シグルド/【技能創造】
俺はローザリアを陸に残し、【大地掌握】で作った岩の足場に降り立つ。
少し細いのが気になるが、陸地と遜色ない頑丈な足場だ。これなら問題なく戦える。
「さて、やるか」
俺は細い足場を駆けながら彼方の化物を見据える。
龍だというのに羽は無く、代わりにヒレが大きく発達している。全身も鱗に覆われており生半可な攻撃は通らないだろう。
「ん? あれは……」
見上げると黒くて小さい何かが俺に目掛けて飛んで来ていた。
「矢か? いや、違うな……あれは……鱗か。躱せば良いだけだ」
鱗を飛ばすなど見かけによらず器用な奴だが、当たらなければ問題ない。
俺は飛来する鱗を紙一重で躱す。
するとその鱗は地面に刺さり岩を溶かした。猛毒か? なんにせよ、当たったら終わりだな。
「沢山撃って来なければ良いのだが……はぁ……思う様にはいかないものだ」
黒い斑点が少なくとも二十はこちらに向かって来ている。
この細い足場ではあの弾幕を躱せない。スキルとやらで対処するか。
俺は自分のスキルを頭に思い描く。
【習得スキル】
・魔剣使い
・高速再生
・灰燼
・技能創造
・大地掌握
俺が習得しているこれらのスキルの中でこの状況に的確に対抗できるスキルは無い。少なくとも、現状はな。
では、この場をどう切り抜けるか……簡単なことだ。
無ければ、創ればいい。
「【技能創造】……スキルを生み出すぞ」
俺は念じる、この場に相応しい技能を。猛毒の鱗を防ぐ絶対防御の『盾』を。
「【女神の加護】……顕現せよ、『イージスの楯』」
宙に黄金色の金属板が現れ、その全てを防ぎ切った。
「さぁ、次はこちらの番だ」
ヨルムンガルドまでの距離はおよそ500メートル。
現状遠距離攻撃を仕掛けるスキルは無いが、問題ない。
「【技能創造】……【操風術】。顕現せよ、風の槍よ」
俺は右手に魔力を込め、高密度の風で槍を形作る。
「はぁあっ!!」
槍投げの要領で風の槍を放るとそれは一直線に顔面へと飛んでいき、眉間に着弾。勢いそのままに頭部を突き抜けた。
(……なるほど、効いてるな。頭部が弱点か)
俺は頭部に攻撃を加えるためにヨルムンガルドの体を駆け登る。しかし、体が揺れて登り辛い。
対象を拘束するスキルを創ってみるか。
「【技能創造】……【捕縛術】、【操風術】……顕現せよ、『風の鎖』」
不可視の鎖がヨルムンガンドを捕縛しピタッと動きが制止する。
「組み合わせてみるとこうなるのか……思いつきでやってみるものだな。さて、ここが頭頂部か。先ほどの傷口からなら内部を狙えるな……少々惨いが、悪く思うな」
俺は黒龍の頭部に触れて魔力を練り、炎系最強スキルを詠唱する。
「【灰燼】……爆ぜろ」
直後に轟音と共に黒龍が爆ぜ、燃え散っていく。
「相手が悪かったな。お前が平和を脅かす存在でなければ、こうはならなかったのに」
黒龍ヨルムンガルド、討伐完了。




