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魔法王国の消された職の一族  作者: 酒桜香燐
11/12

10話目~醜い魔法~

「少し沁みるかもしれないですよ~」


俺は声のトーンが低いままアルムに話し掛けるトムスを眺めながらグリムに治癒魔法を掛けてもらう。


「俺達がカルマっちの心配してる間にあの女……俺達以外に催眠魔法を掛けて大臣とか周りを傀儡にしてるっす」

「其が何だと言うのだ‼」

「アルムさんの魔法では不向きだから俺に任せてほしいだけっすよ」


トムスがそう言うとアルムはしぶしぶ俺の居る場所に下がって来た。


「さて………よくも俺の大切なカルマっちに怪我を負わせてくれたっすね~」


待って、俺はお前の大切な者ではないのだが!?

てか俺ってお前と出会ったばかりの筈だよね!?


「どうした、お前が私の相手をするのか?其処の女より弱そうなお前がか?」

「取り敢えずはそうっすね~でも俺はそんなに弱くはないっすよ‼」


トムスはそう言うと懐からカードを取り出した。


「貴女は私を呪うだろう………私は貴女を呪うだろう……けれども御互いに嵌まり蠢く毒沼は……罪を飲み混み共に沈んで行く……」


トムスの体が虹色に光ったと思ったらまた黒く光った。


「究極魔法発動……」


トムスの体は教会に居る神父の様に神々しい筈なのに俺にはその姿が黒く見えた。


「色欲『ラブ憎悪アンドヘイト』」


そう言うとトムスの体と敵の女性の体を繋げる鎖が現れた。


「何だ!?この鎖は!?」

「だから言ってるじゃないっすか……『愛と憎悪ラブアンドヘイト』だって………俺の究極魔法っすよ……」

「うっ………何だ!?この気持ち悪さは……」


鎖に繋がれた女性は前のめりに倒れそうになるが体が動かないらしく起立の姿勢で立っていた。


「さて……此れでこの女は動けない筈っすからボコボコにしても良いっすかね?」

「どう……いう……こと……だ……」


苦しそうに呻きながら聞いてくる女性にトムスは語った。


「今、貴女は俺と体が同調してるんですよ……其処でこれっす……」


トムスは神父服のポケットから一丁の銃を取り出した。


「その銃で私を撃ち殺すと?」


案外状況が分かっているのかこの女性は冷静に聞いてきた。

その言葉にトムスは笑いながら言った。


「そんな事はしないっすよ~それにっすね。」

「究極魔法がこの程度な訳ないじゃないっすか……」


そう言うとトムスは銃を自分の頭に突き付けた。

その行動を見たカノンが俺に聞いてくる。


「トムスさんは銃を自分に向けて何をしているのでしょうか?」

「それは……多分だが…トムスが語るだろう……」


俺がカノンそう言うとトムスは相手をからかう様に笑って言った。


「この魔法は、酷く醜い魔法なんっすよ」


相手の女性も情報が欲しいのかトムスに聞く。


「何がどう醜いんだ?」

「先ず、発動条件が難しく酷いんっすよね……」

「その条件とは?」


俺は研究者魂が疼いてしまいトムスに聞く。


「この魔法の発動条件は、術者の反対の性に限られるんっすよ」

「この場合は……女性ってことか……」

「其で~?」


グリムは陽気な感じで続きを促す。


「もう一つの条件が御互いに愛憎と嫌悪を知っている事が条件っすよ……」

「其で『ラブ憎悪アンドヘイト』なのか……」

「そうっすね……其で効果何ですが女性達とカルマっちは目を閉じて欲しいっすね……」


そう言うトムスは哀しそうに笑った。


「分かった」


出会って一日も経っていない筈なのに俺の心がズキリと痛んだ様な気がしたので俺はそう答えた。


「ありがとうっす」


その声が聞こえてから俺は1分間くらい何故か音も聴こえない暗闇にいた様な気がした。


「終わったっすよ~」


声が聴こえ目を開けるとさっきまでトムスと女性の二人を繋いでいた鎖が消えていてトムスが俺に向かって朗らかに笑いかけてきた。


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