君と瞳に乾杯
バタバタしていたランチが終わり、落ち着きを取り戻した店内はしっちゃかめっちゃかで、テーブルにあるコーヒーカップやらなんやらを片付けた後、ようやく私たちも一息付けた。
「いやー、なんやったんやろね、今日は」
ちょっと目が回りそうな自分がいて、それが面白くてテンションが上がったままの状態だ。突然の団体客の対応は久し振りに全力投球した気分で、悪くはなかった。
PM1:50。そろそろ単品で喫茶を楽しむ人が来る。裏のカーショップの店員がフラリと来るはずだ。私はバイト二人に賄いを作り、一人で店を回していた。
「なんか忙しかったみたいやな」
フラリと入ってきたのは案の定、その店員で、いつも裏口から入ってくることにももう慣れっこになっていた。
「まぁね」と短く言って、彼のためにコーヒーを淹れる。美味しくなぁれ、と心の中で思いながら淹れたコーヒーはどんな味がするのだろう。カウンターテーブルに座った彼に聞くことはいつも躊躇われた。
カチャリ、と控え室の扉が開き、彼女たちが戻った来た。
「あ、店長のコーヒーだ。愛情感じるでしょ?」
そう言われた店員は、黙って私の顔を3秒見てから、「そだな」と肯定した。私はたっぷり3秒かかって赤面した。その私の顔を見て、「旨いよ」と言った。私の心の中を見透かされたようで、戸惑いながらも嬉しかった。
喜美ちゃんと瞳ちゃん、君達には感謝だよ。