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ホームレスの僕と彼女  作者: つくし
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住む場所もお金も無くなった22歳になる僕。高卒で働き出した会社は倒産し行き場を失った。最愛の母を亡くしてからは、ため息ばかりこぼしていた。

「優也行くぞ!ボーとしてないで」

同じ公園でホームレスやっている拓人さんの声だ。拓人さんはホームレス歴5年になる40歳くらいの先輩だ。拓人さんには、僕がこの公園に来てからだいぶお世話になっている。拓人さんがいなければ僕はとっくに自殺していたかもしれない。拓人さんは、なんでホームレスやってんのか分からないほどお金を持っていて僕に食べ物をお裾分けしてくれる。

「ゴミあさりですか?」

「あーそうだ。行くぞ。」

ホームレスにとってゴミ箱は大切なものだ。古雑誌やDVDなどの売れるものが意外とある。他にも空き缶も1缶2円で売れるし、ゴミあさりは重要だ。だけどやっぱりゴミをあさるのは、周りの目が気になるし、汚ったないし正直好きじゃない。けどなぜか拓人さんは、鼻歌まじりで楽しそうにゴミ箱をひっくり返す。本当不思議な人だ。いや変人だ。



今日はアダルトな雑誌が高く売れたおかげで思っていたより儲かった。拓人さんと段ボールの上でカップ麺をすすりながら思った。ゴミあさりはだいたい拓人さんと朝に行う。午後は日雇いのアルバイトに行くことが多い。今日もビルの清掃の仕事がある。以前やっていたバイトはホームレスになったことでクビになり、日雇いのバイトに行くようになった。



ホームレスになってしんどいと思うことは沢山ある。今は夏だが風呂に入れない。公園の水道で髪を洗ったりはできるが、風呂は近くの銭湯で数日に1回。下手したら週に一度。正直ベタベタして気持ち悪い。あと盗難にも合う。明らかにお金を持っていない見た目だが、カバンや衣類が時々盗まれる。最近は拓人さんのアドバイスで段ボールの陰に縛ったり貼り付けたりして対策しているからマシになったけど。他にもたくさん辛いことがある。



しかしそんなある日僕が前を向いて歩けるきっかけを作ってくれたある人に出会った。その人は、どこか懐かしさを感じさせるような不思議な雰囲気の人だった。



白いワンピースを着た可愛らしい子。ちゃんと見ると大学生とか高校生くらいだと思う。けど童顔だからか少し幼く見える。麦わら帽子を被り公園の隅で絵を描いていた。僕は、その少女を見つけてから目で追ってしまう。美少女ってわけでもない。クラスの中で5番目に可愛いくらいのレベルの子。なのに僕は目が吸い寄せられるような感覚に陥った。あの子は昨日まで見たことない。どこの子だろ?



これは恋なのか。一目惚れってやつなのか。僕にはわからない。



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