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シズク/リヒテル防衛戦②

 ローゼリア殿がカテゴリーAである魔神アモンと対峙していたその時、私はリヒテルの南側で大軍を相手に奮闘していた。


 戦況はわずかに優勢。このまま押し切れると思っていると、転移門から巨大な魔物出現の気配。



「来ましたかカテゴリーA。被害が拡大する前にこの私が仕留め……えぇっ!?」



 転移門から姿を現したのは『ふんどしの悪魔』でした。


 薄紫の肌に屈強な体躯。そしてふんどし一丁……。


 その悪魔は高らかに名を名乗る。



「我が名はベルフェゴール。四天王第2位に位置し、色欲を司る魔剣の軍勢で最もセクシーな」


「へ、変態だぁああああ!!」


「失敬な!!」



 その悪魔は超絶変態的なポーズをとって私に言う。



「この美を理解できないとは……ふんっ! 人間とは儚くも悲しい生き物よ……ふんっ!!」



 ふんふんと身体を見せつけるような変態的ポーズを繰り返す悪魔。見ているだけでも怖気を振るう。



「そ、そそ、それ以上喋らないで下さい! あと私の視界から消えて下さい!」


「それは出来ん相談よな。我の美しさは……ふんっ! 世の女性、いや、悪魔人間問わず、全ての者を虜にする美しさ……ふんっ! 抑えることなど出来ん」


「ふんふん変な恰好を作るのをやめて下さい! なんですかそれ!? 直視できません!」


「我の美しさを引き立てるポーズよ。一部ではボディビルと表現することもある」


「何でもいいからその恰好と体をてかてかさせるのをやめて下さい! 出なければ今すぐ斬りますよ!?」



 私はベニツバキの妖力を解放した。刀の表面に黒い妖気が纏われる。



「おぉ、なんと美しき禍々しい力よ。それで斬られるなら本望。さぁ一思いにやってくれたまえ。我は全裸待機しようぞ」



 両手を広げて斬られるのを待っている変態悪魔。私は耳に着けた乙式で皆に通信を送り、刀を構える。



「う、うぅ……一体なんなのですかあのトゥルトゥルした表面は……直視したくありませんが……」



 ちらりとベルフェゴールを覗く。てっかてかの肌に日の光が反射して眩しい。そして気持ちが悪い。



「あぁっ! やっぱ無理です! 鳥肌が止まりません!」


「どうした来ないのか? 我は待っているぞ? 早くその美しい刀で我を撫でて気持ち良くしておくれ」


「いやぁあああ!! 絶対嫌です! あなたみたい変質者を斬ったらベニツバキが穢れます!!」


「ふむ、変質者か。それは我が忠義の言葉。さぁもっと罵れ!」


「果てしなく変態ではありませんか!!」


「この際、変態という言葉も甘んじて受けよう。というかもっと言ってくれたまえ。正直堪らない」


「こ、ここ、興奮しているのですか!? これはもう私の手に負えません……!! 増援を待つしか……」



 増援を待つことにした私に変態の悪魔が語りかける。



「しかし、人間の娘がこれほどの禍々しさを持つことが出来るとはな。提案だ。我が弟子となり、共に美を追求しないか?」


「死んでも嫌です!! なんですか美って!? 変態の道の事でしょうか!?」



 私が断るとベルフェゴールは残念そうにこう言う。



「うーむ、それは残念だ。では『その気』になる様にしようか。ハーレムエキス充填!!」


「ハ、ハーレム?」



 ベルフェゴールは謎の呪文を詠唱し始め、先ほどのボディビルとやらの恰好になる。



「食らうが良い! ハーレムショット!!」


「ひゃっ!?」



 ベルフェゴールの体表からぬらぬらとした液が溢れ、次の瞬間それが私の部隊に目掛けて飛んで来た。


 私は間一髪のところで躱せたものの、後ろにいた部隊は被液したようだ。



「皆さんにぬるぬるが!? だ、大丈夫ですか!?」


「え、はい、ぬるぬるしますが特段別に何とも……はっ!?」



 被液した部隊の方々の顔つきががらりと変わり固まる。心なしか目にハートマークが見える。



「え、えっと、どうされたのですか?」


「……お……」


「お?」


「おぉ! 何という美しさ! ベルフェゴール様万歳!!」


「ベルフェゴール様万歳!!」



 被液した全員が一斉にそう言い出した。



「え、えぇ!? い、一体何が!?」


「我がハーレムエキスには浴びた者を我に夢中にさせる効能があるのだ。それによってその者たちは我の虜となった。さぁ、お前もどうだ? 我の虜とならんか?」


「ぜぇったいに嫌です!! 変態についていくなんて考えられません! 今の上司は変態ですけどね!」


「ほぉ、その者も変態か。是非会ってみたいものだな。お前を人質にすれば会わせて貰えるのかな?」



 不意に、がしりと私の肩を掴む感触。



「えっ!?」



 背後の部隊の方々数名が私を取り押さえた。



「ちょっ!? 何をするのですか!?」


「ベルフェゴール様のため……ベルフェゴール様のため」


「め、目が座って!? う、動けない……!?」



 その隙にベルフェゴールは例のいやらしいエキスを私に放った。



「食らうが良い! これでお前も変態教の仲間入りぞ!!」


「いやだぁああああ!!」



 べちゃりと大量のぬるぬるが私に覆いかぶさった。

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