表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

俺、天使からスキルについて聞く

目の前にいるのは、俺が転生する前に出会った天使。


彼女は美しい金色の髪を持ち、柔らかな微笑みを浮かべていた。


「ようこそ、再びこの空間へ。」


「……またお前か。」


俺は慎重に言葉を選びながら、天使リュミエールを見つめた。


「ここはどこだ?」


「神の領域の一部、と言えば分かりやすいでしょうか。あなたが私に祈ったことで、意識がこちらに飛ばされました。」


「そんな簡単に飛ばされるのかよ……」


俺はため息をつきながら、今の状況を整理する。


「つまり、俺がこの世界でお前に何か関係してるってことか?」


「ええ、その通りです。あなたに授けたスキル『全知全能』は、私が特別に選定したものですから。」


「……やっぱりな。」


転生してからずっと違和感があった。


俺の持つスキル、『全知全能(ただし使い方は自分で調べろ)』。


一見すれば最強に思えるが、実際は『検索して答えを得る』ことしかできず、しかもその内容が実用的とは限らない。


「このスキル、本当に全知全能なのか? 俺が使ってみた感じだと、ただの情報検索みたいなもんだったんだが。」


リュミエールは少しだけ考え込み、それから静かに口を開いた。


「あなたが使いこなしていないだけです。」


「……どういうことだ?」


「『全知全能』は確かに強大なスキルですが、それは単なる『答えを検索する』だけのものではありません。」


俺は眉をひそめた。


「じゃあ、どういうものなんだ?」


「このスキルの本質は、あなたが世界の真理にアクセスできる力を持っているということ。そして、あなた自身がその答えを引き出せるかどうかにかかっています。」


「つまり、俺の使い方次第ってことか?」


「ええ。今のあなたは、まだ表面的な部分しか使えていません。」


リュミエールは手を軽く振ると、俺の目の前に光の板が浮かび上がった。


「これは……?」


「あなたのスキルの構造を可視化したものです。」


光の板には、複雑な魔法陣のような模様が描かれていた。そして、中央には 『全知全能』 という文字が浮かんでいる。


「このスキルには段階があります。今、あなたが使っているのは 『検索』の機能だけ です。しかし、本来このスキルは 『予測』 『創造』 『干渉』 という段階へと発展させることができます。」


「……待てよ。」


俺はその言葉に引っかかった。


「つまり、俺がこのスキルを極めれば、ただの情報検索だけじゃなくて、未来を予測したり、何かを作り出したり、さらには世界に干渉できるようになるってことか?」


「そういうことです。」


リュミエールは微笑みながら頷いた。


「しかし、それらを使いこなすためには、あなた自身の理解力と精神力が必要不可欠です。今のあなたは、まだスキルの根本的な使い方を学ぶ段階にあります。」


俺はしばらく考え込んだ。


(確かに、今までは検索するだけで満足していた。だが、もしこのスキルをもっと深く理解できれば……)


「具体的に、どうすればこのスキルを進化させられるんだ?」


「まずは、あなたの『思考力』を鍛えることです。」


「思考力……?」


「『全知全能』は、あなたの思考が直接影響を及ぼすスキルです。考える力がなければ、適切な答えを引き出せませんし、応用することもできません。」


リュミエールはゆっくりと手をかざし、俺の額に指を当てた。


「今から、あなたに基本的な訓練を施しましょう。」


次の瞬間、俺の意識は暗転した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ