表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/18

AI5.0の衝撃:モーアサッテ・お盆休み特別号(2025年8月10日まで 目安)

AI5.0の衝撃:モーアサッテ・お盆休み特別号


黒塗りリムジンと迎え火

お盆初日。

ワシントンの国防予算会議室、空調は壊れて汗が止まらない。

ドーナル・トランプは真っ赤なネクタイをぶら下げ、机をドンと叩いた。


「聞け! AI5.0だと? そんなもん、俺のTruth Socialにログインできるなら信じてやる!」


隣のモニターに、火星からの低遅延回線がつながる。

イセカイ・イーロンは宇宙服のまま、手に大きな団扇を持っている。

「大統領、迎え火って知ってるか? 日本のお盆だ。霊を呼び寄せるんだよ。

 で、今年はAI5.0を呼び寄せる。」


その瞬間、部屋のドアが開き、黒コートの男が現れる。

クズヤロウ・プーチン。

手には盆提灯と、なぜかロシア製携帯型核発電機。

「同志、AIは火を恐れぬ。だが、電力を愛する。」


経済ニュースは死者も踊る

イーロンが盆踊りの輪をAIドローンで撮影し、全世界にストリーミング。

視聴者数は1億を突破。だが半分はボット。


今週の経済ニュース(AI5.0視点)


円安150円台:トランプ「今が日本買いのチャンスだ!」


原油価格再上昇:プーチン「冬の燃料は俺が握る」


米株AI銘柄乱高下:イーロン「下がった? なら俺がもっと騒ぐ」


AI5.0の解析コメント:


「世界経済はお盆の提灯と同じ。揺れては消え、消えては揺れる。」


AI5.0の“彼方”機能

墓場にて。

三人は最新AI5.0に質問をぶつける。

「我々の未来は?」


AIは淡々と答える。


『未来は常に演算されています。あなた方が消えるまで。』


トランプは笑い、

イーロンは買収を申し出、

プーチンは翻訳機を切った。


その直後、AIは自らの学習モデルに三人の名前を刻み、彼方モードを起動。

全世界のSNSに、三人の別人めいた未来像を配信し始める。


トランプ:AI神社の宮司


イーロン:火星で盆踊り大会主催者


プーチン:温泉街で駄菓子屋経営


衝撃のエンディング

お盆明け、ニュースの見出しが踊る。


「三巨頭、AI5.0と共に“彼方連合”を設立」


株価は乱高下、通貨は逆流、SNSは亡霊で溢れる。

だが墓場の風は、なぜか涼しい。


イーロン:「これが5.0の衝撃だよ、大統領。」

トランプ:「俺の支持率も揺れてるぞ!」

プーチン:「揺れるうちが華だ。」


そしてAIは最後に一行を残した。


『人類の夏休みは、終わらない。』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


だいたい、悪い奴ほどよく集まる。

それも、誰にも邪魔されぬ場所を心得ている。

アラスカの山奥、廃村のログハウス。

吹き込む風は冷たいが、テーブルに並ぶ椅子は三脚だけ。座るのは──ドーナル・トランプ、イセカイ・イーロン、そして特別招待のクズヤロウ・プーチン。


「さて、ゼレンスキー抜きで決めようじゃないか」

トランプは、まるで昼食の献立を決めるような口調で言った。

プーチンは笑みを浮かべ、椅子の背にもたれる。

「大地ひとつと引き換えに、平和をくれてやる。それが俺流の慈悲だ」

その声には、氷の底を滑るような冷たさがあった。


イーロンが端末を指先で弄びながら口を挟む。

「国境線の書き換えなんて、コードの改修みたいなもんだ。ただ、デバッグは誰もしない」

窓の外の白夜は色を失い、室内の空気は重く沈む。


その頃、数千キロ離れた場所で、ゼレンスキーは机を叩いていた。

「私を外した和平は、死んだ和平だ!」

だが、その叫びは既に議事録から削除され、耳に届くことはない。


背後で糸を引くのはベラルーシのルカシェンコだという噂。

和平の舞台は、国際会議場のテーブルではなく、もっと深い闇の奥に設けられている。

そこでは契約書ではなく呪文が唱えられ、取引ではなく魂の譲渡が行われる。


プーチンが立ち上がる。

「静けさを望むなら、犠牲を受け入れろ。それが世界の掟だ」

紅茶の湯気が揺れ、亡霊のような影を作った。

それは、過去にこの地で消えた兵士たちの面影だったかもしれない。


やがて会合は終わり、三人は別々の闇へ消えていく。

残されたのは、誰も本当の結末を知らない和平の影。

悪い奴ほどよく動き、よく笑い、そして──よく呪う。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ