エトラ・セリエドール
2日空きましたが(仕事忙しかったので)、今回はエトラ回です。ポジション的にはエトラは清楚枠
王から直接受け取った「20億40万ダスト」は、
ド派手な専用金庫に詰められた。
カレンは金庫を引きずりながら城門を潜る
「うぅぅ……重い……!重すぎる……!
金の重みって物理なのね……」
その様子を見てワイアットも旅の不自由を懸念する
「流石にキツイな⋯馬車買うか?」
するとエトラが思い出したように
「収納魔法使いますか?軽量化もできますよ?」
「え?マジで!?なんでもっと早く言わないのォォ!?」
こうしてまた颯爽と駆け出すワイアット達
王都の民が盛大に見送り、金の紙吹雪が空を舞う。
いざ、次の旅路へ
ワイアットとカレンはノワールジェネシスに跨がり
ミレイナはいつも通り気品ある騎乗でレオノールへ。
そして――エトラは軽やかに、空に浮かぶ魔法の箒にまたがる
「よし!んじゃあ、次の国行ってみっか!まだまだ世界は広いぞォ!!」
「次は金塊山分け王国とかがいいな〜♡」
「……欲望に忠実ですね、あなたは」
「ふふ……でも、なんだかワクワクします」
4人は日の昇る方角へと進み、
夢と欲望の帝国・シャザール王国を後にした
砂漠を抜け、海の国へ向かう
一行は王国を出発し、緩やかな丘陵地帯を進む旅路へ。砂金のようにきらめく砂を背に今は穏やかな草の道。
ノワールジェネシスとレオノールの蹄がリズムを刻み、エトラは箒でふわりふわりと並走中。
馬上でカレンが金貨を抱えて、ふと口を開く。
「ねぇねぇ……シャザール競馬で20億もらったけど、アタシらの所持金って今いくらぐらいあるの?」
「確かに⋯把握してませんでしたしお金の管理はしっかりすべきですね⋯全部開いて数えないといけませんか⋯面倒ですけど」
「ははっ、まあ気にするほどじゃねーだろ。どうせ数億はあるって」
そこで、空からスッとエトラの声が入る。
「……魔法で数えられますよ?」
一同
「……え?」
「基本的な財務魔法ですからすぐ終わります⋯
42億8622万8302ダストです」
エトラが自身の収納魔法の空間に意識を向け会計を終えるまで、この間僅か数秒
「……今、なんて?」
「42億って……そんな大金を一瞬で」
「……そんな精密財務魔法使える人王都にもいませんでしたよ⋯」
その後も次の国へ向けてな長い道のりは続く、その間にもエトラって実は万能?とワイアット達は連日思い知る事になるのだった
後日のキャンプ。
エトラは最近になってミレイナと共に料理を振る舞う、それの味に驚愕するワイアットやカレン
「家庭料理の延長なので、味の保証はできませんが⋯どうぞ」
ワイアットが焚き火のそばで一口食べて、言葉を失う。
「……うっまッ!?え、なにこれ、
王宮ディナーよりうまいんだけど!?」
「どこが家庭料理!?高級店で出されても納得なんだけど!」
さらに、ミレイナの服の袖が破けたとき
「あー……この服、気に入ってたのに……」
「直しましょうか?」
(魔法糸と細針を展開、数分で修復)
「できるだけ目立たないようにはしました⋯どうですか⋯?魔法糸なのですごく丈夫ですからしばらくは大丈夫です」
「……早い、綺麗、完璧……、しかも魔法だけではなく手縫いで丁寧に⋯旅団専属裁縫士にしたい……」
最近のエトラのパーティに対する貢献にワイアット達は感謝、旅は格段に快適になっていた
そんなある日、遂にワイアット達は尋ねる
「てかさエトラ……お前、なんでそんな完璧なのに追放されたんだよ?」
「うん、それ超知りたい。ねえ、マジでなんで追放されたの?」
エトラの静かな答え
箒で降下し、ノワールの隣に並んだエトラは少しだけ寂しげな笑顔を見せる。
「……私、アーネストさんのパーティにいた時、
あまり目立っちゃいけないって思ってました。
勇者様を立てて、黙って動いて、空気を読んで……」
「でもやっぱりそれが『何もしてない』って思われちゃって。『魔力が低い』『戦闘で目立たない』って……それで、ある日負傷したついでに追放されました」
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一瞬、空気が静まり返る。
「……なんだよそれ誰のなにもしてないのはアイツらだろ?」
「魔力が低い?いやいやこの正確財務魔法と空間魔法、かなり高等技術ですよ?エトラ程の魔導師なんて滅多にいません!」
「てか!料理も裁縫も完璧、愛想良しで癒し系って、
勇者が一番必要とするポジじゃん!あの勇者モドキバカなの!?」
エトラの才を絶賛する。既にエトラはワイアット達の掛け替えの無い仲間だ。エトラはほんの少しだけ、
目を潤ませて笑った。
「……でも今は、こうしてワイアットさんや皆と旅できて、本当に楽しいです。役に立ててるなら……嬉しいです」
ワイアットは立ち上がって、ポンとエトラの頭を撫でる。
「役に立つどころか、お前いなかったら俺たち破産してたな。マジで助かってる。ありがとな」
「……はいっ」
旅はまだ続く。
だが、エトラの「本当の居場所」は――
ここに、確かにある
「それにしてもアーネストのやつ許せねぇな!鉄道の人身御供で線路の下に人柱にしてくれば良かったか?」
「いいねそれ〜♡ついでに取り巻きの女も一緒に埋めちゃう?今からでも戻る〜?」
「私も反対はしません」
「こっ⋯怖い事言わないで下さい⋯!!」
そして遂に町が見えた
国境を出ると白壁と尖塔が立ち並び、往来は札や祈祷具を売る露店で埋まっている。
通りの中央では、白衣の一団が人垣をつくり、金の鈴の音を響かせていた。
「こういう“新しい神様です”ってやつは嫌いなんだよな。大抵、金と不安を吸う」
ワイアットが眉をしかめる。
人垣の向こう側では、丸い指輪をはめた教主らしき男が、天蓋つきの椅子に腰かけ、隣に銀の面紗を垂らした“聖女”が座っていた。
「見よ!奇跡の聖油!これを額に塗れば病は去り、交易は栄える!本日の御加護は一瓶5000ダスト!」
「……高いですね」
ミレイナが冷静に呟き、手元の財布を守るように握り直す。
「ねえワイアット、あの面紗の人、綺麗。……でも、なんか嘘くさ〜い匂いがする」
カレンが鼻をひくつかせる横で、エトラは一歩、人垣に近づいた。
聖壇の前で幼い少女が震える手で瓶を受け取ろうとしている。その隣、母親は片脚を引きずっていた。
エトラは唇を結んだ。
「おいやめとけ、こういうのは“効いたことにするために、もっと払わせる”のが手口だ」
「わかっています。でも――」
エトラはそっと両手を胸の前で組むと、視線を聖女へ向けた。
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講壇の前。
教主は聴衆の前で銀杯に水を注ぎ、粉を一つまみ落とす。水面が淡く光った瞬間、歓声があがった。
「御神水だ。これを飲めば罪が洗い流される」
「うわ、舞台装置の匂いしかしない」
ワイアットが鼻で笑った時、エトラが一歩、前に進んだ。
「……その光、魔力の反応はありません」
囁くような声だったが近くの者には届いた。人垣がざわめく。
「なんだ、異教の娘か。疑うなら退きなさい。我らは奇跡を授ける者だ」
エトラは膝をつき、母の脚に触れた。
透明な膜のような魔力が、骨と筋を優しく包む。
硬化と浮遊の補助術を重ね、簡易の支えを魔法で作ると、布で固定した。
「今すぐ治すことはできません。でも、負担を減らして、歩きやすくすることは……」
母はおそるおそる足をついた。
一歩。二歩。顔が驚きから安堵に変わる。
「歩ける……!」
少女がぱっと顔を輝かせ、エトラの手を握った。
「ありがとう、魔法使いのお姉ちゃん!」
「奇跡を語るなら、せめて本物をあってください」
エトラは小さく息を吸い、杖先を胸元の前に掲げる。青緑の魔法陣が、砂の上に薄く咲いた。
ふっと空気が震え、聖壇周りに薄金の光が広がった。
その光に触れた瞬間、教主の言葉が黒い墨のようににじみ、聖女の面紗の周りで細い糸がきらめく。背後に隠された小箱の仕掛け、粉末に混ぜた蛍光粉
――“奇跡”の種が、光の中で白日のものとなった。
「ば、馬鹿な……! 貴様、我らの神聖を汚すか!」
「汚しているのは、あなたです」
エトラの声は震えていなかった。
人垣の奥から、ミレイナが静かに進み出る。銀の騎士の姿に、露店主や衛兵が道を空けた。
「武装の者は退け。民衆に手出しはさせない」
ミレイナが一言告げると、教団の取り巻きがたじろぐ。
同時に、カレンはいつの間にか壇上裏に回り込み、糸の通る滑車を外して床に転がした。
「はいは〜い、道具没収♡」
「やめろ!聖具だぞそれは!」
「聖具って名前の小道具でしょ、くすくす」
ざわめきが潮のように広がる。
「待て待て、手が早えな。……教主さんよ、あんた、前にも似た“巡礼”やってるな? 西の国の新聞に出てた顔だ」
ワイアットが折り畳んだ紙片を教主の前に突き出す。記事の端には、別名を使う同じ男の木版画。
教主の額から汗が落ちた。
「これは、ええっと、その……」
「言い訳は後で保安庁で聞く。――群衆、下がれ! 押すな!」
ミレイナの号令に、衛兵たちが臨時の柵を立てる。
聖女は青ざめた顔で面紗を外し、俯いた。若い、ただの娘だった。
「あなたは騙されていただけ。逃げて」
エトラが囁くと、娘は涙ぐみ、小さく頷いて群衆の陰へ消えた。
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騒ぎがひと段落する頃には、人垣は半分に減っていた。
残ったのは、瓶を抱えたまま立ち尽くす者たちと、ため息、そして怒り。
「……すみません。わたしたち、騙されて……」
さきほどの少女が母親の手を握っていた。
「奇跡なんて、ないんだ……」
その一言に、エトラは首を振った。
「――嘘の奇跡はありません⋯でも“本当の助け”は、できます」
夕刻。市場の喧騒が戻り始めた頃、教主は衛兵に連行されていった。
押収された“聖具”は広場に並べられ、返金の列には長い影が伸びる。
「よくやったな、エトラ。……ああいうのは、早めに芽を摘むに限る」
ワイアットが肩を叩く。
エトラは小さく首を振った。
「私、ずっと怖かったんです。誰かの信じるものを壊すのは、間違いなんじゃないかって……でも、嘘で苦しむ人がいるなら、私の魔法は、その嘘を壊すべきだって、思いました」
「それでいい。信仰は勝手にしてりゃいいが、“代金引換の奇跡”はいただけねえ」
「……我が君が珍しく良いことを言っています」
ミレイナが微笑み、カレンが両手を頭の後ろで組む。
「ねー、でもさ。あの“御神水”、味だけは良かったよ? ただの甘い水だったけど♡」
「お前、飲んだのかよ」
「味見は調査の基本ですぅ〜」
笑い声が、砂の夕焼けに溶けていく。
屋台のおじさんが焼きたての平パンを差し出した。
「お嬢ちゃんたちに奢りだ。うちの店、今日だけ“奇跡の半額”だとよ!」
「それは本物ですね。ありがたく」
パンをちぎって分け合いながら、四人は歩き出す。
風は涼しく、空は群青に沈み、尖塔の影が長く伸びていた。
嘘の光は消えた。だが誰かの手の中で灯る小さな本当は確かに残る。
「明日も働くぞ。――なあ、金は、汗の分だけで十分だ」
「はい」
エトラの返事は、少しだけ大きかった。
その日のよる空には星がこぼれそうなほどに広がっていた。
ワイアットはバルコニーで風にあたりながら、
空っぽになったジョッキを片手に、何気ない夜を楽しんでいた。
そこへ、控えめな足音が近づく。
「……ワイアットさん」
「ん?エトラ、どうした?
なんか、楽しそうな顔してるな」
エトラはワイアットの隣にそっと立つ。
手すりに手を添え、夜空を見つめる⋯その横顔は
月明かりに照らされて宝石のようにきらめいていた。
「……思ったんです。あなたに出会えたから、私……“必要とされてる”って、初めて感じました」
「旅が始まってから、ずっと不安で、居場所なんて無いって思ってたけど……
仲間も皆いい人で、こんなに綺麗な景色も観れて……」
ワイアットは黙って、彼女の言葉に耳を傾ける。
その表情は、どこか優しく、どこか切なく――
しかし照れ笑いを浮かべ
「……だから、ありがとうワイアットさん!」
そして――
「大好きです!!」
星空の下で、エトラは満面の笑みを浮かべて言った。
それは、曇りひとつない、真っ直ぐな恋心。
宝石のような声だった。
ワイアットは一瞬、言葉を失った。
そして、次の瞬間。
ゆっくりと、彼女の肩を抱き寄せる。
そっと笑いながら
「エトラ……エトラが可愛くて、愛おしくて、
どうしようもねぇよ、エトラにそう言って欲しかった⋯」
「ミレイナも、カレンも大事だけどさ――
お前も、全く同じくらい大切なんだ。
……これからは、遠慮しなくていい。
思いっきり、俺に甘えろ」
「……っ!」
目に涙を浮かべながら、エトラはワイアットの胸に顔を埋めた。
そのまま、ふたりは静かに唇を重ねる――
「ワイアットさんの腕の中⋯温かい⋯キスも優しい⋯これがミレイナさんやカレンさんの感じた温もりなんですね⋯」
月と星が照らす、海と空の境界。
それはまるで、世界にふたりだけしかいないような、
優しくて、確かで、幸せなキスだった。
翌朝
「……エトラ。髪、ふわふわですね。寝不足ですか?」
「へっ!?ち、ちが……っ!」
たじろぐエトラ、それをからかうように微笑む
ミレイナとカレン
「あ〜キスマークついてる〜♡」
「ようこそこちらの世界へ♡」
この後からエトラがチートキャラになる予定




