50,復活と
連続投稿できないとでも思ったのか?
ハイ、まさにその通りです。
「……怒り、か」
ソレを、じっと見つめるハデスは、やがてポツリと呟いた。それは、意図せず口から零れ落ちた、というような風で。
「ベル君、君に、精霊の祝福があると良いね」
ベルに話しかけていた時とは打って変わって優しい声のハデスは、そう目を閉じるベルに話しかけた。
そして、空中に浮くベルへゆったりと近づいたハデスは、目を閉じた。
「――――僕からできることは、数少ない。ベル君はベル君の速度でやればいいさ。立ち直るのも、折れるのも君次第だ。でもね、ベル君」
それは、眠りに落ちていく我が子に話しかけるかのように。
「早く、此処まで来ないと――――死んでしまうよ?君の大切なもの、全て」
慈愛と憎悪に満ちた、柔らかく刺々しい言葉を、ベルへと纏わりつかせていく。
そして。
――――。
軽く、ベルの額へと、唇を落とした。
それは、彼自身がかつて、そうされたように。
そうして、少しずつ闇は薄れ――――――。
******
目覚めとは得てして、水面際の呼吸のようなものに感じる。
睡眠という深い深い海から、急速に水面へと浮上していくような、独特の感覚。
「……知らない天井……でもないな」
水面を割るように、目を覚ました。
「――――ハデス、か」
何とはなしに、右手を眺めて呟く。
デメテルとの話、家族の話、ハデスとの会話。
「……ガルム」
不思議と、怒りはなかった。
ただただ、寂しさと、虚しさと。
確固たる決意が、胸中を占めていた。
「強く、ならないと……」
***
何はともあれと、立ち上がる。
感覚としてはわからなかったが、どうにも長めに寝ていたようで、足元が少しおぼつかない。
筋肉がはっきりと弱っていることを感じる。リハビリは必須だろう。
その場で少しだけ屈伸を繰り返してから、部屋を出て一階に降りることにする。
もし長く寝ていたのなら、宿泊費もたまっているだろうし、心配をさせてしまっているかもしれない。
……いや。
あまり記憶は残っていないが、戦闘時はかなり可笑しくなっていたはずだ。
俺の力が異常であることは、はっきりと知れ渡ってしまった可能性が高い。
人間というのは、異端を疎んじる。
異端というのは、わからない。そして、わからない者は怖い。だから、遠ざける。
あれだけの力を持つ俺が、どのように受け取られるものなのか。
分からない。もしかしたら、誰にも受け入れてもらえないかもしれない。
力あるものが恐怖の対象となるのは、物語としても、現実としても十分にあり得ることだしな。
――――駄目だ、弱気になっても仕方がない。
……別のことを考えよう。
そういえば。
デメテルやハデスとの会話のせいで遠くのことのように感じるが、俺が意識を失ったのは確か絶望の森のスタンピードを駆逐したところだ。
あのあと、街はどうなったのだろう。
そういえば、ブルーフェニックスは結局あの後どうなったのかも知らない。
そこでふと思いついて、気配察知を使う。
久しぶりの感覚に、少しだけクラッとしたのち、戻る。
「……やっぱり、居ないか」
探したのは、ガルム率いるAランクパーティ【踊る炎】のメンバーだ。
「……ラー、メネ、エル、ベラルツ」
大して付き合いが長かったわけではない。そこまで深い関係があったともいえないかもしれない。
それでも、それでも。
彼らは、俺の中に、大きな存在となって居座っていたのだ。
心の中に、ぽっかりと穴が開いたような感覚をしかと味わいながら、俺は階段を下りたのだった。
***
俺が、階段を下りて一階の食堂に姿を現したその瞬間、はっきりとその場の空気が凍ったのを感じた。
今の今までのんびりと食事をとっていた冒険者が、談笑していたパーティたちが、自席で舟をこいでいた男が――――そして、料理を運んでいたミーナが。
皆一様に、俺を見て固まった。
「……ええと……おはよう、か?」
「――――――――ベルさんっ!!」
そんな空気感に堪えられなくなった俺が、皆の目線が恐怖に代わるのではないかという不安と、居心地の悪さを感じながらも右手を挙げて挨拶をすれば、ようやく再起動したらしいミーナが真っ先に飛び込んできた。
……持っていた料理を放り投げて。
哀れ、熱々の肉料理を頭から浴びた冒険者は、強制的に再起動され、「あっち、あっちぃ!」と叫んでいた。
だが、普段なら誰かしらが笑いそうなそのシチュエーションに至っても、ほとんどの冒険者がフリーズしたままだった。
「ベルさんっ、ベルさんっ!」
「……すまん、心配させたか」
「したに、決まってるでしょ…………ッ!」
飛び込んできたミーナの背中を、ぽんぽんと叩いてあやしてやる。
筋肉が弱っているからか、若干突進されて体が傾いてしまったが、無理矢理に姿勢を正す。
「……すまな…………いや、違うか。――――ありがとう、心配してくれて」
肩を震わせるミーナに、反射的に謝りそうになったが、今言うべき言葉はそれじゃない。
そう思いなおし、感謝の言葉を紡ぐ。
少なくとも、彼女は俺を怖がらずにいてくれている。
その事実が、とてもありがたかった。
「うん……うん」
それだけ言った後、ミーナは完全に俺の胸に顔をうずめてしまった。
その静寂の中、少しずつ、少しずつ、空気が変わっていった。
皆が再起動をはじめ、俺とミーナを見る目が、驚愕からだんだんと生暖かいものへと変化していく。
やがて少しずつざわめきが戻っていく。
それは、俺がここに居ることが認められたということでもあった。
「…………良かった」
そんな、心からの一言が、ポツリと零れ落ち、ざわめきの中に消えていった。
てことで暫くさようなら。ノシ
あ、総合ポイント1000突破本当に有難うございます。1000ポイントってことは、つまり1000ポイントってことなんですよ!凄くないですか?凄いですよね!?主に私の語彙力が!(※主は別にやくぶーつをキメてるわけではありません。これが素です)
ベ「そっちの方がもっと怖えよ」




