1-3 奴隷商とシスター
以前姫を救う際に使った
魔力で作った仮面を付け、
街で買ったローブを纏い、
さらにフードで頭を隠す。
ローズと名乗り、ローズ教団を名乗る。
教団である意味は特にない。
響きがかっこいいから付けただけだ。
唯一計画的に治せなかったのは、
王女だ。
フードを被ってなかったし、
あの場にいたので、
貴族か王族関係者なのはばれている。
むしろ探されているので、貴族の子供というところまでばれているだろう。
助けたからまぁ悪いようには
されないだろうけど、
探られるのは好ましくはない。
まぁでもなんとなく助けたくなったし、仕方ない。
後悔はしていない。
一応奴隷商を襲うのだから、
悪いことはする。
義賊でもなんでもないから、
悪の組織だからそれはいい。
他には盗賊団を壊滅させて金品も奪う。
騎士に差し出せばさらにお金もらえるけど、身元はさらしたくないから持ち物だけいただく。
教団だし教会、孤児院を拠点とする。
まずは孤独院を作ることにした。
孤児院を任せるのは、誰でもいいわけでもない。
頭がよくて、組織を任せられる人物が理想だ。
魔力欠乏症の探知法を編みだし、
探しだす。
この世界では魔力欠乏症は魔力がないことによって起きるととされている。
つまり一見すると魔力がない状態だ。
鑑定が一般的ではなくても、
多少魔力が多い人物の魔力を感じとれるくらいではあるが、感覚的に察知することはできる。
この感覚は人によって違い、
この感覚に優れているとより細かく魔力の大小を比べることができる。
しかし、
魔力欠乏症患者は魔力がないとされている。
つまり、魔力欠乏症患者は魔力を内に秘めているということだ。
単に魔力が多くない人を探しても、
純粋に魔力が多くない人は、
山ほどいるので意味がない。
要するに内に秘めた魔力が分かればいいのだ。
その方法サーチを編み出した。
実家から少し離れたところで、
サーチを使う。
ちなみに移動は基本的には徒歩だ。
身体強化の魔法を駆使し、
空中を駆けることもできるので、
通常徒歩で1日かかるところでも、
一時間足らずで進める。
さっそくサーチに反応があり、それは
平原を走る奴隷商の馬車だった。
奴隷商にしては珍しく、
奴隷が少女一人しかいない。
気配を消して、奴隷商同士がしている会話を確認し、クロと断定した。
最近になって魔力欠乏症にかかったようだ。
この奴隷商はその情報を仕入れ、
拐うことに成功し、売りに行く最中らしい。
この世界では魔力欠乏症患者は死に行く運命ではあるが、それなりに売れるようだ。
もちろんこの奴隷商は壊滅させ、
彼女を救った。
彼女を近くの森に連れていき、
治療を開始することにした。
彼女は苦しそうに話出した。
「子供?いえ、
体の小さい魔族もいると聞いたことがあるわ。
私をどうするつもり?」
「今から君を治療する。
そして君には孤児院を建ててもらう。
そこで孤児を育ててもらいたい。」
「ふふ
面白いことを言うのね
いいわ、どうせここで死ぬ命だもの。
治せるんだったら、
孤児院でもなんでもやってやるわ」
「そうか」
彼女を魔法で眠らせると、
魔力を送り込んで、魔力塊を破壊する。
今回はかなり進行していたので、
数回の施術が必要だ。
眠らせたのは、麻酔の意味合いもある。
起きた状態でやれば、痛みを伴う可能性があった。
今回は塊を少し削って、
弱体化させることしかできなかった。
ついでに傷付いた臓器は治癒魔法で治しておいた。
そして、領地近くのスラムに連れていき、
スラムの一角に土魔法で孤児院を建て、
ベッドなど、簡単な家具を設置する。
この辺りは予め用意していたものだ。
人通りがほとんどない場所をリサーチ済みだった。
ベッドに寝かせ、しばらくすると彼女は目を覚ました。
「少しは楽になっただろう。
後2、3回で完治する。」
「ほんとだ………
あなた何ものなの……」
「私はローズ
ローズ教団のローズだ。
これより私は闇の組織ローズ教団を立ち上げる。
君は一人目の教徒だ。
ここを孤児院及び教会、表向きは無償で治療する集団として活動してもらう。」
机の上には既に、
自由にできるお金のほとんどを置いていた。
「これが活動資金だ。
ここで人を育てて、
組織を大きくしてもらいたい。
それと最後に君の名前を聞いておきたい。」
「……ん
ラウルよ」
「そうか
君はローズ教団ではリリーを名乗れ。
ローズ教団のシスターリリーだ。」
「分かったわ。
元の名前に未練などないもの。
むしろ、あなたに付けてもらえて嬉しいわ」