返事を返す。
「お義母さん、今年もお世話になりますね」
「はいはい、こちらこそ。私も由紀さんが居てくれたら助かるからねー」
そんな毎度お馴染みの挨拶とその他の話なんかを由紀と呼ばれた女の人とおばあさんはしていた。
海音は早くおじいちゃんにも会おうと家の中へ上がろうとする。
『こんにちわ~!!』
と、外でそんな聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『あ・・海音のお母さんがきてる』
『おばさんこんにちわ!かいともきてる?』
『・・・こんにちわ』
外からは他にも聞き覚えのある声が次々と聞こえてきた。
『ええ、もちろん海音もいるわよ』
そういって玄関に顔を覗かせる。
「海音!お友達きてるわよ!」
もちろん海音も分かっていた。
「うん!あのね、あそんできてもいい?」
「ええいいわよ、行っておいで!」
そんな短いやりとりで海音は外に飛び出す。
「よー海音!久しぶり!!遊びいこーぜ!!」
一番先頭にいる男の子が真っ先に声をかけてくる。
「うん!」
そういって海音を含んだ子供達は坂を駆け降りていった。
『暗くなる前には帰ってくるのよー!』
そんなお母さんの言葉を聞いて。