モーアサッテ〜異世界構文経済ニュース〜「異世界市場大混乱! 社会主義的資本主義ついに幕引きか?」
ドーナル・トランプは椅子にドカッと腰を下ろした。
「イセカイ・マスクよ、聞いたか? この世界じゃ経営者はブタ小屋で飼育されてるらしいぞ!」
イセカイ・マスクはピカピカのメカ耳をピクつかせた。
「ええ、それが科学的な豚の飼育というものです。温度管理、餌の配分、思想ワクチン。まるでスマート養豚ですね」
「スマート養豚? HAHAHA!」
トランプは大げさに手を振った。
「アメリカじゃ経営者は放牧だ! 俺みたいに好き勝手に走らせてデカくする。それが自由だ。だがあいつらは……」
その時、重い扉が開いた。
ゆっくりと入ってきたのは、終・近ポイだった。
顔に貼りついたような微笑みを浮かべ、手には分厚い経済統計の巻物を持っている。
「放牧は効率が悪い。豚は囲いの中で肥らせ、必要に応じて出荷する。それが人民にとっての“安定”なのです」
イセカイ・マスクは興味津々で身を乗り出す。
「なるほど。つまり投資家も起業家も、GPS付きの首輪をつけてデータで管理されているわけですね」
「Exactly!」と終・近ポイ。
「飼料は国有銀行が与え、糞尿は汚職摘発ショーで処理する。豚が逃げ出す? AIカメラで監視してますから無理です」
トランプは机を叩いて大笑いした。
「そんなもん、経営者じゃねえ! それはただのベーコン待ちの豚だ!」
イセカイ・マスクは真剣に考え込む。
「でも効率的ではありますよ。僕の火星植民計画にも応用できるかもしれない」
終・近ポイの目が光る。
「その時は、ぜひ私の国から“種豚”を輸出しましょう」
場は一瞬、静寂に包まれた。
トランプが腕を組み、ぽつりと呟く。
「……おいマスク、火星に豚小屋を作る気か?」
イセカイ・マスクはにやりと笑った。
「異世界の未来は、養豚業から始まるんです」
こうして国家の思想的資本として養豚のごとく育成され、GDPの数字を膨らませるために太らされ、最後には党と国家の都合で豚肉のように市場へと売り払われる者たち。彼らに明日はない。
経営者(豚)
│
├──→ 思想的ワクチン接種(教育・統制)
├──→ 資金=飼料供給(銀行・補助金)
└──→ 市場囲い込み(規制・監視)
│
↓
GDP成長(太らせる)
↓
党・国家の都合で出荷(屠殺・処分)
↓
豚肉=資本化(資産没収・国有化)
↓
再配分・再投下(国家プロジェクトへ)
↓
(循環)
↑
経営者(豚)