俺、天使と再会する(物理的に)
「あなた、大丈夫ですか?」
目の前の少女——シスター服を着た彼女が、俺を心配そうに見つめていた。
「いや、全然大丈夫じゃねぇ!」
俺はさっきの戦闘(ほぼ一方的に俺が転がっていただけ)の疲労でぐったりしていた。
「それなら、よろしければ教会へいらっしゃいませんか? けがの手当てもできますし、休めますよ。」
「……マジで!? 行く行く!!!」
俺は迷わずシスターに飛びついた。
(やったぜ、やっと安全な場所で休める!)
こうして俺はシスターに連れられ、近くの教会へ向かうことになった。
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教会に着くと、荘厳な雰囲気が漂っていた。
大きなステンドグラスから光が差し込み、神秘的な空間を作り出している。
「すげぇ……」
俺が思わず感嘆の声を漏らすと、シスターが微笑んだ。
「ここはこの町で最も古い教会です。多くの人がここで祈りを捧げています。」
(ほーん、まあ俺には関係ないけどな)
俺は適当に頷きながら辺りを見回した。
すると——
「……ん?」
教会の奥に、大きな石像が飾られていた。
「こ、この像……」
それは、俺が転生する前に見た天使とそっくりだった。
(いやいや、偶然だろ……?)
「どうかしましたか?」
シスターが俺の様子に気づき、近寄ってきた。
「いや、この像、俺が前に……いや、何でもねぇ。」
適当にごまかそうとしたが、シスターはにこやかに言った。
「もしよろしければ、祈ってみませんか? この像は『天使リュミエール様』を模したものです。リュミエール様は人々に導きを与えてくださる存在なのです。」
「リュミエール……?」
その名前を聞いた瞬間、俺の頭に電撃が走った。
(いや、絶対アレだろ! 転生前に俺の前にいた天使と同じ名前じゃねぇか!!)
「……でも、祈るだけで何か起こるもんなのか?」
俺が疑問を口にすると、シスターは柔らかく微笑んだ。
「ええ、きっとあなたにも何かしらの導きがあるはずです。」
(マジかよ……いや、でもまあ、やるだけタダだし……)
俺は試しに石像の前で手を組み、祈るフリをした。
「えーっと、天使リュミエールさん? 俺、転生してきたんですけど、ぶっちゃけ今後どうすればいいかわかりません。何かいい感じのアドバイスとかもらえたら嬉しいです。」
適当なノリで祈りを捧げた瞬間——
——ゴォォォォォォン!!!
「うおっ!?」
教会の鐘が突然鳴り響いたかと思うと、俺の体が宙に浮き始めた。
「えっ!? ちょっ、待っ、何これ!?」
「え!? そんなはずは……!」
シスターが驚いているが、それどころじゃない。
光が俺の体を包み込み——
——次の瞬間、俺はまったく別の空間にいた。
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そこは純白の空間だった。
どこまでも広がる白い世界。
そして、目の前には——
「あら? また会いましたね。」
俺が転生するときに見た天使が、微笑んでいた。
「いや、なんでまたお前なんだよ!!!」
俺は思わず叫んだ。