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シグルド/壊れた杖

 リーヤを仲間に加えて大陸を北上する俺たち4人。



「いぎゃああああああぁあ!」



 唐突にそんな叫び声を上げたのはローゼリアだった。



「うっせぇぞロゼ!」


「だってだってぇ!!」



 ローゼリアは杖を持っておろおろしている。



「その杖がどうかしたんですか?」


「折れちゃったのぉ!!」



 ほらと言わんばかりに真っ二つに折れた杖を俺たちに見せびらかすローゼリア。


 涙と鼻水で酷い顔になっている。



「酷使し過ぎたんじゃね?」


「大事に使ってたもん! リーヤは知ってるでしょ!? 私が物を大事に使うの!」


「あぁ、軽く引くぐらい知ってる。お前貴族なのに貧乏性だもんな」


「がぶっ!」


「腕を噛もうとすんじゃねぇよ!! 犬か!?」



 そのまま駆けっこを始める2人。


 ……あの2人は放っておこう。



「シグルドさん」



 ロウリィが俺に話しかける。



「ローゼリアさんのあの杖、石化してたの知ってますか?」


「あぁ、以前にカトブレパスという魔物と交戦した際にやられたようだ」


「……やっぱり、そうでしたか」



 ロウリィは視線を落として続ける。



「カトブレパス……私が捕まってた洞窟にいた魔物ですよね。私が捕まらなければ……」


「だとしても、あの杖がああなったのはロウリィのせいではない」


「でも……」



 顔を俯けるその姿がアニエスと重なる。


 だから俺はいつも彼女が落ち込んでいる時に頭に手を置く様にしていた。


 癖の様なものだ。



「気にするな。じきに良い杖が手に入る」


「シグルドさん……有難う御座います」



 頬を赤らめて笑うロウリィ。


 ……この子は助けることが出来て本当に良かった。



「ふぅーたぁーりぃーとぉーもぉー……」



 背後から良くない気配が漂ってくる。


 振り返るとご立腹のローゼリアと腕に歯形を付けたリーヤがいた。



「どうした?」


「どうした? じゃないよ! リーダーが困ってるのにほったらかしってどういうこと!?」



 すかさずリーヤが返す。



「え、リーダーはシグルドじゃないのか?」


「リーダーは私! なんでみんなしてこいつがリーダーだって思うの!? 足りないのは威厳!? そうなの!? だとしたら……へぶっ!?」



 わぁーわぁーしているローゼリアの顔に風で流されてきた1枚のチラシが貼り付く。



「ぷはっ! なにこれ?」



 ローゼリアがそのチラシを凝視し、笑みを浮かべる。



「ふっふっふ、神は私を見捨てなかったようね!」



 泣いて、騒いで、今度は笑って、感情がコロコロと変わる奴だ。


 だから見ていて飽きないのかもな。



「おいお前ら、先に言っとくぞ? ロゼがあんな風に笑う時は大概、良いことが無い」


「みんな何となく気付いてますよ、リーヤさん」


「右に同じだ」



「寄り道決定!」



 ばん、とチラシを広げて俺たちに見せびらかすローゼリア。



「ミルズの町で開催される骨董市に行くよ! 最高級の杖が安く手に入るかも! 場合によっちゃ力づくの奪い合いになるからよろしく」


「ほらな?」



 やれやれと呆れ顔のリーヤ。


 全く、準魔剣を集めるという目的から外れてるが……たまには寄り道も一興か。



【シグルド編】第3章後編……開幕

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