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『白き死神の英雄譚』〜How much is your life?〜  作者: 和服座 天六
第1章 『一年生の1学期』
7/7

006 『異端者の扱いと学園の長』

スットク切れました。

更新遅れない様になるかもしれませんが、頑張りますので是非見てください。


それでは

 

 006 『異端者の扱いと学園の長』


「まず君はなんだい?」


 目の前の二十代で銀髪黒瞳を持つ、美人な女。


「なに、とは大雑把で不確かな問いだな」


「それでも私は、私たちは問いたくなってしまう」


「・・・・・・」


「君のあの力の源を、そして先ほどの戦闘は本気なのか否かを」


「力の源、か。その問いに対しては簡単に答えることができる、できてしまう」


「・・・・・・」


「しかし、それを言ってしまえばお前はたぶん自暴自棄になるだろう」


「・・・・・!」


「前にも何人か同じ問いを聞かれ、答えた。

 そして、ほとんどの人間は自殺したり狂人になった。

 自分が目指していたものが、”それ”だと言われ正気を保てる人間は少ない」


「それで、ほとんどと言ったが、そのほとんどの人間はどうなった?」


「ああ、あいつらは俺が殺してやった」


「!!・・・そうか」


「もう一つの問いに関しては、まあ答えてもいいだろう。

 答えは単純明解、全く本気は出していない。

 本来であれば、一発殴るだけであんな人間チリにできた」


「そうか・・・もう一つだけいいかい」


「ああ、お前程度の人間ならまあ、ある程度なら答えてやる」


「そうかい、それじゃあ私は弱いかい?」


「・・・正直に言ってもいいか?」


「そうしてくれるとありがたい」


「じゃあ率直に言って、お前の強さは俺にとって何の障害にもならない」


「・・・・・・・・・そうか、それを聞いて少し希望が持てるよ」


「?」





 あれから俺は、佐藤を殺してしまったことで北山からあれこれ言われたが。

 俺が本気になれば、簡単に殺されるとわかっていてためかあまり時間は取られなかった。

 しかし、学園長とかなんとかいう奴から呼び出された。


 そして冒頭に至る。


「それじゃあ、君の今後について教えてもらってもいいかい?」


「今後、とは。この学園に残るか残らないか、か?」


「ああ、一応聞いておこうと思ってね」


「そうだな、今のところはここにいるつもりだ」


「そう、かい。わかったよ、しかし学期末まではE組担ってしまうけどいいかい?」


「ああ別に、俺からすればお前もE組の連中もあんまり変わらないからな」


「は、ははは、そういわれちゃあ返す言葉がないよ」


 学園長は枯れた笑みをこぼす。

 それはもう諦めの感情しかない微笑み。


「じゃあ俺は失礼する」


「ああ。・・・おっと!ちょっと待って」


「なんだ」


「最後に君の名前を、君の口から聞いてもいいだろうか」


 俺は考える。

 今世で使ってきた名前を名乗るか、白き死神の時に名乗っていた名前にするか。

 そして俺は決める、決意と覚悟を名前に乗せて。


「俺の名前は『零織 刹那』だ。それと、人に名前を聞く時はまず名乗ってからだろう」


 俺の最後の言葉におどけたような態度をとる。


「そうか、零織刹那いい名前だね。それと私の名前は『月夜見 渚』だよ」


「忘れるかもしれんがよろそく頼む、渚」


「ははは、学園長を呼び捨てにするのは君だけだし、許すのも君だけだよ」


 こうして俺は学園長室を後にした。



 * * * * * * * * * *



【学園長 月夜見 渚 seed】


「は〜なんて子なのさ、あんな目をしている子を私は見たことがない」


 初めに彼を見た時、何かやな感じがした。

 入学式の何百人もいる生徒の中で、狂気の様なものをその瞳に宿している少年だった。

 それでも稀にそういう子はいると、父からもいわれていたからほっといてしまった。


「そして次に見た時には、もう遅かった」


 秘書から、闘技場で一年生が決闘しているといわれた。

 珍しいことだったから、監視カメラの映像を生で見ようとして、そして実際に見て強くなった。


「あの鎖を見た時、私は彼に対しての敵意を強制的に抱けない様になった」


 恐怖、畏怖、凶悪、どんな言葉で取り繕っても、やっぱり怖かった。

 あの鎖から出る怨嗟の濃さが、殺意の強さが。


「そして次に見た時に狂いそうになった」


 私は監視カメラの映像を見るのをやめ、しかし気になってもう一度見てしまった。

 もう一度見た時には、彼はもう違う何かになっていた。

 黒かった髪は色素が完全に抜け、白髪になり。

 黒瞳の双眸だったのに、右目に幾何学的な魔法陣が浮かんでいた。


「そして、何かを唱えたと思ったら地面からあの鎌が出た」


 そうあの鎌、カメラ越しにすらしろ感じ覚悟した。

 それほどの死を感じた。

 おそらくあの死の気配に耐えられるのは、七宴家に連なる者か、超絶者と呼ばれる者たちしかいないだろう。

 私は超絶者になる幾つか前の段階に入るが、それでも足りない。


 怖かった。


 今までも恐怖は感じたし、畏怖したこともあった。

 戦場でも超絶者にあった時も。

 でもあの鎌はダメだ。

 そしてあの少年はもっとダメだ。


 あれは”死”そのもの。


 覆ることのない死。

 変わる事のできない死。

 決定された死。

 定められた死。


「そして彼が生徒を殺す時、私は何もできなかった」


 反撃は、できたかもしれない。

 でも私はあの現場にいても何も、何もできないだろう。


「そして直接会って、もう恐怖すら通り越した」


 会った時はいたって正常に会話できた。

 それでも彼には、私の心が丸わかりなのだろうな。


「彼は一体、なんなんだろう」


 それだけが気がかりだ。

 あれほどの力を、私たちに向けてきたらおそらく。


「私たちは––––否、人類は絶滅してしまうだろう」

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