11,遂に
今回長いです!
ブクマがまた増えました!!感謝感激です!!!!!
毎朝の楽しみがPVとポイントを眺めることになっている今日この頃。
ユニークユーザーが250人行っていました!これからもこの作品をどうぞよろしく( `・∀・´)ノ
***
そろそろ、人肌が恋しい。
というか、美味しいご飯が食べたい。
もうあのまっっっっっっっっずい飯を食べたくない。飯が不味いのは真剣に大きい問題だ。
あれだけは如何ともしがたい。初めのころは泣きながら食べてた。吐き気と戦いながらの食事。
最近はもう慣れた。
気が付いたら《悪食》なんてスキルが生えていた。
最近はあれを飯と呼ぶことが烏滸がましいのではないかとさえ思ってる。
ちなみに今の俺は、森の中に見つけた湖の近くに住んでいる。まぁ住んでいるといっても単純に木の上で寝起きしているだけだが。モンスターもうじゃうじゃいたが、来るたびに暗殺してたら、だんだん少なくなった。学習したんだろうな、お利口さんだ。
ただし、湖の水は不衛生で飲めるものじゃないので、水浴びしかしていない。
大喜びで水をごくごく飲んで、腹を壊したのは苦い思い出……。
その際に、光魔法で回復できることを知ったのは怪我の功名というべきか。
そして、鑑定のパッシブ能力によって手に入る知識が完全でないことが分かった。
どこまで回復できて、何処からは回復できないのか。
下痢を治すことはできるのに、水を殺菌することはできないのは何故なんだろうなぁ……。
さらに言うなら、情報があっても、俺の頭がそれを処理しきれていない。
知識を持っていても、それを思い出そうとしなければ持っていることにも気づかないわけだから。
まさか光魔法、毒がダメとは思わなかったけどな……。
状態異常を回復できるものだと思い込んで、毒を少しだけ喰らった時に回復しようと思ったら、まさかの光魔法では治せなかった。毒が回りきる前にモンスターを殺して、急いで木の上に逃げれたからよかったものの、そのあと3日ぐらい時たま血を吐いていた。
耐性も得られなかった。踏んだり蹴ったりだ。
まあなんだかんだ、水浴びができるだけでも相当嬉しいのだ。少し人間に戻れた感じがして。
それでも、火を起こす技術もなければ、飲み水を出す魔法も使えない。
そろそろ、文化人的な生活を送りたいものだ。
そんな思いが切実になってきたここ最近、そろそろ真剣に森を出ることを決意した。
決意した一番の要因は、夢に日本のころの生活が出てきてしまったことだ。
あんな幸せな夢見たら、もうこんなとこ住めるわけないだろうが!
他にも、俺が強くなってきて、そろそろこの森のモンスターどもにも余裕をもって勝てるようになってきたからという理由もある。
思い立ったが吉日。
俺は、とりあえず湖から、真っすぐ進んでいくことを決めた。太陽も何もないので、方角は分からない。
《直感》に従うのみだ。
最早モンスターどもには俺の姿は見つけられないので、ただただ木の上を走って移動するだけだ。
鍛錬の意味も込めて、たまに地上に降りて、走りながらすれ違いざまにモンスターの首をかっ切っていく。もうあまりレベルは上がらないが、淡々と木の上を走るのも飽きるので、いい気分転換にもなる。
………気分転換が暗殺ってやばいか?
だが実際、モンスターを暗殺するのは気持ちがいい。
相手の弱点は《暗殺》が教えてくれるので、《気配操作》で気配を消して、無銘の剣でグサッ!
あの感触が、病みつきになるのだ。ああ、倒した、という感覚。その経験全てが、俺の糧になる、そんな快感じみた思い。
それにしても、強くなったものだ。自惚れるわけではない。今でも状況によってはモンスターに負けることもあるかもしれない。それでも、この世界に来た当初とは比べ物にならない強さを手に入れた。
いまじゃこの森で俺が勝てないモンスターはいないといっていいだろう。1vs1なら、だが。
多数で来られたらどうなるかは少しわからない部分もある。
一対一で唯一苦戦するとしたら、あのクソ鳥だが、もう倒した。………あれはマジで死ぬかと思ったが。
何となく感慨深いものを感じながら、真っすぐに走り続ける。
ちなみに、速度はもうフェミンキーでもついてこれないほど速くなっている。
モンスターによっては、今の俺にぶつかっただけで死ぬんじゃなかろうか。
しかも、その速度を完全に制御できているのだから、常々遠いところに来たものだと思う。
体力も魔力も相当上がったし、スキルも育った。経験も、吐くほど積んできた。積まされた、とも言う。
一時期は本当に病みかけていたからな。主に睡眠不足で。
あれは本当にきつかった。眠れないことがあんなにもストレスになるとは思ってもみなかった。
当然あんな環境だから、疲弊する。心身ともに。
だが、うとうととしているときに限って、風が吹いたり、モンスターの鳴き声が聞こえたりするのだ。
そうなるともう駄目なのだ。ビクッとして、意識は強制的に覚醒してしまう。
あの時は森が一丸となって俺を襲ってきているんじゃないかと被害妄想までしていた。
まあ、慣れたけれど。人間は慣れる生き物なのだ。それに、モンスターが近づくと起きるようになったから、基本不意打ちの心配はない、はずだ。
あと、どうしても寝たいときは、結界魔法を張ってから寝てる。維持に魔力を食うので、寝るたびに張ることは難しいが、たまにの贅沢だ。
それに最近は、ある程度眠れるようになってきたし、《不眠不休》のスキルのお陰で、ほんのわずかな睡眠で精神もかなり回復する。本当にありがたい。
とうとうと思考を垂れ流しながら、走る、走る。
流れていく景色―――――変わらず只々木があるのみだが――――を横目に、ひたすら走る。
そういえば、無銘の剣もだいぶ強くなった。
壊すと進化するので、何度も何度も圧し折った。
今では、一番最初に会った恐竜みたいなモンスター――――ヴァージャという名前だった――――よりも圧倒的に硬い俺の服を豆腐の様に斬れる。なかなか危ない凶器になったものだ。
あと、地味に便利だったのが、剣の破片だ。剣を壊すと、柄のあたりから修復するのだが、剣身の破片はしばらく残ることが分かった。
しばらく、なので放置していると消えるのだが、それまではれっきとした武器になる。
俺の場合は《暗殺》があるので、破片も貴重な武器だ。このスキル、基本何でも武器になるしな。
飛び道具はやはり便利だが、まさか剣を投げるわけにもいかない。そこで破片の出番だ。他にある飛び道具は石ぐらいだが、石より絶対に強いし、中々俺の戦い方にもあっている武器なので、重宝している。色も黒く、闇に紛れてくれるので、まさに暗殺御用達といえる。
やろうと思っているわけではないが、要人の暗殺とかにもお誂え向きの武器だな。
一定時間で凶器が消えるなんて、警察とかからしたら恐怖でしかないだろう。
まずこの世界に警察はいるのか知らないが。……居なそうだな。
「ここらで休憩するか」
手ごろな木に跳び、安全確保という名の虐殺を済ませる。
《影魔法》の一つに、ものを影の中に収容できるという魔法があったので、重宝している。
スマトートの肉を、影から取り出した。
そう、相変わらずスマトートの肉なのだ。他の肉も試したが、信じがたいことに、こいつの肉が一番マシだった。
フェミンキーの肉は、ただただ臭くて、口に入れた瞬間に吐いてしまう。
無心にスマトートの肉を噛みきる。
コツは、絶対に食事のことを考えないで食べることだ。
食事のたびにそんな修行をしていたら、いつの間にか《無心》というスキルを獲得していた。
ちなみに今は、他に有ったスキル《集中》と融合進化的なのを遂げて、《専心》になっている。
二つのスキルが統合されると、少しステータスが見やすくなって地味に有難い。
森の外を目指す旅は、まだ終わらない。
今回は懐古的な回でした!
遂に森を抜け出そうと走り出した主人公!
さぁ、彼の行く先は明るいものか!
どうぞ見守ってやってください!!
ちょっと内容的に物足りないかなぁと感じたので吐血しながらもう一話投稿(予定)です!
ストックの2万字が、見る見るうちに解けていきます……!orz




