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ミームミール貝

作者: すいみんぶそく

 あるコンピュータウイルスが最近インターネットミームとなっている。

 「ミール貝」

 それがそのウイルスの名前であり、その不可思議さと、ウイルスとは思えない無害さで、ある種ネタのように扱われている。

 そのウイルスはスマートフォンやパソコンと、すべての情報機器に感染するものであり、症状は画面をフリーズさせ、真っ黒な背景に一つのムール貝が大きく映し出されるというものである。再起動すれば治るのだが、しばらくすると、また同じような症状が発生する。

 さらにそれが何度か続くと、ムール貝が二つに増えるようになり、さらにそれが続くと、ムール貝が三つに増えるという。

 ムール貝が増えるというのは噂でしかないが、実際にこのウイルスにかかった人もいるようで、そのウイルスがどうなるのか、噂通りにムール貝が増えるのかを多くの人がエンターテインメントとして観察していた。

 しかし、ある日雲行きが怪しくなる。

 ある男が、五回目の症状が発症したことを発信したときに、ムール貝を「ミール貝」というようになった。

 多くの人がその時は打ち間違いと認識していたが、他の人々も次々と「ミール貝」と言い始めたことにより、誰もが違和感を感じ始める。

 そして、ムール貝が二つに増えたと報告があったとき、それを発信したものが、「部屋の所々にミール貝が見える。」と言ったことにより、多くの人が「ミール貝」というウイルスの恐ろしさを認識するようになった。

 その時すでに、この報告を追っていた者もすでにミ、ムール貝を「ミール貝」というようになっていたのだが。

 そして、三つ目のミール貝が発生したとき、自分が「ミール貝」であると発信者は言い始めた。そこにコメントした者もまた、自分のことを「ミール貝」であると言い始めた。

 もう遅かった。ここを発端に、「ミール貝」は増え続けるだろう。私ももう「ミール貝」かもしれない。

 もう広がり始めているかもしれない。ここにも「ミール貝」があるかもしれない。

 逃れられない。逃れられない。逃れられない逃れられない逃れられない逃れられない逃れられない。逃れられ、逃れられない、逃れら、逃れられな、逃れられない。

 私は、「ミール貝」、だ。


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