53,出ギャザール
このタイトルの元ネタ分かる人いないだろうな……。
モーセの「出エジプト」です。
ステータスが一番書くのに時間がかかるんですよね……。でも一番見てて無双感があるのも事実。
うぅむ……。やるしかない!
「今まで世話になった」
「――本当に行っちゃうの……?」
長い休眠から目を覚まして数日後。
スタンピードの後片付けをすべて終わらせた俺は、この街を出ることを決めた。
理由としては簡単だ。これ以上ここにいるのは、迷惑がかかる。
普段から関わりのあった冒険者や街の人は、スタンピードの後も変わらず俺を受け入れてくれる。
だが、初日でいきなりC級にまで上り詰めてしまった俺をよく思わない輩も少なからず存在していた。
そういったやつらが、ここぞとばかりに街の人々にあることないことを吹き込んでいるらしく、今では俺は気配を隠さずに歩いていると憎悪の目線が隠されることなく浴びせられる状況だ。
俺は、絶望の森で散々殺気や憎悪を向けられているから慣れているものの、周りはそうじゃない。
俺を庇おうとしてくれる人たちにまで害が及ぶ前に、俺が居なくなるべきなのだろう。
――勿論、けじめはつけてくけどな。
「……当ては、あるのか」
「王都に行こうと思っているが」
「……なら、これを持っていけ」
相変わらず巌のようにむっつりと仁王立ちをしていたギアが、俺にそう言って何かを差し出す。
見ればそれは、一封の手紙だった。
「――王都に、料理仲間がいる。そいつの宿に、泊めてもらえ」
「……助かる」
あとで聞いたことだが、人口の多い王都では中々宿が取れないこともあるのだとか。
醜悪な街の奴らを見た分、ギアの心遣いが、心にしみた。
「ベルさん……」
「ん」
「――――――ううん、なんでもない。向こうでも、頑張ってね!」
「――ああ、ありがとう」
泣きそうな雰囲気を漂わせていたミーナだったが、最後は元気な声で見送りに来てくれた。
ほかにも、宿で時たま言葉を交わした冒険者や、ギルマス、エルゼにパラケル。
多くの人が、門まで見送りに来てくれていた。
――俺は、幸せ者だ。
森にいたときには常に心に巣食い、俺を蝕んでいた孤独。
それが今は、温かな輪の中で、綺麗に消え去っていた。
ギャザール、寄せ集めの街。良い、街だった。
***
「さて、と」
街を出た俺は、王都とは真逆の方向に進んでいた。
目指す先は、絶望の森だ。
これは目を覚ました後ギルマスに聞いた話だが。
俺が灰鼠のアジトを潰しに行っている間、ガルムたちは領主によって混沌の森の調査を依頼されていたらしい。
そして、ガルムが出発し、暫くしても戻ってこないことに疑問を感じたギルマスが、領主に確認を取るべく、館に赴くと。
もう、領主は消えていたらしい。
そこで、ギルマスは領主に対してずっと感じていた不信感を爆発させ、詳細に今までの領主の動きを調べさせる。
そして見えてきたのが、俺にも話した、陰謀の数々。
その陰謀の先、領主が何を為そうとしていたのか――――。
ギルマスはそこまではたどり着かなかったようだが、俺には一つ、気になっていたことがある。
何故、ブルーフェニックスは復活していたのか。あのクソ鳥は、一度間違いなく俺が殺しているはずなのだ。なんなら、素材も持っている。
そして、なぜ領主はブルーフェニックスの聖火の粉を求めたのか。俺はまんまと騙されてブルーフェニックスの聖火の粉を見せてしまったわけだが、素材がブルーフェニックスのものであったことは、果たして偶然だったのだろうか。
影の中から、ひとつの短剣を取り出す。
――ブルーフェニックスが彫られた、護身剣。
全てが、ブルーフェニックスに繋がっている。
ならば。少なくともクソ鳥のもとに赴けば、何かわかることがあるはずだ。
王都に行くとは言ったが、このまま全て放り出して行くわけにはいかない。
せめて、奴にけじめをつけさせないとな。
「見えてきた」
走りながら思考をまとめているうちに、混沌の森が見えてきた。
まだまだ絶望の森は先だが、森に入る上につい最近に異常事態まで起こったんだ。
少し、警戒しながら進もう。
***
結論から言うと、森は平穏だった。いや、もちろん魔物は我が物顔で闊歩しているのだが。
俺にとって脅威になり得るようなものは、今のところ無い。
俺が強いのもあるが、スタンピードの影響か、魔物の数が心なし少ないのも、脅威度を下げる理由になっている。数は力だ。それは、絶望の森で嫌というほど味わった。
――ブーン。
「ちっ……嫌なことを思い出した」
かつて、ベルゼブブの群れに体中を食い散らかされたことを思い出し、俺はつい舌打ちをした。
今だったら、流石にあそこまで無様な負け方はしないだろう。奴らは魔法に弱いことが分かっているのだ。簡単に焼き払える。
そういえば、最近ステータスを見ていなかったな。
久しぶりに見てみるとするか。
「ステータス」
――――――――――――――――
名前:ベル
種族:デメテルの堕徒
メインジョブ:闇黒
セカンドジョブ:影極
サードジョブ:帯魔☆
レベル:1562(↑522)
――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
SP:130
武器スキル:
武具-----------
‣雑具Lv1(new!)
‣八百萬Lv5(new!)(↑4)
魔法スキル:
自衛-----------
‣黒白魔法Lv 10(new!)(↑9)
‣影魔法Lv10
‣影支援Lv10
‣結界魔法Lv10
‣元素魔法Lv9
回復-----------
‣重息吹Lv10
‣光魔法Lv10
‣超回復Lv10
‣神術Lv3(new!)(↑2)
特殊スキル:
自衛-----------
‣暗殺Lv10
‣護身術・極Lv5(new!)(↑4)
‣魔眼Lv9
耐性-----------
‣不労 Lv3(new!)(↑2)
‣苦痛耐性 Lv10
‣快感耐性 Lv9
‣狂気耐性 Lv10
‣圧力耐性 Lv2
技能-----------
‣気配操作 Lv10
‣魔力遮断 Lv10
‣魔力支配 Lv10☆
‣透過 Lv1(new!)
‣淘汰 Lv10
‣略考 Lv3(new!)
‣悪食 Lv10
‣群体思考 Lv1(new!)
‣立体起動 Lv10☆
‣ポーカーフェイス Lv10
ユニークスキル:
‣貪欲ナル異端者 La 9
‣鑑識 La 1(new!)
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――
EP:49
基礎値★★★★-------
STR;7(↑10)
ATK;2(↑9)
VIT;1(↑9)
DEF;1(↑9)
INT;5(↑9)
RES;1(↑9)
DEX;1(↑9)
AGI;7(↑10)
LUC;3(↑9)
―――――――――――――――――――
「なんか、微妙に変わってるな……?」
本当に見るのが久しぶりすぎてイマイチ覚えていないが、いくつか変わっているようだ。
まず、武器スキル。
<暗具>が<雑具>へ、<百般>が<八百萬>へと、それぞれ進化している。
大体が<八百萬>にまとめられているから、やたらとすっきりしているな。
俺はこの枠を操作した覚えがないので、勝手に進化してレベルまで上がったのだろう。
そう思うと、鍛錬の成果が現れているようで嬉しい。
次、魔法スキル。
<黒白魔法>は……闇魔法と光魔法が合体して進化したのか。
まだまだ強化できそうだ。逆に、元素魔法は結局随分前に遊んだきり、手を付けていないから、レベル10の壁を越せてもいない。
新しく生えた<神術>は、回復スキルの枠にあるのを見る限り、何かを回復してくれるのだろうが……。
何故生えたのか、考えたくない。
更に次、特殊スキル。
<護身術>が<護身術・極>へと変わったようだ。毎日本気で剣振っていたからだろうか。
いや、剣は八百萬スキルだろうから……これはなんだ?いまいちわからんな。
技能は、色々と変わっている。
<影化>が<透過>に、<直感>が<略考>に、そして<並列思考>が<群体思考>へとそれぞれ進化した。
まぁ、使ったものが伸びている、その一言に尽きるだろう。
最後に、ユニークスキル。
<鑑定>が、いつの間にか<鑑識>へと進化していた。
間違いなく、ガルムを助けようとしていたときの影響だろう。
あの時、本来なら見えないはずの物が見えた。それは、バグではなく、スキルの進化によるものだったのか。
「……あとで使ってみるか」
ウィンドウをスライドし、基礎値を眺める。基礎値は、実は結構前に振った。お陰で、カンストを表す★が一つ増えている。
ひとつポイントを振るだけで、生まれ変わったかのような変化を感じるEPを、これだけ大量に振っているんだ。
そりゃあ、身体能力もおかしいことになるわけだ。
実際、EPひとつがどれだけの性能を持つのか、俺が初めてこの世界にやってきたときのことを考えればわかりやすいだろう。
絶望の森という、この世界のどんな猛者も絶対に足を踏み入れない魔境に住む、ヴァージャ(恐竜のような魔物)の噛みつき攻撃を、なんてことはない一般人だった俺が混乱状態で避けることが出来てしまったんだ。
たった、AGI5で。
それが今は、10×カンスト四回分だ。どれほど数値がインフレしているか、お察しだろう。
神の堕とし子がどれほどのものか知らないから、まだ断言はしないが、俺はこの世界で最強なんじゃないかとは、真面目に考えている。
話が逸れた。
とりあえず、ステータスを確認したらあとはブルーフェニックスを探すことに専念しようかと思っていたが、好奇心には勝てない。
先に、少し検証するくらい、許されるだろう。
「全部一通り目は通したし……使って見るとするか。<鑑識>」
俺が、ステータスボードに向かって<鑑識>を発動すると同時に。
――音もなく、どこか見覚えのある一枚のステータスボードが現れた。
乙「_|\○_ヒャッ ε=\_○ノ ホーウ!!」
ベ「字面からして煩い」
乙「相変わらず口汚いベル君ですが、私はいまそんなものがどうでもいいくらいテンションが高い!だから許す!」
ベ「ふーん」
乙「そう、凄いテンション高いの!」
ベ「……ふーん」
乙「ね、ねえ。テンション高いんだ!」
ベ「そうか、良かったな」
乙「違うじゃん!そこは「何があったの?」でしょ!?なんでそんな興味なさそうな反応するの!?何だよ「良かったな」って!よくないよ!いやよかったけど!」
ベ「どっちだよ……まあどうでもいいからとっとと言え」
乙「実は、この数日の間にふたつも感想をいただきました!感動に打ち震えて足バタバタさせてたら煩いって言われました」
ベ「やっぱり煩いんじゃねえか」
乙「いや、本当に感動してたんだって!感想を書くなんて中々しないことだよ?つまりベル君の物語には人に感想を書こうと思わせるぐらいの魅力があったんだよ!」
ベ「つまり俺のお陰か。謝礼に何がもらえるんだ?」
乙「あげないよ何勝手に自分の手柄にしてるの!?」
ベ「さぁ。……会話長すぎて飽きたから帰るわ。じゃあな」
乙「えっ嘘でしょ待って待ってま――――ああああああああ本当に帰りやがったァァアア!――あっ、と、とりあえず感想とかブクマとか最近いっぱい来ていてとても嬉しいです本当にありがとうございます!ではまた!――――待てやゴルァーーー……!」ノシ




