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扉の子  作者: 赤星 一香
第一章、魔王から少女を守れ!
12/17

安堵と襲撃

薫「つーか、お前…」


一「はい?」


薫「あのおっちゃんを殴って、隊長から降格とかリスクを考えなかったのかよ?」


一「…最初は本当に何もするつもりはなかったですよ」


薫「なんであんな事をした?」


一「久々にあなたと会ってしまったのが、影響したんでしょうね」


薫「人のせいにすんなし!」


天野は満面の笑みで俺と出会った影響で殴ったと言うが、特に俺が天野に何かをしたわけじゃない、むしろ心当たりがない、俺のせいってわけでもないだろう


一(…あなたが誰かを助けようとする姿なんて久しぶりに見ましたよ)


薫「なんだよ、笑顔でこっちを睨みやがって」


一「別に睨んでなんかいないですよ?」


薫「本当か?」


一「ところであなたは何でここにいるのですか、俺たちと一緒で召喚されたのですか?」


薫「いいや、俺は転移者って言われる類らしい」


一「…転移者?」


カナン「転移者がこの世界に来ることは、稀なケースなんですけどね」


薫「それはどう言う事だ?」


カナン「転移者は何の魔力を持たない人が、ゲートと呼ばれる歪んだ時空を通して違う世界から移動してくる人たちのことです」


あのモビが怒っていた理由がわかったような気がする、彼の言っていた『異世界召喚者』は魔法適正能力があって、それ自体が価値になる


逆に魔法適正能力がない可能性のある『異世界転移者』は、無能力は価値のない物だ


だから、モビは俺に価値を期待してたが、答えは異世界転移者で何の価値もない人間だから怒ったのだろう


薫「まじかよ、異世界転移者はこの世界で良しとはならない存在なのか?」


カナン「…異世界転移者だけに限らず、この世界は無能力者が生きるには厳しい世界なんです」


薫「…あのモビさんみたいにか?」


カナン「はい、この世界では魔法そのものが基盤で使えない人はそれ以下も同然、私みたいに恵まれていなければ孤児院に放り込まれるケースもあります」


薫「…けど、その孤児院が子供たちの心の支えになっているのなら安心だな」


天野「それはそうとも言い切れませんよ」


天野は腕を組んで顎を触り、眉をひそめている


薫「どういう事だ?」


天野「最近、ここ数年で孤児院の責任者が捕まるケースが増えているんです」


薫「どうして何だ?」


天野「理由は簡単、『魔力適正がないのは自分の責任だから』と言ってしっかりと見守っていないからですよ」


薫「…そんな、魔法が使えないだけで命が危ういなんて」


カナン「けど、魔法も凄いんですよ、致命傷や不治の病でもなんでも治せるので、案外魔法も憎めないんですよ」


カナン「私も一度、魔法に助けられたんです」


カナンは魔法に対する憎しみがないのは彼女の笑顔を見てわかる、しかし、服を強く掴んでいる分、強い怒りもあるんだろう


一「だからって、誰かを貶めることがいいとはならない、少なくとも俺はそう思っている」



天野は俺を励まそうとしているのか、カナンを慰めようとしているのかはわからないが、天野は悪い人ではない事は確かだ、この世界において頼りにできるのはこの二人だろうな…


おれは二人がいることに安心している間に、また大きな揺れが起きる


大勢の騎士団の隊員達が天野と鬼垣に報告にくる


「申し上げます、サンマウスが魔族に包囲されました!」


「法具結界が何者かによって壊されたと思われます!」


「避難していた住民に大きく被害が出ています!」


あらゆるところで爆発音がなり、黒い煙が立ち上る


薫「天野、お前は避難所がある正門の方向にいけ俺は北側にある門に向かう」


カナン「薫さん、あなたはまだ怪我をしているんです、またこの前みたいに無茶しようとしないでください!」


薫「いいや、今はそうでもしないと被害が多くなる」


カナン「それなら、私も一緒に行きます!」


薫「俺と一緒に行く必要なんてない!」


カナン「無茶はお互い様です!」


俺たちが言い合っている間に誰かに話しかけられる

魔物だ、一斉に群がったのは計画的に行われたってことだ


「ここにも人間がいるじゃん」


薫「天野、こんなに早く来るものなのか?」


一「ええ、それに行動が速いやつならもっと進んでいるのかもしれません」


薫「まじかよ」


「俺たちがいるっていうのにお喋りをしてやがる舐められたもんだ」


魔物は、こちらに伝わるほど不気味な笑みを浮かべて睨んでいる、あの気持ち悪い目で見られるのはすこし鳥肌がたつ


一「お前達は何が目的なんだ?」


「そう言うのはどうでもいいんだよ!」


薫「あの、街を襲わないと誓ってくれるなら、あなた達にしたがいます」


「それなら、俺たちに」

薫「命に関わる事以外でお願いします」


「それなら従えないな、人間は捕まえるか処分の対象だ」


薫(今回も、話が通じる相手ではないか)


恨み買うような事はしていない、生きるために最低限で抵抗したつもりだ、ただ、カナンの言うもう一人の俺がいるのなら


俺は彼に何をしたのかわからない


薫「それなら俺は止めます」


「人間如きが、力の差があるとわかっていないのか?」


薫「俺は生きている限り、俺は一人の人間として貴方達を止めます」


一「俺たちの仕事は人の命を守る事です」


薫「天野、お前は大事な戦力だ、だからカナンを守ってくれ」


カナン「いいえ、薫さんも大事な一人の命なんです、殺させはしない」


天野「そういうことですよ、救える命があるなら俺たちは率先して動く」


天野が俺よりも前に進む


数日もしないうちに問題に巻き込まれるとか、あり得ないむしろ、今は運があるのかもしれない、とりあえずこれも災難の一つとして数えておこう


「ハリー様からここに扉の子がいると聞いてここまで来るついでにお前らもここの人間どもを潰そうって計画したのさ」


薫「魔物の侵入、それに沢山ときた、相手するのはやっかいだぞ…」


一「島原先輩、ここは俺に任せて逃げてください」


薫「何を言ってんだよ、一人より二人でやった方がいいだろ!」


一「…初めて本音を言ってくれましたね」


薫「あ?」


一「あなたの本音が聞けてよかったよ」


薫「何が面白いんだよ!」


一「あなたは辛い嘘は言わないが、辛い本音も言わない方だ、そんなあなたが今まで何を考えているのかわからなかったですけど、やっぱりあなたはいい人ですよ」


一は前を向いているけど、今は喜んでいる表情ではなく安心したような表情をしているような気がする、そんな一に俺は彼にこの場を託してもいいのかもしれない


一「そう簡単に死ぬつもりはないですよ、当たり前ですけど死んだら守れませんからね」


薫「お前!」


一「それに法具結界を壊した奴は必ず魔物以外の何者かだ、そこに迎って下さい!」


久しぶりに見た、こいつが俺に期待した表情を見せるのは…


俺に強い視線を送るな、そういうのが苦手なんだよ

今まで俺と接してくれ俺はなにかをできる人間でもなにかをする人間でもない


薫「わかった、死んだら俺はお前を死の果てまで呪うからな」


一「わかりましたよ、行ってきてください!」


やっぱり天野の言葉は安心する、強い力を持つ人間の運命なのだろうか、こいつもその才能を持っている


俺は天野を信じて、街の中心に置いてある法具にむかって走り出す


カナン「薫さん!」


薫「何でここにいる、君は安全なところに行くんだ!」


カナン「ハリーの時みたいに、また無茶しようとしてますよね!」


薫「そんなことはない、誰よりも俺の命が優先だ!」


カナン「信用できません!」


走りながらよく会話ができるものだ、というよりカナンの体力が凄すぎる、こっちは疲れてきたと言うのに


薫「君がくる理由なんてない!」


カナン「それでも、私はあなたを死なせはしない!」


彼女は真っ直ぐな目でこちらをみている


これ以上俺が何を話しても言うことは聞いてくれないだろう、それならせめてカナンを傷つけないよう努力しなければならない


薫「…わかった、もしも何かが起きたらこの前みたいに助けを呼んできてくれ」


カナン「わかりました」


薫「よし、この先はどこに行けばいい?」


カナン「そろそろつきます、あそこの大きな建物です!」


カナンのいう大きな建物についた

さっきエネルギーの柱が起きたせいで廃墟ほどではないがボロボロになっている


薫「ひどいな、これは…」


カナン「以前来た時は、もっと立派だったんですけどね」


薫「…とにかく中に入るぞ」


建物の中は昼の時間帯であり、建物の天井が崩れているからだろう中は日光で見えやすくなっている


カナン「薫さん、あそこに人がたおれていますよ!」


薫「待て!」


「ふんっ!」


男はカナンにナイフで突き刺そうとするが、俺は男の右腕を掴んでナイフを止める


薫「俺たちは人間です、敵意はありません!」


「だか、だから、な、何だっていうんだ!!」


薫「…妙に呼吸が落ち着いていますね、もしかして警備を襲ったのも、この法具を壊したのも貴方ですか?」


「そ、そうだよ、俺だよ!」


薫「貴方は自分が襲われると思わなかったのですか?」


男は『襲われる』という言葉に反応した、そして俺に不気味な笑顔で答える


「そうだよ、俺を無能力とバカにする奴が魔物に悲惨な殺されるのを見て俺は優越に浸りたかっただけなんだよ…」


薫「…あんた」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


薫は俯いたまま、男を睨む


もし彼がもう一人の彼が出てくる条件が「命」に関わるものだとしたら…


また暴走する!


カナン「やめてください、薫さ…!」

薫「…違う、あんたじゃない」


カナン「え?」


「なにを言っている、このそ、装置も壊してここのじゅ、能天気な住民供を、お、陥れるのはこのお、お、おれだ!」


薫「貴方の意志に偽りはない、けど、誰かを庇っている」


「ふ、ふざけるなぁ!」


薫「すみません、この人を連れて出て行ってください」


いつのまにか正面入り口に騎士団の方々がたっている、既に来ていたようだ


薫「それよりも、ここは彼らに任せて今から逃げようとしている人を追いかけよう」


カナン「え?」


薫「あの人、あそこから出て行くつもりだぞ」


薫が指を刺した方向に、窓から逃げようとするフードを被ったコートの人がいた


カナン「薫さん、あの人を追いかけるのなら、裏口の方を使えば近づけます!」


薫「わかった、行くぞ」


私の予想通り、コートつけた逃げる人が見える

私と薫はその人を追いかける


コートの人はこちらに見向きはしないけど、走るスピードが速い、追いかけていることに気付かれているのだろう


カナン「何て速さなの!?」


薫「カナン、これ以上はダメだ」


男が曲がったところで、薫は諦めて走る速度を落とす

理由はわからないけど、納得はできなかった


カナン「何故ですか!」


薫「この先は行き止まりだ」


カナン「え!?」


薫の言う通り、曲がり角は行き止まりで逃げ場ない、しかし、男は消えていた


カナン「なんで?」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「ッチ、人間のくせに…」


一「俺とお前達は同じ生を持つ者だ、姿形や思想が違っても


一の戦いは終わってはいなかった

致命的なダメージは負ってはいないが、徐々に精神を削られている状態だった


「なにをいっているのか理解はできない」


一「死者は必ず出てしまう、これが戦いか」


「命をはって進まなければ戦えはしない」


どれだけ汗だくで土まみれになっても、久しぶりに薫に出会った二人はその信念を再び貫くことを決めていた


「それでも島原先輩が信じるものを、俺は久しぶりに信じてみたい!」


「これは結界が直っていく!?」


一「どうやら島原先輩がやってくれたみたいですね」


また大きな揺れが起きる


今度は、エネルギーでできた結界が空から街を覆い尽くすように発動する


ハリー「撤退だ」


「ハリー様、なぜここに!?」


ハリー「今回は状況が悪すぎる」


「し、しかし!」


ハリー「口答えか?」


「…」


一「なんだ、意外と冷静に判断できるんですね」


ハリー「…人間、これで終わりだと思うなよ」


ハリーの重い一言を最後に、魔物は一斉に退いていく

一は安心する

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