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シグルド/魔剣携えし英雄王

これはもう一人の主人公の物語。

 

「目が覚めた?」



 俺は女性の声で目を覚ました。


 場所はどこかの神殿。目の前にはフードを目深に被った黒いローブの女性。



「誰だ、お前は」



 俺がそう投げかけるとその女性はフードをそっと降ろし、俺を見る。


 若干な幼さを含んだ顔立ちの成人女性だ。見立てでは20歳をいくつも過ぎてない、といったところか。


 

「私はあなたをここに召喚した者」



 澄んだ声で彼女はそう言った。



「召喚だと? ここは一体、どこだ?」


「ここはグリヴァースのミザエルという大陸だよ」



 グリヴァースにミザエル……どちらもオーレリアの地名ではない。


 俺がいた世界とは異なる世界……ということか?



「じゃあ今度は私から質問。あんた名前は?」



 彼女は首を傾げて俺に問う。



「シグルドだ」


「シグルドね、了解。私はローゼリア・C・ステルケンブルク。ローゼリアでいいよ」


「ローゼリア、お前は何者だ?」



「んー、なんて言ったら良いかなぁ? 召喚士みたいなもん?」


「召喚士……童話の中の存在だな」


「それがここにいるんだなー召喚士。さ、シグルド。早速今からあんたの能力値を見るから」


「能力値?」


「うん。腕は体の両脇ね。そうそう、いい感じ。それじゃあ、満を持しまして……」



 息をすっと吸い込んでローゼリアは叫ぶ。



「コール!」



 ぼふん、という音と共に彼女の右手に巻物の様な物が現れた。戦場における伝令書の様にも見受けられる。



「その巻物はなんだ?」


「念写の巻物っていうの。色々な使い方ができるけど今回はあんたの能力を見るために使う」



 ローゼリアが呪文のような物を唱えると無地の巻物に文字が浮かび上がった。



「ふむふむ……んん!?」



 ローゼリアはぎゅっと目を細める。



「なに……これ?」



 俺も一緒になって横から覗く。


 色々なことが書かれていたが目に付いたのは【スキル】と言う記述。


 そこにはこう書かれていた。


【習得スキル】

 ・魔剣使い

 ・高速再生

 ・灰燼

 ・技能創造etc……



「ステータスたかっ!? それにスキルも全部ユニークスキルだし!」



 さらに彼女が注目したのは【灰塵】というスキル。



「これって火属性最強の魔術だよね? え、あんた、もしかして相当ヤバい奴なんじゃ……」


「驚いているところ悪いがローゼリア。俺はなぜこの世界に呼ばれた?」


「え、マイペース過ぎるでしょあんた……世界を救ってもらうためだよ。詳しく話すと長くなるから一先ず装備を生み出そうか」



 ローゼリアは先ほどの念写の巻物を俺に手渡す。



「シグルド、どんな装備が欲しいか念じて。その巻物が念写してくれるから。それがあんたの初期装備になるの」


「なんでもいいのか?」


「うん。何が欲しい? 剣? 槍? それとも弓? 鎧や盾でも良いよ」



 俺は促されるまま巻物を握って念じる。


 やはり剣が欲しい。全てを断ち全てを守る勝利の剣……そんな武器があれば今度こそ……。


 

「……っ!?」



 手に握っていた巻物が突如、中幅で反りの無い長剣に変わった。


 剣の脇に『魔剣グラム』という文字が浮かび上がる。



「魔剣グラム……良い剣だ」


「グラム!? 伝承に伝わる始祖の魔剣!? うわ本物初めて見た……」



 ローゼリアの目がキラキラしだした。


 後で問い詰めた所、売ったらいくらするのだろうかというのを思案していたらしい。おい。



「うん! うんうん! これは期待大だよ! 超絶美人の天才魔導師に相応しい相方ね!」


「ご期待に沿えるよう、尽力しよう」



 俺は魔剣グラムを腰に携え……ようにも留める場所がない。防具が整うまで手に持って歩くか。



「最初から思ってたけど、あんたって堅苦しいねー」


「性分だ」


「もっとこう! 笑顔になりなさい」


「無理矢理頬を上げるな、放せ」



 俺とローゼリアはこの世界の成り立ちなどを話しながら、


 始まりの町『エインヘル』へと向かった。

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