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56,世界の調停者はすごい(小並感)

ちょっとした説明回。一回で終わらせるつもりが……。はい。

――どうしてこうなった。


目の前にちょこんと座る、小さな青髪の少女を前に、俺は頭を抱えていた。


「どうだ?これで信じれたかの?」

「……無理があるだろうが」


発端は、俺の言葉のようなのだ。


奴が、突然に()()などしてしまったのは。

突然に声をかけてきたブルーフェニックスに、迷わず戦闘態勢を取った俺だったが、何故かそこでブルーフェニックスは交戦の意思がないことを告げてきた。



「ふむ、ではどうすれば信じる?本当に、我に害意など無いのだが」

「……もういい。良いから戻ってくれ」

「ぬ?お主が望んだことであろうが。それに、今しばらくは戻ることができぬ」

「……はぁ」


なんだろう、ちびっ子の姿で言葉を吐かれると、何処となく残念感が漂ってくる。

こみあげてくる頭痛と闘いながら、俺は疑問を解消すべく口を開いた。


「で、敵意がないのは分かったから、諸々の説明をしてくれないか?」

「ぬぅ……急に雑になったな?まあ良かろう……といってもな。何処から話すべきかの」


暫く、幼い外見に似つかないしかめっ面で何事か考え込んでいたブルーフェニックスだったが、そのうち思考が纏まったのか、おもむろに口を開いた。


「まず、我の存在意義から話したほうが良いだろうかて」

「……存在意義?そんなものあるのか」

「お主は我をなんだと思うておるのだ……我のような規格外な力を持つものは、大抵が役割を与えらえた特殊個体よ」

「特殊個体?」

「然り。我の場合は、調停者としての役割を与えられている。基本的には休眠して居るが、ここ数千年は少々ヒトの数が過剰になってきておる故、調整を入れようと思って動き出したのだ。まさか、起きて早々にお主のような特異点に出会うとは思わなんだ」


軽い調子で話すブルーフェニックスだったが、俺はその言葉に猛烈な悪寒を抱いた。

恐らく、物凄く嫌そうな顔で、オウム返しに聞いた俺に対し、ブルーフェニックスはひとつ笑うと説明を始めた。


「――調整?」

「呵々、お主にとっては脅威にもならぬだろうが、この世界にはヒトの数を一定に保つ仕組みがいくつかあるのよ。我が司るのはそのうちの二つ。ひとつは、言わずともしれようが、この森に棲まうもの達よの。ヒトにとってはちと強大すぎる故、余程の状況でなければ使うつもりは無かったのだがの……何時の世にも、阿呆はおるものよな」

「そんな簡単に済ませるなよ……。下手したら人類滅んでただろあれ」

「現実、お主が一人で防ぎ切っただろう?どうだ、人知れず人類の救世主と成れた気分というものは?」

「最悪だな。――そんなことはどうでもいい、二つと言ったよな?もう一つの調停作用は?」

「そう急くな。……元々、我が司っていたのは一つだけだったのだ。だがの、突然にこちの森をも支配せねばならなくなった。何故か分かるかいの?」

「知らん」

「気の短いこと……。焦れてばかりでは生は楽しめぬぞ?まあ良かろう、答えはお主だ、強き者よ」

「……俺?どういうことだ?」

「うむ、その反応が見たかったのだ。そも、お主が知るわけがなかろう、これは我と神との密約ぞ。お主が知っていて溜まるかいな」

「……随分といい性格してんなお前」

「長く年も取れば、性格も歪もうと言うものよ。……して、この森はあくまでお主というイレギュラーがあって追加されたオマケに過ぎぬ。元来我が持つ調整機構は、その名を【魔王】という。単純明快で良き名であろう?」

「……名称を聞いただけで嫌な予感がするとか、クソッタレにいい名前だな。名付け親の性格がよく分かる」

「そうであろうそうであろう。それに気づくとは、お主も中々に捻くれておるな?」


かたや若干眉を顰めつつも真顔で、かたや童女の姿で楽しそうに、毒を吐きあう姿は、きっと傍から見たら相当に異常だろう。

苛立ちを感じるまでもなく、只々相手をするのが面倒くさいとしか感じない、こいつのこの話し方は、ある意味才能なのかもしれないな。


「で、どんな機構なんだ?」

「――――簡潔に言えば、魔力体よ。ヒトの魔力を材料とした、な」

「……魔力体とやらが何なのかも聞きたいところだけどな。契約、そのためだったのか」

「是よ。何やら喰われるなどと勘違いした輩も居ったようだが、そも、我は食事を必要とせん。この森の魔物がそうであるようにな」

「――情報過多で整理がつかないんだが、あいつらって食事要らなかったのか?じゃあなんであんなお誂え向きに食べられる植物が生えてたんだ?てっきり、魔物たちの食料源だと思ってたんだが……。誰かに食べられるわけでもないなら態々食べてもらえるように進化する必要は無かったんじゃないのか?」

「全くの逆よ、逆。そもそもの前提が間違っておる。食べられないからこそ、旨いままで居れたのよ。今のお主なら気づいておろうが、この森には魔力が満ち溢れている。ヒトを減らし過ぎないための措置として、この森の魔物が魔法を覚えることは禁止されておる故、魔物たちにとっては余り意味のないものだが、植物にとっては違う。知っておるか、魔物とは植物にとって最大の栄養分になるということを。そして、魔力をその身に蓄えた植物は、豊富な養分を有する。お主も知っておろうが、育成条件の良い植物はそれだけ実に養分を溜め込むのよ。お主らが旨いと感じるのは、それら栄養であろう?森の植物が、口に合わぬ道理がない」

「……お前もう一回黙ってくれ。なんでそう毎回毎回口を開くたびに新事実を次々と……」

「ぬぅ!?今のは流石に謂れなき中傷であろう!?斯様に懇切丁寧に質問に答える調停者などそうおらぬぞ?ましてや特殊個体など」


珍しく正論を抜かすブルーフェニックス。なんとなく無視した。なんか喚いてるような気もするが無視だ無視。


正直、今の形式で会話をしていると知らない情報が次から次へと投げ渡されて、疑問を解消するはずが新たな疑問を生む循環機構になってしまっている。これではキリがないので、まずは一番知りたい所だけを寄り道せずに話してもらうことにする。


「話が逸れ過ぎた、まずは魔王について話してくれ」

「ぬ、やはり扱いが雑よの……。こほん、魔王が魔力体であることは言ったな。魔力体を説明するにはこの世界の成り立ちそのものを話さねばならぬ故省略するが、有り体に言ってしまえば魔力で出来た体、よ。精神攻撃を受け付けず、物理攻撃に脆い性質を持つ。勿論、体自体魔力であるのだから、魔法に関しては抜きん出た性能を持っておる」

「ふむ、因みに俺は?」

「当然、現実体だ。ヒトに魔力体、精神体はおらぬ。……お主、ヒト、よな?」

「なんでそこに疑問を抱いてんだ。俺はどう見ても人間だろうが」

「ヒトを滅ぼすために作られた機構をいとも容易く破壊し得る力を有しながら、己をヒトと呼称するのか?」

「魔物たちは成り行きだ成り行き。俺より強い人間なんてどっかに居るだろ」

「おるわけがなかろう!お主は自分の強さを過小評価して居るのではないか?あるいは、周りを過大評価して居るのか……。考えても見よ、お主より強大な力を持つヒトが存在しているのであれば、とっくに森なぞ壊滅させられておるわ!!」


何故かキレ気味に叫ぶブルーフェニックスは、その幼体から青炎を揺らめかせていた。若干、化けの皮が剥がれているかのような蜃気楼。

人化は、感情とリンクでもしているのだろうか。


「あ、因みにお前は現実体ってやつなのか?」

「違うわ!我は魔力体の代表格として割合有名なのだぞ?もっと崇めるが良い」

「ふーん、そっか、有名なんだな。すごいすごい」

「がああああああ!信じておらぬな!?絶対にその生返事は馬鹿にしておるな!!」


幼女が地団駄を踏みながら全身で苛立ちを表現している。

それに合わせて、段々姿がはっきりとしてきた炎も陽炎のように揺らめく。

動きの主張が激しいな。


「なあ、話進まないからそろそろ良いか?」

「~~~~~ッッ!!お主が!いちいち!!話を!止めて居るのだろうがッッッ!!!」

「――あっぶな」


遂に我慢の限界に達したのか、幼女の体から炎が吹き出し始めた。年の割に堪え性がないな、などと益体もないことを考えながら、余波でこちらに飛んできた青いファイアーボールを軽く避ける。

手前で爆発したファイアーボールが地面の土埃を舞い上げ、視界が悪くなったが、それも一瞬のこと。


視界が晴れた先には、恐らく人化が解けたブルーフェニックスの姿が……。


「……ん?」


…………ブルーフェニックス、何処行った?


乙「実は実は、ここのお話結構あとの方で大事になってきたりこなかったり」

ベ「どっちだよ」

乙「大事な気がするけど大事じゃなくなる可能性もいっぱいあるので保険かけとくの!」

ベ「姑息だな」

乙「ぬぐぐ……」



評価の星がいっぱいもらえました!アリガットウ、アリガットウ!!+。:.゜ヽ(*´∀)ノ゜.:。+゜

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