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リーヤ/魔具の集い

 武器庫を開け放つと数多くの武具が折り重なるように置かれていた。


 この中にあたしらの武器が埋まってんのか、探すのがめんどくさそうだ。



「私の杖ー? どこー?」



 右往左往しているロゼを横目にシグルドは武具の山から魔剣グラムを即座に探し当てた。



「待たせたな、グラムよ」



 シグルドは愛剣を腰止めに留め、あたしを見る。



「ダーインスレイヴは?」


「待ってろ、今声かけてみっから」



 あたしは心の中でそいつに語りかける。



(おい、ダーインスレイヴのじじい。いたら返事しろ)



 返事はすぐに返ってきた。



 ――嬢か、いつまでもワシを年寄り扱いするでない。



(もう22になった。いつまでも嬢ちゃん扱いしてんじゃねぇぞ)



 ――ふはは、ワシと比べぶれば全てが赤子同然じゃよ。



 こいつ、何故か上機嫌だな。なんでか聞いてみっか。



(なぁ、なんでそんなに機嫌良いんだ?)



 ――なに、懐かしい面々と久々に一堂に介したのでな。年甲斐もなく燥いでしもうた。



(懐かしい面々? 魔剣グラムと魔杖レーヴァテインのことか?)



 ――そうじゃ。それともう2つ。



(もう2つ?)



 ――片方は忌々しい奴じゃったが、なぁに、久々に語ってみりゃ偉く丸くなっておったわ。それが実に滑稽でな。がっはっは。



 やっぱ、いつになく機嫌が良いな。旧知の仲である他の魔具と遭遇できたのがそんなに嬉しいのか。


 しっかし……魔剣と魔杖以外に『2つ』って言ったか?



 この武器庫に他の魔具が眠ってんのか?



「あったぁあああ! レーヴァテイン! 会いたかったよぉ!」



 あんの馬鹿、あたしらが脱走の真っ最中だって忘れてんじゃねぇだろうな?



 ――おい、嬢。



(だからいつまでも……ちっ……んだよ?)



 ――この世界にかつてない危機が迫っておる。



(あ? じじいがそんなこと言うなんて珍しいな。ついにボケたか?)



 ――そんなこと言うなら、もう教えてやらんもん。



(可愛い子ぶんな、気持ちわりぃ! で、かつてない危機だ? 魔導兵器ダモクレス以外にそんなのあんのか?)



 ――準魔剣、というらしいな。



 それはロゼが集めてる代物だ。



 ――あれは危険じゃ。放置しておけば世界を根底から覆す代物ぞ。



(あれについて何か知ってんのか?)



 ――ワシらも詳しくは知らん。ワシらの真似事をした武器だということしかな。ただ、あれは酷く歪な存在じゃ。この世界に残してはおけん。



(あれ、本当にやばい物なんだな……だがあのロゼが集めてる。その点は大丈夫だろ)



 ――時間も有限。なるべく急げよ。それと、嬢よ。



(あ?)



 ――上の武具が重いから早くどかしてくれんか? 腰が折れる。



(お前基本折り畳まれてんじゃねぇか! ったくしょうがねぇなぁ、どこにいんだよ?)



 ――右の方。



(アバウトな指示だな……今掘り起こしてやる、待ってろ)



 ――頼んだぞ。



 ダーインスレイブとの対話を終えて、あたしがそいつを発掘したその時。



「おぉ、こんなとこに眠っとったか。お帰り、我が愛拳たちよ」



 エストがそんなことを言って武具の山に手を突っ込んだ。


 ロゼの様に片っ端から武具をひっくり返すでもなく、シグルド同様、埋まっていた場所から的確にソレを引っ張り出す。



 ――エストが取り出したのは白と黒の『手甲』だった。


 左右で色が違うそれからは、まるで正と負が混ざり合ったような、混沌とした気配を感じる。



「エスト、それがお前の武器なのか?」



 あたしがエストに語りかけると彼女はくるっとこちらを振り向いて手甲を自慢げに見せびらかす。



「おうとも。どうじゃ、格好良いじゃろ?」


「確かにデザインは奇抜で良い感じだが……なんか」


「混沌とした気配を感じる、といったところかの?」



 エストはその手甲を腰からぶら下げるように取り付ける。



「うむ、よい物の見方じゃ。そして実に正しい」


「……お前何者なんだ?」


「まぁそう不思議がるな。わしとお前らが出逢ったのは必然、それで良いではないか」


「なるほどな……」



 つーことは、やっぱその手甲……。



「おっと、時間は限られておる。無駄話はそれくらいにして先を急ごうじゃないか。魔弓使い、リーヤ・ハートネットよ」


「はっ、分かったよ。足引っ張んじゃねぇぞ」


「ふはは! 強気じゃな。そういう奴も大好きじゃ」

 



 ――けたたましい警報音が鳴ったのはその時だった。

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