追放系ヒロイン
たまにはなろうらしい事しようと
焚き火の残り火がくすぶるそばで、ミレイナは一人、匙で湯をかき混ぜていた。
鉄鍋には朝食のスープが煮立ち、香ばしい香りが辺りに広がる。
「……ワイアット、もう朝ですよ……」
そっと声をかけながら、ミレイナは隣で丸くなって寝ているワイアットの肩を軽くつつく。
「全然起きませんね……」
少しだけ膨れた表情で、顔を近づけ──
チュッ。
頬にそっと、朝の挨拶代わりのキスを落とした。
「……」
直後、ワイアットが目を開ける。
「……ミレイナ、お前って本当に可愛すぎだわ〜……」
「っ……!?///」
顔を真っ赤に染めたミレイナが、慌てて立ち上がった。
「お、起きてたなら早く来てくださいっ! せっかく朝食、作ったんですからっ!」
「いや〜、気持ちよかったからもう少し寝てようかな〜って……」
「もうっ……!」
そんな2人のやり取りの傍ら──
カレンは寝袋にくるまったまま、すぅすぅと無防備な寝息を立てていた。
ぐっすりと、まるで子供のような寝顔を見せながら。
ワイアットはその姿を見て、肩をすくめる。
「さて……カレンはもうしばらく放っておくとして、ミレイナ、朝飯もらおうかな」
「……はい。我が君の分、ちゃんと温かいうちにどうぞ」
穏やかな朝は、少しずつ動き出していた。
陽が昇りきれば、また新たな道が始まる──そんな旅路の一幕だった。
一方その頃──
「ん〜……ワイアットぁ……も〜、夜の続き……♡」
(熟睡中)
視界が開けた先には、活気あふれる大都市が広がっていた。
遠目にも分かる高層の建築群、行き交う馬車と人々のざわめき、石畳を走る鉄の塊――。この世界ではまだ珍しい鉄道の姿に、ワイアットたちは思わず足を止めた。
「……うわ。すっげぇな。ここまで栄えてるとは思わなかったぜ」
ワイアットが低く口笛を吹く。目の前の都市は、近隣諸国の中でも頭ひとつ抜けて栄えているという話は聞いていたが、想像を遥かに超える文明の色に、思わず笑みがこぼれる。
「市場も大きそうですね……あれだけ人の往来があれば、物資にも事欠かないでしょう」
ミレイナは冷静に都市機能を見極めながらも、どこか驚いたような声をしていた。石造りの建物に掲げられた冒険者ギルドの看板や、整備された路面。衛兵の制服すら統一感があり、規律の行き届いた街であることを物語っている。
「ねぇねぇ、あれ見て!あんな大きな市場、初めて見た!」
遠くからでも分かる、大規模な大市場のテントの群れ。香辛料の香り、甘い果実の匂い、鋼と油の金属音……情報も人間も欲望も、この街には何でも揃っているようだった。
カレンはすでに観光モードに入っていた。両目をキラキラさせながらワイアットの腕にしがみつき、無邪気にはしゃぐ。
「おいおい、まだ入ったばっかだぞ。……でも、確かに面白そうな国だな。ここなら何か“ひと山”当てられるかもな」
「さすがアタシの旦那♡」
笑うワイアットの瞳には、街の喧騒とは別の輝きが宿っていた。
ギルド、鉄道、市場……そして金と夢の匂い。
石畳の広がる坂道を、3人と2頭の影がゆっくり登っていく。
空を貫くような鐘塔、白く輝く屋根、空を行き交う無数の鉄の箱──それは、この国でもっとも栄えた大都市。
ゴーッという音とともに、遥か向こうを通過していく鉄道。
馬にとっては馴染みのないそれに、ノワールジェネシスとレオノールが少し身構える。
「すごい……!まさか、本当に鉄の箱が人を運んでいるなんて……」
(目をキラキラさせながら街並みを見上げるミレイナ)
「んじゃ、まずはギルドに顔出すとするか。名を売るには拠点が必要だしな」
街の中央部、大理石の石畳を踏みしめる音とともに、ワイアットたちは冒険者ギルド「蒼天の角笛」の巨大な建物へ向かっていた。
華やかな外観に、活気ある笑い声と喧噪が漏れてくる。
「さすがは大都会のギルドだな……建物が城かってレベルだぜ」
「おっきい〜……!なんか強い冒険者がいっぱい集まってそうね♡」
「……ふむ、まずは短期登録を済ませて、それから情報収集ですね」
その時──
ギルドの壁際に腰掛けていた一団の中の男が、ミレイナとカレンの姿を見て立ち上がった。
「おっと、そこの綺麗なお嬢さん方!」
突如、横から割り込むように現れた金髪に赤マントの男。
後ろには彼の取り巻きらしき女二人が控えている。
「冒険者ギルドに初めて来たのかな?それなら──俺のパーティに加わるってのはどうかな?」
軽快な笑みを浮かべ、白い歯を光らせる男。
その腰には装飾過多な魔剣、胸元には目立つ勇者の紋章が刻まれたプレート。
「……は?」
「貴方は誰ですか?」
「俺かい?俺はアーネスト・ロイドこのギルドの冒険者ランキング第7位──“暁の勇者”って呼ばれてる」
「へえ〜、ランキングって便利な見栄用だねぇ。じゃ、あんたより上が6人もいるわけだ?」
「おいおい、そう冷たいこと言うなよ。君たちみたいな美女が俺のパーティに加われば、そりゃあもう人気も跳ね上がりだ──ぐふっ」
(ミレイナの肘打ちが男の鳩尾に炸裂)
「軽々しく女性に声をかけるべきではありません。失礼します」
「お〜、イイの入ったね♪行こ行こ、ワイアットのとこ行こ〜」
(遠目からくいっと帽子を傾け、余裕の表情)
「っくそ……誰だよ、あの野郎……!あんな奴に……女を……」
──こうして、アーネストは心に小さな火を灯す。
くだらないプライドと、見せかけだけの強者意識──
それが、のちに波乱を招く火種となるとは、まだ誰も知らなかった。
ギルドを後にしたワイアットたちは賑わう市街の広場、果物屋の前で寄り道していた。
カレンはリンゴ飴を頬張り、
ミレイナは私服のワンピース姿で袋を抱えて少し恥ずかしそうにしている。
「おいおい、ミレイナ〜その服姿も板についてきたなあ。どうだ?騎士様やめて専属のお姫様でもやるか?」
「な、何を言ってるんですか……っ!」
「わたしはお姫様ってより、お妾さんって感じ〜?ね、ワイアット♡」
「おいおい、やめろよ。そういうのは夜にしてくれっての」
──そんな“こっぱずかしいほどイチャイチャな空気”に、割って入る声があった。
「やはり君がワイアット・クレイン、今話題の『三人の風来者』ってわけか?」
「……あ?ああ、チャラ男か。派手な服だけはよく光ってるな。目に悪いぜ」
キッドの背後には例の取り巻きの女冒険者たちが並び、ミレイナとカレンをジロジロと睨んでいる。
「その騎士の女、どうせ無理して背伸びしてるだけでしょ〜?」
「カレンとか言ったっけ?元海賊でしょ?絶対浮いてるよね〜」
カレンは意に介さないように応じる
「ん〜〜?何か言った〜?アタシ、耳悪くて聞こえなかった♡」
「……あんたら、性格まで見た目通りチャラいな。
勇者なんだろ?もっと国のために戦ってくれよ。女口説いてる暇があったらさ」
勇者でもないワイアットに茶化され表情が曇るアーネスト
「テメェ……!」
「それにしても、女を“数”で誤魔化すスタイルって、いかにも器が小さいな。見ろよ俺の女達をよ」
「ッ……!!」
「やだ〜ワイアット、それ言っちゃ可哀想〜」
「ですが事実ですしね」
周囲の見物人がクスクスと笑い始める。
アーネストの顔は真っ赤に染まり、歯ぎしりが止まらない。
「……行くぞ!!」
女たちを連れて、ギルドの方向へと怒りの撤退。
一方、ワイアットはお構いなしにリンゴ飴をカレンから横取りする。
「ま、口喧嘩ってのは拳よりタチが悪いからなぁ」
「でも、ちょっとだけスッとしました……」
アーネスト達を躱し、再びギルドへ
ギルドの高級木材と金属で装飾された大ホール、その奥にある「上級者専用クエスト受付」。
ワイアット、ミレイナ、カレンの3人が悠然と歩いていく。
「お三方、お待ちしておりました。こちらが現在、最上級のクエストです」
提示されたのは──
《鉄道設営区画・第13区周辺の魔獣討伐と安全確保》
「鉄道の敷設現場ですか……この国の未来に関わる大規模事業ですね」
「ってことは、それなりにヤバい魔獣が出てるってことね〜」
「報酬額もそれなりにヤバいな。よし、受け──」
「待った!!」
ドアを乱暴に開けて入ってくるのは、あのチャラ勇者・アーネストとその取り巻きパーティ。
「へぇ〜、こんなクエスト受けようなんていい度胸だな?……でも悪い、そのクエスト、俺たちも今から受ける」
「ほう?たまたまか、はたまた張り合いに来たか?」
「張り合いに来たんだよ。お前らと俺たち、どっちが本物の冒険者かハッキリさせようぜ。
──勝負だ。先にクエストを完了した方が報酬総取り、敗者はノーギャラってことでどうだ?」
「どうせ勝つのはアーネスト様だけど〜♪」
「ワイアット?負けても泣かないでね〜?」
勇者の称号持ちがちょっとした事で因縁を吹っかけて来ている状況にカレンとミレイナは寧ろ笑えてきた
「うわ〜、典型的なモブ女のセリフ〜」
「やれやれ……子供の喧嘩ですね。ですが、その勝負──受けましょう」
「へっ、後悔するなよ。先に魔獣の首を手に入れるのは、この勇者・アーネスト様だからな!!」
【クエスト内容】
地点:鉄道建設予定地「第13区」周辺の森林
任務:周辺に出没する魔獣の討伐
制限:72時間以内に達成
---
そして2チームは、異なるルートから森へ突入!
ワイアットたちは常に冷静かつ、時にはゲスく、時には情熱的にこの任務に挑む!
ギルド本部前、朝焼けの中──
アーネストたちはドヤ顔で豪華な馬車に乗り込む。
「さて行くぞ、上客用の舗装路を通って悠々と現地入りだ」
「さすがアーネスト様!やっぱり冒険は優雅じゃなくっちゃ♪」
「ガタガタ道?無理無理ぃ~♡」
──が、その数分後。
土煙を上げながら、2頭の美しき名馬が風のように駆けて行く!
ノワールジェネシス──
勇者ノーザの愛馬の孫。牝馬とは思えぬ怪物じみた加速と跳躍力。人間なら一瞬で骨を砕かれるような
蹄の蹴りも、主ワイアットのためなら風のように軽やか。
レオノール──
代々王国に仕えてきた由緒ある血統馬。
誇り高き騎士ミレイナと息の合った正統派の走り。
ワイアット「ノワール、全速力だ!」
ミレイナ「レオノール、あなたもよ!」
2頭の馬は、森をかすめる崖沿いの
“危険な最短ルート”を突き進んでいた!
木々の間をすり抜け、谷を跳び越え、急勾配をものともせず──
彼らはアーネスト一行を大きく引き離し、数時間早く現場へ到達することに成功する!
---
そして現地──すでに展開するワイアットたち
「ふふ~ん♪まずはキャンプ設営完了〜!」
「周囲の地形確認と魔獣の足跡の分析、完了です。初手から圧倒的優位ですね」
「さて……“作戦”は、ここからだぜ」
──森の奥、魔獣の咆哮が響く。
ワイアットたちの“先手必勝”作戦は、もう始まっている──!
日差しの差し込む森の入り口。
静寂と湿った空気、所々に残る魔獣の足跡。
森の奥からは時折、低く野太い咆哮が響く……。
ワイアットは馬上でマップを広げ、地形を確認していた。
「よし、ミレイナ!カレン!線路の敷設予定ルートはこの森を横切って西に抜ける。先にそこへロープで印をつけとこう」
「測量と区画整理は任せてください」
すっと降りたミレイナは、地面に杭を打ち、印を結ぶ。
「さすが、几帳面な女騎士様だ」
「褒めてるようで馬鹿にしてますよね、それ」
カレンは木の陰にしゃがみ、採取と周囲の偵察中。
「ワイアット〜、あの大きな穴、何かの巣みたいよ?真新しい骨もあったし、今夜は近づかない方がよさそう」
「了解、こっちの拠点はこの辺に構えよう。木々に囲まれて見通しも悪くない」
彼は荷袋からマーク用の赤いロープと杭を取り出し、手際よく線路予定地をマーキングしていく。
「ノワール、ロープ持ってきてくれ」
(フン)と軽く鳴きながら、ロープの端を
くわえてそばにやって来る。
「本当に賢い馬ですね……」
「そりゃあ俺の相棒だし、なぁ?」
と、その隣でノワールが気高く首を振る。
2頭の名馬が静かに並び立ち、森に緊張感が走る。
──そして。
「よし、準備は整った。あとは……あの“巣”をどう仕留めるかだ」
木々の隙間から見えるのは、巨大な影が蠢く洞窟。
鉄道計画を阻む魔獣の本拠地──
その前に立つ、3人と2頭
洞窟の前、あたりは薄暗く、空気は張り詰めている。
作戦開始のタイミングを計るワイアット達
だが⋯ふと、ミレイナが何かを見つけた。
「……あれは──人?」
木陰に、ぐったりと倒れたローブ姿の少女。
黒髪に、かつては白だったであろう衣。
腕や足には擦り傷、唇は乾き、呼吸も弱々しい。
「ちょ、ちょっと!ねえ、生きてるの!?」
ミレイナは即座に駆け寄り、脈を取る。
「弱いけれど、まだ息があります……!」
その胸元には冒険者ギルドの認識証。
ミレイナが確認する名前は──
「エトラ・セリエドール……白魔道士?」
「エトラ?あっ、このパーティ名⋯アーネストのパーティじゃない!?」
「まさかだが⋯2日前、アーネストがミレイナとカレンに声掛けてたろ?あれが“補充要員”ってことか」
「まさか……この娘を追い出して補充したということですか!?」
「うっわ……最低すぎるでしょあの勇者モドキ……!」
するとエトラは微かに意識を取り戻しうわごとのように小さくつぶやく。
「……わたし……魔力が……切れて……」
ワイアットは帽子をくいっと上げ、口を開いた。
「ミレイナ。この娘を連れて街へ戻れ、
医者に診せて回復の手配も頼む」
「でも、ワイアットは……!」
「大丈夫だ、やれる。頼んだぞ?」
「……へへ、また派手にやる気なのね」
ミレイナはしばらく悩むが──
エトラの手を取って、深く頷く。
「分かりました。我が君、どうかご無事で……!」
ミレイナはレオノールを呼び寄せる
エトラを背に乗せたレオノールの背中を見送りながら、ワイアットはぽつりとつぶやいた。
「アーネスト⋯やっぱ称号なんて何の意味も無いようだなぁ⋯」
作戦、始動
──森の奥、洞窟の前。
ワイアットは軽く腕を回し、深呼吸。
「さてと……お目覚めの時間だぜ、お寝坊さんよ」
洞窟内に向け、爆音と共にピストルを2発。
炸裂する銃声は、洞窟内にこだまし──
次の瞬間、地面がドンッと揺れた。
「……来たな」
魔獣出現!
鉄を纏っているかのような硬質な外皮、
全身を覆う苔の鎧、
全長4メートル級の超重量ボディが、木々を揺らして飛び出す!
「グルルルァアアアア!!!」
「ノワール!頼んだぜ!!」
──馬上のワイアットとノワールジェネシスが走る!
地面を抉りながら、まさに怪物が突進する後ろで、魔獣が怒声を上げて追う!
森林をなぎ倒す巨大な破壊の流れ
魔獣は怒りに任せて突進!
突き進むたびに──
バッシャアアアア!!!
バギッ!!ズドォン!!!
巨木がなぎ倒され、ツタが裂け、獣道がまっさらな一本道へ変わっていく。
自然破壊? いや、これは“開発”だ。
「どけぇッ!!この森が今日から線路になるんだよ!!」
ノワールの跳躍と回避力で先導しながら、魔獣を鉄道予定地へ一直線に誘導する。
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出口・シビレ罠地点
その先では──カレンが木陰で待機していた。
「うっわ……ほんとに来たわよ、あのバカでかいの……!」
カレンの足元には、地面を覆うように設置された大型シビレ罠×3。
罠は魔獣の体重と勢いを逆手にとって設計されている。
「グオオオオッ!!!」
魔獣がワイアットを追って、勢いそのままに──
バチィィィンッッ!!!!
3連続シビレ罠が同時に発動!
魔獣の全身に雷の如き電流が走り、金属質の外皮すらビリビリに痺れさせる。
「おう、ナイス罠。これで寝てろ、朝までな!」
そして魔獣が膝から崩れ落ちると──
線路予定地の森林が、ほぼ一本道で更地になっていた。
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一方その頃──街へ戻ったミレイナ
エトラは無事に治療中。
ミレイナは街の病院の窓から空を見上げていた。
ミレイナ「貴方のやり方は、いつだって型破りで、危なっかしくて……でも、結果を出すんですよね」
胸の中に、あの不敵な笑みが蘇る。
(……ワイアット)
ワイアット、カレン、そして街に戻ったミレイナが合流。
鉄道工事責任者やギルド関係者たちが大勢で出迎える。
「ま、まさか……魔獣を“捕獲”してきた!? 死んでない!?」
「うん、安全に麻痺さたから大丈夫!すごい破壊力だったけどね」
カレンが得意気に報告、しかし
労働者やギルド関係者を更に驚愕させたのは次の報告だった
「あと、あの魔獣が通ったルート、木がごっそり倒れてたでしょ? あれ、線路にぴったりだから」
思わぬ成果に歓喜する観衆
「おおおおおおお……!! 森林伐採の手間が省けた……工期が何ヶ月も短縮される!!!」
「この成果はギルド最上級の中でも例外的だ!通常報酬の他に──追加のボーナス3000万ダストだ!」
「よし、じゃあその金で酒場で一番高いワインを──」
「全額、生活費と軍資金に回しますからね」
「ちょっとくらい良いじゃん!」「えぇ⋯」
アーネスト一行は森の入口をゆっくり馬車で到着
アーネストと仲間の女2人が下車する
「時間は掛かったが到着だ!時間もまだ40時間はある!」
「ふふっ、アーネスト様の作戦なら今回も楽勝ですね♪」
「街でちょっと騒がれたワイアット?あんな無頼者なんて相手になりませんわ!」
「フッ、勇者の実力を思い知らせてやるさ!」
しかしそのとき──
ガッシャァァン!!!
「きゃっ!? な、なにこの倒れた木々……」
「な……なんだこの一本道……まるで怪獣が通ったみたいだぞ……?」
「このままじゃ馬車が通れませんわ!」
「この馬車!なんとかしなさいよ!」
「くそ、全員で撤去だ!俺が風魔法で吹き飛ばす!」
ゴォォッ(→でも木が重すぎて微動だにせず)
「……っっ斧持って来い!」
「えぇ〜!?やだ〜手が汚れる〜!!」
「これが勇者の試練だ!!」
※その頃、目的地の魔獣は既に麻痺&捕獲済み──。
---
「さてと、報酬も入ったし一息つくか」
「皆でおいしい物食べに行こうよ〜♡」
「ふふ、今回は誰にも邪魔されず終わりそうですね……」
──そしてその頃、アーネスト達は森の中で木にぶつかって転びながら大汗かいていた。
夜中にワイアットはエトラの病室を訪ねる
「貴方が⋯ワイアットさんですか?」
「うん、ちょっと心配でね、眠れないのか?」
治療を終えた夜、静かな街外れの宿屋のベランダ。
街の灯を見下ろしながら、エトラがぽつりと呟く。
「……もう、誰かを守るために魔法を使おうなんて、思わない方がいいのかな」
「……アーネストの事はもう忘れなよ。あいつの器が小さかっただけさ」
「でも……あの人に褒められたくて……努力して……なのに“使えない”って言われて……っ」
「エトラ」
(優しく、でもまっすぐに見つめる)
「その力は、あいつのためじゃなく、"これからの仲間のため"に使えばいい」
「君の魔法があれば、俺も、ミレイナも、カレンも、どんな戦場でも生き残れる」
「俺は君が欲しい……君が必要だ…君じゃなきゃ嫌だ」
「ワイアットさん……?」
「それに、君みたいに可愛い子、俺が放っておけるわけないだろ?俺の仲間になってくれ、命賭けても君を裏切らない」
(※しっかり視線は胸にもいってる)
「~~~~~っ////」
「……わたしも……連れてって……!皆と一緒に……もう一度、本当の“仲間”が欲しい……!」
宿屋、ワイアット達の部屋
「よし、じゃあ明日の朝から一緒に行くぞ、エトラ」
「白魔道士エトラ・セリエドールです、これからよろしくお願いします⋯!」
「妹分ってとこね♡よろしくぅ」
(また胸の大きい子が⋯でもワイアットが救ったんだから何も言えない⋯)
ギルドの広場に、アーネストの姿が現れる。
その後ろには疲弊しきったパーティメンバーたち。女の子たちは泥まみれで、うち何人かは明らかに泣きはらした顔だ。
「ハッ、やっと帰ってきたぜ……報酬はたっぷりもらうぜ……!」
だが、ギルドの職員は冷たい目で告げる。
「アーネスト・ロイド様⋯あなたのパーティは
今回の任務、失敗です」
「は、はぁ!?なに言ってやがる!!」
「任務完了者は昨日、既に帰還済みです」
「……は?」
「さらに──あなたが先述の任務で“追放”した白魔道士・エトラ・セリエドールさん、任務中に意識を失い、危険な状態で放置されていた件に関して……」
「回復魔導士の救護義務違反、およびパーティ管理不備により、今後上級任務の受諾を凍結いたします」
「私たち、やっぱり戻りたいなって思ってたんだけど……最低……」
「エトラちゃんの代わりとか……無理だったよ……」
「な、なんでだよ……!」
---
ギルド2階のテラス
その様子を、紅茶を飲みながら眺めているワイアットたち。
「おいおい、朝からきっついねぇ」
「あは♡見てワイアット♡あの勇者(笑)
真っ青になってる♡」
「……あ、あれって、私がいた時の……」
「……あれが“勇者の称号持ち”の姿かと思うと、泣けてきますね……」
「ま、俺たちは“名乗らずに実力で証明”するスタイルなんでな」
「わたし、今度こそ……ちゃんと仲間だ……」
──ワイアットたち、4人と2頭の放浪パーティ。
人々でにぎわう駅前広場。冒険者ギルドのスタッフ、鉄道設営班の作業員たち、さらには街の子供たちが笑顔で手を振る。
「ありがとー!ワイアットさーん!!」
「魔獣を倒してくれてありがとうー!!」
「また来てねーーっ!!」
「アンタら、英雄だよ……線路はもうすぐ通る。この街の未来を変えてくれたのは、あんたたちだ!」
ワイアットは馬上から軽く手を振り、にやりと笑う。
「俺はただ、金と面白そうな依頼を選んだだけさ。
未来を変えるのは、お前ら自身だぜ」
「ワイアットさん……かっこいい……」
「はぁ……また調子に乗って……」
ときめくエトラと若干慣れてきたミレイナ
ギルド長の合図と共に、門扉が開かれる。まるで舞台の幕が上がるように。
「じゃあ行くか、次の国へ!」
「うん♡」
ノワールジェネシスの背に、ワイアットと後ろからぴったり密着するように乗るカレン
「まったく……甘い空気はもう十分です。レオノール、行きましょう!」
堂々とした騎乗姿勢で、レオノールに跨るミレイナ
そして──
「頑張らないと……!」
箒にまたがりふわふわと安定感なく飛び始めるエトラ。だが、その背中には確かな決意が宿っている
エトラはHカップです




