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500文字から600文字の日常  作者: マフラー
8/17

♪チャラランチャラランチャラランラン

 真冬の寒い部屋に転がり込むように帰ってきた。本気で、寒い。今日こそ別れようと思っていた男と、やっと別れられたと思ったら終電を過ぎていて、3駅分歩いて帰ってきたのだ。運動量のわりに発熱量が少ないのは、それよりもっと風が冷たかったからだろう。アスファルトから登ってくる冷気に、私の体はすっかり冷えきってしまっている。

 エアコンを最大級のボリュームでつけ、ミルクティを砂糖多目で作って飲んだ。暖かい飲み物は体と心を解してくれる。だけどまだ足りない。まだまだ、寒い。だからお風呂を沸かした。

 ~♪~ なんて素敵な音楽なんだろう。今、私の中で一番の名曲だ。でも難関が待っていた。寒くて服が脱げない。……私は初詣のお賽銭に5万円入れるのと同じくらいの決心をつけて、えいっ! と服を脱いだ。手で湯の具合を見るとちょうど良い。よし、今だ!

「がっ!」

 思わず声が出た。痛い、痛い! 刺されてる! 私今足刺されてる!

 でももう足の裏はバスタブにくっついてて、これ以上動いたら今以上に刺されることはわかっている。だからもう片方の足もゆっくりと刺された。屈んで腕をゆっくりと刺される。そして、お尻を浸けた段階で「うひゃほう」と声が出た。息を詰めながらゆっくりと沈んでいく。お尻が底に付いたとき、「あああああ」と声が出た。

 別れたら、やっぱそれなりに辛いのかな、と思っていたけど、そんなことなかった。

お風呂が沸きました♪の曲ですね。

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