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少女異世界へ行く

はじめまして。

ご観覧ありがとうございますm(_ _)m

初めての投稿で不慣れな点ありますが、頑張って書かせていただきます!


私は私という人間がだいきらいだった。

なんの才能も取り柄もなければ性格も悪い方だと思う。

そんな、だいきらいな自分を唯一好きになれるのが空想だった...


朝、うるさいスマホのアラームが鳴り目を覚ます。気分はいつものごとく最悪で体がだるい。昨日夜更かしでゲームをしたからだろうか。


肌寒く布団を離したくないが遅刻をするのはもっと面倒だと思いリビングへ降りる。身支度を整えて、冷凍食品を詰め合わせた弁当を作って時間ギリギリに家を出る。


駅に着くと中学の同級生が並んで話していた。あの輪に入るのは勇気がいる。自分の性格は明るい方だと思うが人の目を気にしてしまって上手く話せない。いわゆるコミュ障というやつだ。


そんな私を見つけた一人が声をかけてきた。この話の輪に入ってしまえばあとは容易い。生産性のない内容が薄い話に混じって適当に肯定するだけでいいのだから。


そんな変わり映えのない1日の始まりから思う、ああ今日も家に帰りたい。



「キーンコーンカーンコーン」


授業開始の鐘が鳴った。一限から体育とかありえないと思いながら当たり障りも無くバレーをする。大抵サーブが入らずに続かないため非常につまらない。


そんな中、昨日読んだ小説の内容を思い出す。昨今流行りの異世界転生ファンタジー。主人公が俺だけチート!転生者特典で無双!!みたいなあれ。


その内容を思い出しながら自分ならこうしたああしたなどと妄想する。この退屈な現実を鮮やかに彩ってくれるのは妄想で私は妄想にふけるのが大好きだ。逆にこの妄想から現実に戻される瞬間が大嫌いだ。いくら妄想のなかで世界を救ったって現実はなんにも変わってなくて嫌になってしまう。そう今みたいにね。


ゴツっっっ


「キャーーーー吉野さんにボールがぶつかった!!」


「わー痛そうー大丈夫〜?」


大丈夫な見た目してっか?めっちゃ痛いわ。とかそんなこと思いながら口に出すことは無く全然大丈夫だよと心にもないことを言った。


先生が一応保健室で休んできたほうがいいと言ってくれたお陰で四限までサボることができた。顔が痛いが休めてラッキーだった。まあ誰も心配することもなく顔を見せに来なかったけれど。正直心の方が痛い。


教室に戻るといつも一緒にいるメンツがご飯を食べながらくっちゃべっている。そうすると染井が声をかけてきた。


「吉野大丈夫〜?すごい音してたよねめっちゃ痛そうー」


八重と河津も心のこもっていない大丈夫〜?を連発して聞いてくる。全然大丈夫だよと返せばすぐに話題は違う方へといった。


高校生になってからもう半年経った今よく一緒に行動しているのは染井と八重と河津だ。


そのなかでも染井は中学の時からの付き合いで仲が良い方だと思っている。染井はいわゆる天才体質で遊んでばかりにも関わらず成績は優秀でスポーツ万能ラノベの主人公みたいなやつだ。


自分はそんな染井に少しばかり劣等感を抱いている。私はプライドがエベレスト級に高いのだ。だから染井とは仲良くなりきれないでいる。


八重と河津は高校に入ってから染井に紹介されて知り合った仲で、八重は恋愛に興味津々でいつも男子の話をしている。最近は隣のクラスのイケメン高嶺君にご執心のようで今日も専らその話をしていた。河津は女の子の理想みたいなやつでおっとりしている。あと親が太い。マイペースすぎてイラつくこともあるが怒らせると怖いタイプのため気をつけている。


そんな3人と私は上辺だけの友達関係をしている。女子の本質というのは誰かの悪口を言って楽しむというものである。保健室にいる間にも私の悪口を言っていたであろう。人間関係は本当に面倒くさいものである。


こんな時こそ妄想を膨らませる。少女漫画の主人公に自分を当てはめて、イケメンとの恋愛!優しい親友!などと考える。だが実際はどうだろうか恋愛のれの字もなければ友達?と言えるかどうか危ういメンツが3人。ああ、これだから現実は嫌なんだ。


苦痛の学校が終わり駅に着いて染井と分かれる。人の顔を伺う必要が無くなり肩が軽くなった気がする。やっと愛しの我が家に着いた。


手を洗って、足速にゲーム機をとる。昨日の続きをしようと思ったのだが不意に強烈な眠気が襲ってきた。一眠りしてからにしようと思いソファに体を預け眠りに就いた。





ひんやりとする感覚によって目が覚めた。

辺りは暗く何時だろうかとスマホを手探りで探したが見つからない。


見つからないスマホに腹が立ち瞼を開けて探してみるとそこは見慣れた場所ではなかった。正確には森?みたいな場所。とても静かで木々のざわめきしか聞こえない。


なぜ自分はここにいるのか、誘拐?それともドッキリ!とか

などと考え込んでいるうちに何かの唸り声が聞こえた。



「グァォオオオォオン」



まだ覚醒しきっていない脳みそはこの状況を飲み込めていない。しかし人間の生存本能的なものでわかる、逃げなければと。



運動が苦手な私がここ最近で一番早く走った。後方からは大きな音が追いかけてくるように感じたが気づかないふりをして前へ前へと走る。


普段走らない人間が急に走るとどうなるか?






正解は転ぶ。


「グアッシャッッッー」


膝と肘を擦りむいて痛い。恐る恐る追われていた何かに目を向ける。


 は?


自分が目にしたものが信じられなかった。巨大な身体に鋭い牙と爪。暗赤色の鱗に覆われて黄金の瞳でこちらを見つめている。




 ドラゴンだ




いつもゲームやラノベ、漫画で見かけるドラゴンがそこにはいた。作り物とは到底思えない本当に生きたその生物が。


こんなに驚くとやはり腰を抜かしてしまうものなのだろう。逃げなければならないことはわかっているのに動けない。飲み込みの早い私はすぐに気づいた。


 私異世界に来たのでは? 


妄想を繰り返しては夢に見た異世界!嬉しい気持ちになるはずが目の前には凶暴化したドラゴン。


冷や汗が止まらない。自分の危険が迫っていることを肌にひしひしと感じる。恐怖のあまり口が空いたままだ。死んでしまえば元も子もない。


 逃げなきゃ逃げなきゃ


そう焦っていても体は動かない。ドラゴンはまた大きな咆哮をすると鋭い爪のついた右足でふりかかってきた。


死ぬ前よく映画とかでスローになったりするけれど、本当になるんだなとぼんやり思う。


 父さん、母さん産んでくれてありがとう冴えない娘でご めんなさい!



ああ、死ぬなと思い目をギュッとつぶる。痛みがくるのを待つ。






 あれ?来ないぞ


そっと目を開けてみると凶暴なドラゴンの動きが本当にゆっくりとしていた。


 た、助かった?


動きがゆっくりとしたドラゴンに驚くながらもすぐ距離を置くように遠くへと逃げた。









はあはあ


かなり逃げてきた。さすがにドラゴンもここまでは追って来ないであろう。というかそうであってくれっ!


まだ森はぬけていない。もしかしたら危険な生物がいるかもしれない。警戒しなくては...


「シュッツツッ」


わっ

 

無論私は尻餅をついた。地味に痛い。


「誰だっ!」


急に木陰から現れたのは大柄な男だった。30代半ばくらいの見た目で鎧みたいなのを付けていて大剣を腰に下げている。


ファンタジー要素盛りだくさんの人が目の前にいて私のテンションはあがりまくっていた。それはもう顔が緩みきるくらいには。


「子どもじゃないか!?大丈夫か?怪我はないか!?」


大丈夫です。と当たり障りのない感じに返す。今日は何回も言ってるなこの言葉。でもこの人は心から心配してくれているみたいでなんだか嬉しかった。


というか子ども?私現役fjkなんですが?確かに童顔だけどさ…失礼しちゃうわ!


とか考えながら自分の手を見るカサカサの手じゃなくてもちもち肌のクリームパンみたいな手がそこにあった。


 「え、誰の?」


思わず声にでる。この手は私の意識の通りに動いている。間違えがなければこれは自分の手?


近くの水の音がする方へ近寄る。そこにあった池に自分の姿が映る。どうやら私は若返ったらしい。しかも5、6歳くらいの幼女に。


残念ながら異世界転移特典でルックス最強美少女!!!ではなかった。現実の姿が幼くなっただけ。相変わらずの冴えない顔だ。


動揺している私の姿を見て男は優しい声色で声をかけてきた。


「急に怒鳴って悪かったな、嬢ちゃん。俺の名前はアーサー・マーチ。ルージュリアン帝国の第二騎士団長をしている。嬢ちゃん名前は言えるかい?それとどうしてここにいるのかも。」


自分の身体が縮んだことに加えて、自己紹介で知らない単語が出てきて頭がパンクしそうだったが、無視をするのはよくないと思いゆっくりと口を開く。


「吉野ありす…アリス・ヨシノです。なんでここにいるのかは、、、自分でもわからないんです。」


そう本当になんで異世界?に来たんだろう。こう王宮の魔術師に召喚!みたいな感じじゃないし、なんでだろ?


「ああ、可哀想に。記憶がないんだな。とにかくここは危険だ。街へ行こう。」


アーサーにはなにか勘違いされたみたいだがまあいいとしよう。というかアーサーについて行ってのか?今の私は幼女。リアルだったら誘拐みたいだよ。大丈夫か?


私が戸惑っている様子を見てアーサーは屈託のない笑顔でこちらを見つめてこう言った。


「両親のもとへ帰してやるからな。俺を信じろ。」


存外私はメンクイのようで面の良いこの男にホイホイと絆されてついて行った。道中、気の使い方が騎士すぎて泣けた。性格までイケメンかよ。まあ子ども扱いだけどさ。子どもの姿だからしゃーないけど。


そうこうしているうちに森は抜けて小さな光が見えた。











読んでいただきありがとうございます!

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