転生したけど情報量が多すぎる
新しいストーリーを書いていきます。
「――おめでとうございます! あなたは異世界に転生しました!」
眩しい光に包まれながら目を覚ますと、目の前には金色に輝く天使らしき存在がいた。背中には大きな翼、手には金の杖、そして顔は笑顔。まさに「神の使い」って感じだ。
だが、そんな神聖な存在を前にしても、俺の脳内は混乱の嵐だった。
え、ちょ、待って? 何これ??
「……え?」
頭が働かない。理解が追いつかない。
「あなたは転生したのです!」
「……え???」
「異世界転生、おめでとうございます!」
天使はニコニコしながら祝福の言葉をかけてくるが、いや、ちょっと待て。
「……転生?? え? 俺、死んだの?」
「はい! 交通事故で!」
「えええええええ!?」
いきなりそんなこと言われても心の準備ができてないんだけど!?
いや、確かに昨日のことは覚えている。コンビニに行って、カップ麺を買って、帰り道で……あれ? なんか光が見えたような?
「えっ、じゃあ俺、マジで死んだの……?」
「そうなります!」
天使があまりにもあっさり答えるので、なんか逆に実感が湧いてきた。
「え、じゃあ俺の人生、もう終わったの……? 何の前触れもなく……?」
「ご安心ください! 異世界で新しい人生が始まります!」
「いやいや、そういう問題じゃないでしょ!? もっとさ、『お前の人生はこうだった』とか『君はこんな理由で選ばれた』とか、何かないの!?」
「えーっと……あなたは、まぁ、特に選ばれたわけではなく……」
「え、俺、ただの事故死?」
「はい! たまたま近くにあった異世界転生の枠が空いてたので!」
「適当すぎるだろおおおおお!!!」
異世界転生って、そんなガチャ感覚で決まるものなの!? もっとなんか、運命とか使命とか、そういうのがあるんじゃないの!?
「とにかく、転生の準備をしましょう!」
「いや、まだ心の整理が……」
「大丈夫です! なんとあなたには**『全知全能(ただし使い方は自分で調べろ)』**が与えられます!」
「説明が全然大丈夫じゃないんだが!??」
「では、異世界へ転送しますね!」
「ちょっ……まだ話終わってな――」
天使が杖を振るった瞬間、俺の身体が光に包まれ――
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気がつくと、俺は見知らぬ草原に立っていた。
「おいおいおいおい、待て待て待て!? 俺まだ心の準備も状況の把握もできてないんだけど!!!」
風が気持ちよく吹き抜け、鳥がさえずり、遠くには山々が広がっている。
……うん、異世界っぽいな。
だが、それどころじゃない。
「いやいや、急すぎるって! 転生ってもっと、こう、儀式的なものとか、修行期間とか、何かあるべきでしょ!?」
誰も聞いてくれる相手はいない。
「はぁ……」
俺は頭を抱えた。こんな適当な転生ってアリなのか?
でも、どうやら戻る方法はなさそうだし……いや、それ以前に、俺が死んだってことは覆らないわけで……。
「……マジでどうすればいいんだ、これ」
完全に置いてけぼりである。
読んでくれてありがとう。今作ではギャグ多めに書いていきます。