1-4 教団と聖教会
その後リリーは完治し、
同じように何人もの魔力欠乏症患者を助け、
ローズ教団は規模を拡大していった。
初期に助けた3人を幹部とする
教会のシスターリリー
商会のマリー
戦闘集団のヴァイオレットだ。
なんとなくリリーに名前を付けたら
他の幹部達にもせがまれて名付けた。
なんとなくローズ教団にしたから
花の名前で統一した。
そしてしばらくはこの教会を拠点とし、
四人で共同生活をした。
実家には時々帰ってるし、いないときは
魔法で作った精巧な影武者を置いてあるから気付かれていない。
そもそも相手にされていないので、
バレる心配は少なかった。
まずは、四人でローズ教団について話し合った。
それぞれの特性に応じて役割を決めた。
鑑定では魔力の流れが見れるので
なんとなくのステータスが分かる。
ざっくりいうとリリーは魔力の扱いが上手そう、マリーは賢そう、ヴァイオレットは強くなりそうだった。
リリーには魔力操作について教え、
鑑定のやり方も教えた。
他の二人はすぐには鑑定は習得できなかった。
リリーは鑑定のコツが分かり、
欠乏症も治せそうだった。
リリーは元々欠乏症なりに
魔力操作の練習をしていた。
魔力量があり、センスもあったため
すぐに鑑定ができるようになった。
普通はそううまくはいかない。
リリーにはそのまま教会を大きくしてもらうことにした。
魔力欠乏症の子供を助け、仲間を増やしていく。
別に仲間は子供にも欠乏症にもこだわってはいないし、助けるのは評判を上げるためでもあるから必ずしも仲間にならなくていいし、何も還元してくれなくても構わない。
リリーはシスターとして仲間を増やしていく。
欠乏症の治療に関する技術の伝播も彼女に任せた。
組織を大きくするにも何をするにも
とにかくお金はあって困らないので
商会を作ることにした。
マリーには商会のトップとなり、
商会を大きくしていく役割を担ってもらった。
マリーには商売の基本を教えた。
元々計算が速く、読み書きもできた。
そして魔道具の作り方を理解し、
実行できたのはマリーだけだった。
魔道具の基本は他の物に魔力を宿らせることだ。
鑑定は魔力を目に纏わせることが基本だ。
魔道具作成にはまた違うコツがいる。
またマリーには前世の知識を教えた。
他の二人に教えていないわけではないが、
より具体的に教えた。
他の二人にはこういうのがあった
という程度で、
意見を聞くことはあるくらいだった。
マリーには作ってもらう目的で、
より詳細に話した。
作ってもらうもので典型的なもので言えば
リバーシやトランプなどだ。
他にも日用品や食べ物を作ってもらいたい。
特にこの世界のご飯は食えたもんじゃない。
すぐにでも日本食に近いものを扱って欲しいものだ。
名前はカッコつけて好きにしていいと言ったら
ローズマリー商会になっていた。
………もろやがな、と思ったが
この世界にもローズマリーという
植物があるため、
ローズ教団のマリーの商会やんけ!
みたいにはならないらしい。
マリーには商会を作り、大きくしてもらう。
また、自衛のための戦闘集団が必要だ。
それに、悪の組織だから
悪い奴とか邪魔する奴を滅ぼすためにも必要である。
リリーはそのまま魔力操作の練習を主に。
他のメンバーにも魔力操作はするように伝え、
あと出来るだけ毎日限界まで、
魔力は使うように伝えた。
魔力は使えば使うほど強くなる。
ある程度知られてはいるけど、
使い過ぎると苦しくなるし、
わざわざ限界まで毎日使い続けるものは、
そんなにいない。
ヴァイオレットには魔力操作と、
とにかく魔力を使い続けることを伝えた。
全員に魔力を拳に集中させるようにいうと、
ヴァイオレットだけがすぐにできた。
全魔力を一点に集中するこの技法は、
魔力の一部を目に集中させる鑑定とはコツが
ことなる。
足に集中させれば速く走れるし、
使い道はいくらでもある。
身体強化にも欠かせない技術だ。
無償で人々を治す我らが教会は、
元々治療費をふんだくっていた、
チルテス聖教会から反感を買い、
何度か襲われるも全て返り討ちにしていた。
僕が出ばったこともあるし、
ヴァイオレットだけでなく、
リリーやマリーにも協力してもらっている。
正体は隠して、ではあるが。
チンピラを吹っ掛けられるような
ちょっかい程度だったのでなんとかなっている。
最初から最高戦力で叩き潰されていたら
ひとたまりもなかっただろう。
少なくとも僕以外は全滅していたはずだ。
商会は大陸1の商会になり、
教会も大きくなった。
教会だけがローズ教団を大っぴらに名乗ってる。
暗殺集団はシャドウローズを名乗り、
恐れられてる。
シャドウローズはどの組織にも所属せず、
悪を滅ぼす部隊という名目になっている。
シャドウローズはローズ教団の
お抱え暗殺集団ではないことになっているが、
ローズ教団が攻め込まれると、
何故かシャドウローズがすぐに現れ、
悪を成敗する名目で助けたという
事件が何度もあり、
一旦はチルテス聖教はなりを潜めている。