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20/58

19,睡眠と食事と

総合評価が120になりました!

ブクマも増えていって、22まで!!

ありがとうございます、ありがとうございます!!


それでは19話どうぞ!!

三人組を()()()後、俺は大通りへ歩き出した。



<宿り木亭>につく。

中々繁盛しているようで、一階の食堂はかなり忙しそうに従業員が走り回っている。


それを見ながら、受付に行く。

そこには、10歳ぐらいのうさ耳少女がいた。



「あっ、お客さんですか?いらっしゃい!」

「ああ、冒険者ギルドから、此処を勧められた。宿を取りたいんだが」

「はーい!良かったね、丁度一部屋空いたところだよ!」


危なかった。

まさかあのギルマス、宿が空いてるか確認せずに勧めてきたのか……。いや、まあそうか。

あいつだって忙しいはずだもんな。わざわざ確認する余裕も義理もないか。


「一泊何ゼンだ?」

「泊まるだけなら一泊550ゼン、あとはご飯が一食60ゼンだよ」

「取りあえず一週間泊まる。食事もセットで頼む」

「はーい、ええと、ちょっと待ってね、計算するから―――――…………………」

「……4270ゼンか?」

「――――ほんとだ、お兄さん、すごいね!」


余りにも計算が遅いので、つい口をはさんでしまった。

簡単な四則演算でしかないが、まあ10歳に速度を求めるのが間違っているのか?


「今金が全然ないんだ、ジョーショーで払っても大丈夫か?」

「えっ、うーん……分かった、大丈夫だよ!ただ、今度からは出来れば商業ギルドで両替してもらってね」

「ああ、悪い」


やっぱりあんまりよくはなかったか。どうやら商業ギルドで両替できるようなので、覚えておこう。

というかオラルにスマトートを売った時のお金も取りにいかなければだしな。


「お客さんの名前は?あっ、私はミーナだよ!」

「ベルだ」

「ベルさんね、了解!じゃあ、ベルさんの部屋に案内するね、ついてきて!」


案内されたのは二階だった。

部屋は5畳ほどだろうか、そこまで狭い感じもなく、小綺麗でいい印象だ。


鍵を受け通り、説明や注意を一通り聞くと、俺は吸い寄せられるようにベッドに入り、そのまま寝てしまった。

本当に久しぶりのベッドだ。



***


ドアの前に誰かが来た気配を察知して起きてしまった。

敵意は感じないので、放置して再び寝ようかと思ったが、ドアがノックされたので中断。


「はーい」

「あ、起きた?よかった、生きてたんだね!夜ご飯の時間だけど、どうする?」


どうやら、俺が直ぐに眠ってしまい一向に出てこなかったので、部屋で実は死んでいるんじゃないかと考えていたらしい。

生きてるよ。こんなところで死んでたまるか。


「……マジか、もうそんな時間か……すぐ行く。下でもらえるのか?」

「うん!下のカウンターにいる私のお父さんに言えばすぐに作ってもらえるから」


そういってミーナが去っていく気配がした。

此処まで深く眠ったのは、本当に久しぶりだ。


睡眠が、此処まで気持ちの良いものだとは。

そして、とても腹が減った。


さあ、期待に満ちた、夕ご飯だ。



***


一階に降りると、食堂のカウンターに真っすぐ向かう。

そこには、熊がいた。


いや、間違えた。熊のような外見の、男がいた。

でかい。背も高いが、ガタイがとにかく良い。

そして、滅茶苦茶な強面だ。

子どもが見たら泣くんじゃないだろうか。



「夕ご飯を貰えるか」

「……」


無言で頷き、奥に引っ込んだ男は、すぐに出てくる。

その手には、美味しそうなステーキといくつかのパンが乗ったプレートがあった。



「有り難う」

「……」


もう、俺のテンションはうなぎ上りだった。

急いで席に着くなり、手を合わせる。


「いただきます」


言うが早いかフォークを握り、ステーキにかぶりつく。







上手い。


それ以外の感想が出てこない。



噛むたびに溢れ出てくる、ジューシーな肉汁。

ピリッとする茶色いソースと、肉本来の旨味がひたすら口の中を蹂躙する。

パンは固かったが、スマトートの肉に比べれば断然柔らかくて食べやすい。

それに、案外肉とパンも合うものだ。肉汁の混ざったソースをパンにつけて食べる。

手が止まらない。



つぅっと、涙が零れた。

最近、どうも涙もろくて駄目だ。



十分な睡眠をとって、美味しいご飯を食べて。


ようやく、完全に人間に戻った気分になった。

涙の後を拭いながら、そんなことを思った。




ふと、ミーナの父がじっとこちらを見つめていることに気付いた。

目が合う。


少し迷った後、グッ!とサムズアップしておいた。

すると、満足げに頷いて、奥へと消えていった。



と思うとすぐに出てきて、手に何かを持ってこちらにやってくる。

強面なのにエプロンがやたらかわいくて、ちょっと笑ってしまった。


真っすぐ俺の席に来たかと思うと、コトンと皿を俺の前に置いた。



「……サービスだ」


やたら低い声で言うことがそれなのか。


皿を見ると、黄色い果実が綺麗に盛り付けられていた。

フルーツか。


「有り難う」

「……」


彼は、無言で頷くと、そのまま厨房に戻っていった。

心なしか、その背中は満足げで。


ああ、温かい。

こういう温かい人情こそが、人間のいいところなのだと、しみじみと思った。



***


「なんで泣いてたんだろうね」

「……過酷な場所にいる冒険者は、まともな飯にありつけないこともある。恐らく、彼もそうだったのだろう」

「……そっか。じゃあ、これからは毎日美味しいもの食べさせてあげないとね。頑張ってね、お父さん」

「…………当然だ」


***


しっかりと完食した俺は、プレートを持ってカウンターに行き、ミーナのお父さんに感謝を述べると、部屋に戻ってきた。

ちなみに彼の名前は、ギアだった。


エプロンに可愛く刺繍されていた。……まさかあれ自作か?



「さて……どう生きようか」


森を出るときに願ったことはすべて叶ってしまった。

次は、何を目標として生きていこうか。


まず、無双をしてみたい。男の子だもの。

だが、そういった輩は面倒な貴族などに絡まれるのがテンプレ。


だから、地盤固めをしておきたい。

方法は二つ。


一つ目は、Sランク冒険者になること。

Sランク冒険者になってしまえば、恐らく権力が手に入る。


何故そう言えるか?ラノベ知識だ。

まあ不確実なうえに、Sランクになる前に色々と目を付けられそうなのが難点だ。


二つ目は、まともな貴族とつながりを持っておくこと。要するに後ろ盾だ。


どうやってまともな貴族と接点を持つか。

これは、俺の趣味も入ってくるんだが……。


情報屋の真似事をしてみようかと思っている。

貴族に情報を売り付け、接点を作る。


これの難点はずばり、貴族が求める情報を俺が集められるとは限らないことだ。

というか、貴族がどんな情報を望むのかなんて分かるわけがない。


どうするか。


一応他にも手はある。


それは、まともな貴族に取り入って、暗殺業を営むことだ。

依頼された標的を殺す、暗殺者。


だが、それは修羅の道ともいえる。そんな殺伐とした道を歩みたいとは思わないので、却下だな。


まあ、よっぽどたちの悪い貴族だったら、処分も考えるかもしれんが……。



まあ、別に目をつけられたら雲隠れすればいいか。


戦闘力はともあれ、隠れることに関しては俺は自分の腕に自信を持っている。

いざというときに逃げられるのは、大きな強みだ。



せっかく今まで辛い思いをしてきたんだ。

これからは、自由に生きたい。のんびりと、気の向くままに。



まあ取りあえずは、この平和な日々を謳歌するとしよう――――――――。







醜い争いをするのも人間なら、温かい気遣いをするのもまた人間なんです(しみじみ)。


さて、ベル君はこれから無事平穏な生活を送ることが出来るのでしょうか……?

送れるといいですねぇ……(ゲス顔)。


それでは、感想、レビュー、ブクマ、評価待ってます!!

また次回で!

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