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扉の子  作者: 赤星 一香
第一章、魔王から少女を守れ!
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血ぬれと旅の始まり

龍達が失踪して二週間が経つ


「君のいう学生達はここの生徒ではない」


俺は先生に詳しく状況を説明するがなかなか理解してもらえない、あの事が起きてから龍達はいなかったことになっている


それどころか何か隠しているんじゃないかと疑われているような気がする


「君何か重要なこと隠していない?」


いや、実際に疑われている


薫「…いえ、協力してくださりありがとうございました」


隠しているかいないかでいえば隠しているが俺はあの日見た夢が本当に起きた出来事だとして、それを話してしまえば信じてもらえるどころか、「ふざけるな」と言われてますます疑われるだろう


「島原、前々から気になっていたんだがお前疲れているじゃないかって思っていたんだ」


薫「え?」


「もしよければスクールカウンセラーを紹介したいのだが、君はどうかな?」


薫「…ありがとうございます、しばらく保留にさせてください」


「そうか、無理するなよ?」


薫「失礼しました」


龍達が消えてから俺の世界はさらにひどくなった


先生は俺を庇ってくれるが、俺の瞳には光がなく感じているのだろう


薫「…」


虎「薫、帰るぞ」


薫「…迎えにきてくれたのですね」


帰る途中たまたま虎さんに会う、先生が虎さんに迎えを頼んだのだろう


虎「大丈夫か?」


薫「いえ、大丈夫です」


虎「それで龍は?」


薫「手がかりなしです」


薫「俺はどうしたらいいのでしょう?」


虎「まあ、ゆっくり休むことだ」


…小学生の頃、あれから虎さんの顔をよく見たことがない、きっと虎さんはあれから同じ目をしているのだろう


虎「何日か夏休みがなくなるが、なんとか耐えられそうか?」


薫「ええ、今はどうにかして、彼らの居場所と俺が何もしていないと証明できればいいのですが」


虎「そうか、君は強い子だ」


大して足も使っていないのに足がガクガクするような感覚が正直ストレスで体は熱いのに心は冷めている様な感覚が気持ち悪くて、今にも倒れそうになる


薫(虎さん、俺は強い子なのでしょうか?)


部屋の中に入ると俺はなぜか息が荒くなる、涙は出てこないのに胸が締め付けられる日が続いている


薫「そういえば、ちょうどネギが切れていたところなので、買い出しをお願いしてもいいですか?」


虎「ああ、構わないよ」


薫「それじゃあ、よろしくお願いします」


俺は虎さんを階段の上から見送り、家に向かう


薫「ここはどこだ?」


俺はいつも通りに帰ったつもりが、道を間違えたのか目の前にはトンネルがみえる、中は真っ暗で何も見えない


薫「…こんなところもあったんだ」


俺は早く帰りたいと想いでこのトンネルを通る、当然真っ暗なので携帯からライトをつけるしかし三分もしないうちに携帯の電源もなくなりライトが消える


薫「運が悪い」


このまま前に進むわけにもいかず元の道に戻るために後ろを振り返ってみるが、少ししか進んでいない距離のはずなのに入り口が消えている


薫「なんで?」


思わずと口からこぼしてしまったが、取り敢えず戻れば入り口が見えるだろうと振り返った時に胸あたりに誰かに押される


??「今の君はここには戻ってはいけない」


薫「あんたは一体、誰だ?」


よろけた俺は足場のないところを踏んだ、そして俺は何も見えない穴に落ちた


誰が俺を押したのかの考えが回る前に、穴にある崖のような固い出っ張りに何度も体を叩きつける


そうしているうちに体に走る衝撃は収まる


薫(俺はどうなったんだ、なんで俺は浮いて…?)


俺は重力に関してよくは知らない、ただ異常なことが起きていることはわかっている


薫(何がどうなっているんだ、誰かに突き落とされたり、重力の概念がなくなったり、何かがおかしい!)


真上に向かって落下が始まる

今度は崖や岩の様な出っ張りにぶつかることなくただ真上におちる


薫(おかしなことばかり起こるって事は龍がいなくなった日もあれは本当に消えたのか?)


薫「これが悪夢なら早く覚めてくれ!」


俺は思わず叫ぶが落下スピードは増すばかりだ、そして俺は地面に叩きつけられる


薫(なんで、俺がこんなことに…)


体のあらゆる部分から痛みが走り、生暖かいものを感じる、うっすら見える視界からは赤い液体が水溜まりの様にできていくところが見える


薫(…これが死か)


そして俺の視界は暗転する


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


薫「父さん、ここはどこ?」


守「ここはな、父さんにとって1番好きな所だ」


僕と父さんはここに来る度にこの海岸まできて、海を眺める人だ、何が楽しいのか僕にはわからない

海の青さや波打ちの音を楽しむのかよくわからないけど父さんにとってここは大切な場所らしい


鯉「ちょっと守、勝手に薫君を連れてどっかに行かないでよね!」


守「薫は俺の息子なんだ、自分の身ぐらい守れるわ!」


鯉「んなわけないでしょ、そもそもここに自分の子供を連れてくるってどんな神経しているわけ!」


守「それなら、龍も連れてこればよかったじゃねえか!」


鯉「バカ、ここに連れてきたらあぶないから言っているんでしょ!」


水木「まあまあ、終わった話なんだから喧嘩はやめようよ」


守「おめえは黙ってろ!」

鯉「あんたは黙ってて!」


水木「えぇ…」


虎おじいちゃんの話によると僕の父さんと鯉お姉ちゃんは幼馴染で、水木お兄さんは中学からの友達らしい


どうしてこうも喧嘩ばかりするんだろう?


薫(大人ってよくわからないなぁ…)


??「みんな、取り敢えずご飯できたから戻ってきて!」


守「…取り敢えず、飯にしようぜ」


鯉「…そうね」


唯一、2人の喧嘩を止められるのがこのお姉さんだけなんだ、1番強い水木さんでも喧嘩を止められなかったのに、お姉さんはなんでもできる凄い人だ


??「薫君、早くしないとご飯冷めるよ」


薫「はーい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


かすかに波の音が聞こえる、聴き慣れた音だ、ここは父さんにつれてこられた海岸の音によく似ている


薫「…父さん」


空が青くて日差しが鬱陶しい


俺はまだ死んでいないからだ…


身体に負った怪我はなくなっていて、すんなりと立ち上がれることに驚く


薫「体が痛くないのはどう言うことだ、それにここは?」


俺が見たものは幼い頃に父と行ったことのある海岸と同じ光景が広がる、周りを見渡す限り間違いなくあの海岸だ


薫「やっぱりここは父さんと来た所だ、どれだけ探しても見つからなかったあの海岸」


どうして今更俺のところにこの海岸が現れたんだ?


時間さえあれば遠くまで、たくさん歩いたのにどうして見つからなかったあの海岸が今、眺められているのか俺には理解できなかった


薫「…きっと父さんが何か知っている、父さんを探そう」


俺の中にある朧げな記憶を頼りに、海岸の反対にある家に尋ねる必要がある

…これは予定外だ


まさか、彼がこんなところに来てしまうなんて!

畜生、実に不運だ!


ガララ!!

ガシャーン!!


これじゃあ、彼の謎を知る前に彼が死んでしまう!


ギリッ!


何か策を考えなければ、今彼に死なれては観察のしようがない!


今の彼は無傷だが、何が起きるかわからない!


…私としたことが冷静さを失っていたよ、今のところ彼に対する影響は何もない、私が何もしなくとも彼らがきっと島原薫を守だろう

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