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ホームレスの僕と彼女  作者: つくし
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ダンボールハウスに戻ると入り口に手紙らしきものと毛布、カップ麺などが置いてあった。物を取られることはあっても、物を置いてあることは、ほとんどない。大抵の人は、ホームレスの僕らに近づこうとしない。時々ボランティアの人が手を貸してくれるくらいだ。手紙があるなんて初めてだ。どうせホームレスへの手紙は誹謗中傷だろう。しかしその手紙は、違った。その手紙を読んでみると、ある人の顔が浮かんだ。しばらく会えていない彼女の顔が。無記名だ。しかし内容からして彼女しかありえない。そう確信した。


先日は、助けていただきありがとうございました。おかげで元気に過ごしています。近頃は、忙しく絵を描く余裕がありませんでした。昨日絵を描いたところ助けてくれた澤木優也さんの事を思い出しお手紙を書いています。落ち着いてきたら公園で絵を描きたいと思っています。またお会いできたら絵についてお話ししたいと思います。毛布とカップ麺は、差し入れです。拓人さんとお使いください。



手紙にはそう書かれていた。一生会えないと思っていたから手紙は、嬉しい。拓人さんのところに、毛布とカップ麺を届ける時も多分にやけを抑えきれていなかっただろう。また彼女と会えるんだ。そう思うと嬉しくて日雇いのアルバイトまでの時間久しぶりに絵を描いた。色鉛筆や絵の具なんて持っていない。紙と鉛筆で描く。本当は、水彩画を描きたかったが仕方がない。久しぶりに絵を描いたから下手くそだ。けれど彼女を思い絵を描く時間はとても幸せな物だった。母を亡くし、どん底生活をしていた僕はやっと希望のかけらを見つけられた気がした。


この日から僕は、時間があれば公園で絵を描いて過ごした。少しずつ寒くなってきたが、彼女にまた会えるかもしれない。そう考えるとなぜか心は温まり寒さは、たいして感じなかった。



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