少女と燃える家
メドレー家と書かれている東門をくぐり、今は敷地内に入っている
石畳の道に両脇には花壇があり、たくさんの花が咲いている
薫(かなり手入れされている、まだ誰かここに住んでいるのか?)
道なりに沿って歩くと大きな家を見つける、俺は敷地内の中心あたりにいるのだろう
薫(ここは小さい頃にお父さんと来た、お姉さんの家?)
薫「え?」
俺はドアに手を触れようとした瞬間、手が止まる
止めた手を見つめると今度は異常に手が震え出す
冷たい汗が流れると同時に、無意識に息も荒くしていることに気づく、そして体を地面にうずめてしまう
薫(なんで?)
しばらくして、呼吸は落ち着き体の震えもとまる
しかし、今の感覚はストレスによるものだ
薫(龍の両親の葬式がおわる次の日に、部屋に閉じこもっていた時の症状と一緒だ)
薫(あんな印象的な経験をしたのは5歳の頃、一回だけだったのに…)
しばらくして症状がおさまり、足にあまり力が入らなかったがなんとかゆっくり自力で立ち上がる
よりにもよって、今になってなんでこの症状が起きたのかはよくわからない
薫(けど、時間が止まるわけではない)
俺は覚悟を決めてドアを叩く、今度はさっきの事が嘘みたいに言葉がだせる
薫「あのー、すみません!」
だが、誰もドアからは出ない
もう一度、さっきみたいにドアを叩いて声掛けしても反応はない
薫「留守かな、このまま西門に進むか」
??「私に何か様ですか?」
俺は諦めて帰ろうとして振り返ると、いつからいたのかは少女がいきなり話しかけてきたものだから、「うわぁあ!」と間抜けな声を出しながら驚き尻餅をつく
薫「驚いた、いつからそこに?」
??「ここに来たのはついさっき、西門側の花壇の手入れをしているときに、あなたが私の家に尋ねる姿を見たので」
薫「と言うことは、さっき何か見た?」
??「…なにかとは?」
薫「い、いや、別に何でもない!」
先ほど、息を荒くして倒れてしまう情けない姿をこの少女に見られていないことに少しだけ安心をする
薫(尻餅ついている時点で、間抜けなのは確定はしているんだけど…)
薫「…俺の名前は島原薫、ここにくるのは初めてでここがどこなのか教えてくれないか?」
??「…そうなのですね、ここは大賢者が全てを終わらせるために魔王を倒し、新たに始めた地『終わりの地』と呼ばれています」
薫「…え、?」
少女の口からファンタジックな話が出るとは予想していなかったため話についけず思いっきり目を見開き口をポカーンと開けてしまう
??「…その姿、あなたは違う世界から来たんですね?」
薫「違う世界って?」
??「あなたはここの世界で言う異世界人です」
薫「…あ、あぁ、よくわからないけどよくわかった」
次から次へと、少女が何の話についていけず、俺は腕を組んで頭の中を整理をする
ドガン!
薫「え?」
後ろから大きな音が聞こえた時には強い熱気と風がおきる、後ろのようを見ると少女の家が燃えている
??「私の家が…」
薫「一体、何が起きているんだ?」
唖然としている中、土煙で周りが見えない中、西門から二人の影が見えた、俺はその二人に助けに求めようと大きな声を出す
薫「すみません、突然火事が起きました、そこに二人いますよね、助けてください!」
しかし、俺の呼びかけに二人の反応はない
むしろケラケラと笑う二人に苛立ちを覚える
薫「おい、なにがおかし…!」
??「待って!」
俺は二人のところに向かって走り出す前に、少女に腕を掴まれ止められてしまう
薫「それどころじゃないだろ、君の家が燃えているのにあいつら笑っているんだぜ!」
??「…違う、違うんです!」
薫(さっきからこの子の言う事がわからない、けど、あいつらがこちらを見て笑っているってことはあいつらが犯人なのか?)
俺はリスクを考えずに、誰ともわからない二人に助けを求めた、落ち度があるとすれば俺が原因だ
薫(よく考えてみればここには俺とこの少女しかいない、ここの近くにいるとすれば放火した犯人しかいない)
相手が凶悪であれば、先にこの子を狙うかもしれない、その場合少女を守りながら逃げる必要がある
薫「…とり乱してすまなかった、とりあえず周りが見えていないこの状態を利用して隠れながら逃げよう」
??「その方がいいかもしれないですね、西門の先に森林の道があるので、そこを利用して逃げましょう」
俺が大声出してしまったせいで、今の状況であの二人から逃げる事は難しくなった、多分俺たちを追ってくるだろう
それでも森林までなんとかして逃げる覚悟を決める




