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なにが正義なのか何が正しいのかなんてわかりはしない

 ミシュリーヌの趣味は鍛錬と花の栽培、ガーデニングだ。


 とはいえ今は鉢植えの花を育てるのがせいぜいだけども。


「どうですか王子」


 今ミシュリーヌが育てているのはシクラメンの花だ。


「ああ、すごくきれいに咲いているな」


 ガーデニングというと優雅な趣味のように思われるが植物の状態を見て、水やりや施肥、選定などを的確に行わなければきれいな花を咲かせることはできない。


 彼女は生真面目でそしてコツコツと地道な作業をすることが苦にならないタイプなのだな。


 花はきれいに咲いているのになぜか彼女の表情は浮かない。


「なにか浮かない顔だね。

 なにか心配事でもあるのかな?」


「心配事というか……王子、私達のやっていることは正しいのでしょうか?」


「どうしてそう思ったのだい?」


「我々は反乱軍でいらぬ争いを起こす者と住民が言っていたと聞きまして……」


 私は彼女の言ったことを受けて少しだけ考えそして答えた。


「たしかに我々はある人達にとっては余計な争いを起こすものでしか無いのかもしれない。

 だがそれらの多くは声が大きく腕力があるものか、強いものに自分より弱いものを売り渡しているものだけだ。

 私達は声を上げることができない弱い者たちを救うために戦っている。

 少なくとも私はそう思っているのだがどうだろうか?」


 私の言葉にミシュリーヌはうなずいた。


「そうでした。

 私達は力がすべて声の大きなものがすべてを支配する帝国に抗うために戦っていたのでしたね」


「もっとも人間の多くはより強い力も持つ組織に従うものだからね。

 私達が来る前には色々言っていたものも手のひらを返すように私達を今は支持しているだろう。

 もっとも私達が劣勢になればまた手のひらを返すだろうけど」


「 ではやはり力こそが人を支配できるのでしょうか」


「いや、力のみを信ずる者はそれより大きな力にやぶれる。

 そして力や恐怖で人心をつかむことはできない。

 今は私達だけだが帝国の支配は盤石ではないと気がつけば仲間になろうとするものも増えるだろうさ」


「そう、ですね。

 これからは迷いません」


 実際今は殆どのものは我々を冷ややかに見ていても、我々が戦力や金を多く持つようになればすりよってくる連中もいるだろう。


「さて状況を再確認するか。

 ステータスウインドオープン」


 私がそういうとホログラフのタッチパネルのようなモニターが中空へ現れデータを示した。


 王子シャルル

 王子レベル:3

 マナ量:700

 マナ回路範囲:50

 経験値:200

 所持金:500


 もう一つステージをクリアしたことで経験値と資金が入って成長しているな。


 マナ量が増えればそれだけ楽になるというものだ。


 そして彼女たちのステータスもでてきたのでそちらも眺めてみた。


 カロル

 レアリティランク:R

 クラス:双剣使い:接触しているすべての敵に2回の物理攻撃

 レベル:3

 攻撃力:220+10

 移動速度:50

 攻撃速度:40

 足止め数:2

 必要マナコスト:200

 所持品:分厚い本(攻撃力+10)


 カロルに買ったプレゼントのおかげで彼女の好意が上がった結果攻撃力が上がったようだ


 ミシュリーヌ

 レアリティランク:R

 クラス:大剣使い:単体の敵に物理攻撃

 レベル:3

 攻撃力:1430

 移動速度:30

 攻撃速度:80

 足止め数:1

 必要マナコスト:500


 アナ

 レアリティランク:R

 クラス:鈍足魔法使い:魔法範囲攻撃でダメージを与え鈍足状態にする・飛行ユニットに攻撃できる

 レベル:3

 攻撃力:530

 移動速度:30

 攻撃速度:80

 射程:140

 範囲:120

 必要マナコスト:300


 シュゼット

 レアリティランク:R

 クラス:弩使い:射撃攻撃で単体の敵に物理攻撃・飛行ユニットに攻撃できる

 レベル:3

 攻撃力:730

 移動速度:30

 攻撃速度:60

 射程:210

 範囲:単体

 必要マナコスト:400


 MAP



 道道道道村道道道道

 本空空空空空空空敵

 道道道道村道道道道


「今回は道が二手に分かれている。

 敵も二手に分かれてくるだろう故に、こちらも戦力を2つに分ける。

 左はカロルとシュゼット、右はミシュリーヌとアナ。

 カロルとアナは先に出撃してそれぞれ足止めをしつつミシュリーヌとシュゼットは後から出撃し敵を倒して本拠地のボスを倒してくれ」


 私がそう言うとカロルがうなずいた。


「わかったよ、王子」


 そしてミシュリーヌが疑問を提示した。


「もし敵が片方だけに戦力を集中してきたら?」


「敵の数にもよる、足止めできる人数ならば敵が来ない方から本拠地へ速攻をかけてしまえばいい」


 まあ実際にそんなことはしてこないのだがな。


「わかりました、では参りましょう」


 4人が戦装束をまとい武器を携えれば出撃準備は終わる。


 カロルとアナに魔力回路を接続し、それぞれの戦装束が色彩をまとうと出撃していった。


 今頃は敵の本拠地からゴブリン4匹出てきて2匹ずつ左右に分かれていいるはずだ。


 戦闘マップの左道をカロルが右にマップをアナが敵の本拠地に向けて移動する様子が見える。


「次にシュゼットも魔力回路を接続するぞ」


「わかったのだ」


 私がシュゼットの手の甲に口づけをすると魔力回路が接続されくすんだ灰色だった戦装束が色彩をまと真っ白に染め上げられた。


「よし、シュゼットも出撃だ。

 カロルの後を追ってくれ」


「わかったのだ」


 クロスボウを携えた持ったシュゼットがテテっと走り出しカロルの後を追っていき、ミシュリーヌもアナの方へと出撃していった。


 そしてカロルとアナがそれぞれゴブリンを2匹ずつ足止めをし、シュゼットとミシュリーヌがその攻撃力で蹴散らし敵の本拠地へとたどり着いた。


 そこにいたのはもとは王国の辺境伯であったゲルンハルト。


「なぜ、おまえたち反乱軍は帝国に逆らい平和を乱すのだ?」


 その言葉にミシュリーヌは答える。


「元々平和だった王国を戦乱に巻き込んだのは帝国ではないか。

 そして今でも圧政を敷いて民を苦しめている」


「だが命があればこそだ。

 それでもこの地の平和を乱すというならば戦わねばなるまい」


「ならば参る!」


 ゲルンハルトとミシュリーヌが剣を切り結ぶ。


 彼は決して弱くはなかったがほぼ無敵の防御力を持つ戦装束を身にまとったミシュリーヌに傷をつけることはできずやがて膝をついた。


「くっ、私の負け……だな。

 勝者は敗者を裁く権利がある。

 とどめを刺すがいい」


「ゲルンハルト卿。

 それだけの強さがありながらなぜ帝国に従った。

 命が惜しかったのか?」


「私が帝国に逆らえば見せしめに多くの民が殺されただろう。

 これが一番良いと考えたのだよ。


「ならば死ぬことではなく生き恥をさらし、民に罵られながら、これ以降この土地の生活を良くするために統治に協力してもらおうか」


「私を殺さないのか?」


「ああ、死んで責任を取るなどという綺麗事で済ますつもりはない。

 これから死ぬまで王国のために王子のために尽くせ。

 それが死んだ王や私の父への懺悔と成るだろうさ」


「わかった。

 できる限り力を尽くさせてもらおう」


 そしてミシュリーヌが画面越しに私に言った。


「これでいいのですよね。

 王子?」


「ああ、彼には馬車馬のように働いてもらうとしようか」


 彼が欲のために地位を売り渡したというのでなければ、今後のこの地域は彼に任せてもいいと思う。


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