自己紹介のついでに回想
読みやすいように漢数字と数字を使い分けています。
――――あなたの名前はとっても悩んだのよ。ひらがなにしようかとか、漢字にしようかとか、どの漢字を使うかとか、何度もお父さんと話したわ。だからいい? あなたのその名前は素敵なのよ。誇っていいわ。
小学生四年生の頃に授業で、『自身の名前の由来を親に聞く』という宿題が出た。家に帰って宿題のことを説明するとお母さんが話してくれた。私の名前はお母さんとお父さんが悩んで悩んでようやく付けたものらしい。
私の名前は眞琴。
〝真〟の異体字(意味や発音などは同じだが違う字体で表現している文字)と楽器の琴で『眞琴』。
漢字は好きだけれど、なんだか響きが男の子っぽくて初めは嫌だった。
けれどその響きが徐々に好きになって、いつしか大切と思えるようになった。いまでは両親に胸を張って自分の名前が好きだと言える。小学四年生の私にいま会えたならば、この名前の良さを伝えてあげたい。私の名前は本当に素敵だよって。
私は現在二十歳の大学生で7月23日生まれのしし座だ。あと一日前に生まれていたらかに座だったと思うと、なんだか哀しい気持ちになる。個人的に思うことだけれど、しし座よりもかに座の方が星座占いの結果がいい気がするからだ。
わたし達は生まれた月日によって十二の星座に分けられる。
牡羊座・牡牛座・双子座・蟹座・獅子座・乙女座・天秤座・蠍座・射手座・山羊座・水瓶座・魚座。
そしてこれらはよく占いに使われている。運勢がいいと書かれているときもあれば、悪いと書かれているときもある。占いだから仕方がないかもしれないけれど、私はそれをたまに悔やんだりもした。
できることなら人生は楽しい方がいい。明るい方がいい。幸せな方がいい。
つまり、運勢は良いに越したことはないと思う。
もしも星座占いの結果が人生を多少なりとも左右しているのならば、7月23日から8月22日の間以外に生まれて、他の星座を持って人生を体験してみたい。
そう、あの日のしし座は運勢が良いとはお世辞にも言えなかった。




