新婚
「明日さぁ、鍋しない?」
「お、いいねぃ。じゃあ俺、いつもの酒、買ってくるわ。お前も好きなやつ」
「わかってるやーん。さーすが。あ、水炊きかすき焼きか醤油ベースかどれが良い?」
「うー、どれも捨てがたい……じゃ普通の醤油ベースかな」
「ん、りょーかい」
「ただいまー、ってか、めっちゃ良い匂いやなぁ」
「お帰りー、でっしょー! お義母さんにもらった昆布、ここぞとばかりに使わせていただきました」
「だはは、あれな! めっちゃ良い出汁でるやつな!」
「そそ。で、ちゃんとお義母さんの教えの通り、肉は豚肉でっせ」
「おー、もぅすっかり俺の嫁やな」
「当たり前やん! さ、着替えてき」
「それでは。僭越ながら私がふたを開けさせていただきます。てっててー!」
「……おお……この匂い、懐かしいなあ」
「うふふ、お義母さんに教えてもらったからさ、好きな味とか、あんなことやこんなこと……」
「おい、ちょっと待て、どんなことやて」
「あー、まあそれはそれで置いといて、さ、飲んで飲んで」
「美味しかったー。どうする? この後ご飯でも入れる?」
「もうちょっと飲もーぜ。せっかく買ってきたんやしさ。それに、ここんとこバタバタしてたから、こんなにゆっくりするのも久しぶりっちゅーか、なぁ」
「……それって照れてんの?」
「ばっ……! ん、んなこたねーよ!」
「……はいはい、そう言うことにしといたげるね」