52,冒険と挫折
「パラケル!」
「おう!――ストーンストンプ!今だ、エルゼ!」
「わかってるわよ!――黄昏の静寂」
ギルガメッシュが魔物の攻撃を受け止め、パラケルが怯ませ、その隙を縫ってエルゼが技を入れた。
魔物の腹から鈍色が生え、やがて動きを止めた魔物が倒れ伏す。
「お疲れ様!回復するねー」
「さんきゅ」
その場に腰を下ろした三人に駆け寄って手を翳す少女に、ギルガメッシュが軽く右手を上げて礼を言った。
「休憩が終わったら、あとボス殺して帰るだけか」
「そうだな。ようやくここまで来たんだ。はやくボスの面を拝みてぇところだ」
「ったく、うちの男は戦闘狂ばっかなんだから……」
「あはは、皆無理はしないでね?私の仕事増えちゃうんだから」
全てが順調に進んでいた、黄金の時代。
彼らは、A級冒険者パーティ【希望の光】として、とあるダンジョンに挑んでいた。
ボス部屋前の小さな休憩スペースにて談笑し、戦意を高める。
やがて、ひとり、またひとりと立ち上がり、武器の確認を終えると、ギルガメッシュが顔を引き締めて言った。
「――よし、行くか」
「あぁ」
希望に満ちた面々の中、荘重に佇むボス部屋の扉が、今開かれた――――。
***
「くそっ、ちょこまかと!!!!」
「うっせぇぞギル!手を動かせ手を!!」
「あんたらどっちもよ!――アサシンクロス!」
「ヒール!ヒール!エリアヒール!ヒール!――――」
「ちょっと、ルナ!あんた魔力大丈夫なの?」
「ヒール!ヒール……!カフッ」
「おい、どうしたルナ!」
「馬鹿野郎、よそ見するんじゃね――――グッ!」
「ヒール!ヒー――――」
「ルナ!?ルナ、ルナ!」
「――うそ、でしょ……!?気配が、増えた……。ねぇ、なんで?ボスって一体じゃないの?なんでニ体もいるの?なんで、なんで――――ルナの中からボスの気配がするの?」
「お、おいエルゼ!」
「……ご、めん。もう、無理そう、か、な……。【帰還】」
「なっ、おい!ルナ!何を――!?」
「ルナーーーーーーーーッ!!!」
光は消え。
絶叫が、怨嗟が、慟哭が、一つのパーティの灯火を、掻き消した。
***
「ギル、どうした?手が止まってんぞ」
「……ああ、済まない。ふと、昔のことを思い出して、な」
寂寥感を漂わせた瞳を、暗い空に向けたギルガメッシュに、パラケルが話しかけた。
苦笑して剥ぎ取りを再開するギルガメッシュだったが、その様子の既視感にパラケルは目を細める。
二人だけだからか、パラケルの口調がもともとの荒いものに戻っているが、ギルガメッシュは特に言及はしなかった。
「――――ああ。そういや昔は、こんな風に剥ぎ取ってたなァ。最近はすっかりだったのか?」
「そうだな。今じゃ格闘するのは書類相手だ」
「ハッ、元Aランク冒険者ともあろうお方が、書類相手に悪戦苦闘ねぇ?悪い冗談だ」
「五月蝿え。……お前は変わりないのか?」
「まぁ、そうだな」
「ってことは、やっぱまだ武器を配り歩いてるのか?」
「……配り歩いちゃァいねえよ。気まぐれで投げ渡してるだけだ」
「ははっ、素直じゃない言い方だな。お前の性能の良い武器のお陰でどれだけの初心者が助かったことか」
「……約束だったからな。あいつとの」
「――――そう、だな」
会話は、それきりだった。
遠いどこかを懐かしむかのように、あるいは悼むように。
そっと目を閉じ、そして開いたパラケルの目の前に、ゴトッという音とともに新しい鱗が投げられる。
静寂のうちに、パラケルは鱗をナイフ状に加工していくのだった。
乙「や……やっほー」
ベ「なんだ元気ないな?いつもの馬鹿みたいな能天気さはどこいったんだ?」
乙「いやだって今回結構シリアスな回だよ?乙夜だってさすがに空気読むよ?」
ベ「へぇ、お前にそんな脳があったんだな?」
乙「ねえさっきからだいぶ失礼だよ?」
んーーーーー……。言うことナシ!あっ読んで頂き誠にありがとうございますまた次回も是非――
では、あでゅー!(`・ω・´)ゞ




