005 『世界への帰還と白き死神』
この話1000字弱くらいです。
駄文ですが、どうぞ。
005 『世界への帰還と白き死神』
あの空間から帰ってみると、そこでは騒ぎが起こっていた。
まあ、死人が出たと思い込んでいれば仕方ないだろう。
だからまあ、騒ぎを止めるか。
「黙れ」
俺の言葉には言霊が宿り、闘技場にいる人間全てに重圧を与えた。
重圧というのはいささか優しすぎるか、所謂殺意を与えた。
それも死と生を司る神の殺意だ、本気ではないにしろ動けなくなるのは必然。
本気の殺意ならば、生半可な精神を持つ人間なら死んでしまう。
「黙って、席に戻れ」
俺は”命令”する。
生徒も先生も関係なく、命令する。
生物は、俺の命令を聞いてしまう。
死の恐怖に怯えて。
「さあ、決闘を終わらせようか」
俺は静かになった観客たちに、審判の先生に、そして戦っていた佐藤にいう。
「あまり長くやっても仕方ない、少し力を使おう」
俺は、あ然としている佐藤も、驚愕している北山先生も無視して告げる。
『死』という、絶対的な死亡通告を。
「我、白き死神なり。死と生を司る神なり。発現せよ『死神の大鎌』」
俺は右腕を真横にあげる。
すると、足元が黒く変色し始め。
大きな渦を作り、そこから大きな鎌が出現する。
漆黒の大鎌は2メートルはあり、柄には数多の黒い鎖が巻き付いている。
名を死神の大鎌”デスサイズ”ともいう。
「さあ、始めよう。」
俺は、大鎌を体全体を使って回す。
そして次第に速度を上げ、軽い竜巻を起こしながら問う。
「君の命はいくらだい?」
と、言葉と同時に鎌をピシャリと停止し。
暴風が収まり、静かな時が流れる。
「う〜ん、大体の人間はこう言うという問いを受けると無言になってしまうから、俺は使わないんだよね」
彼は、なんでこの言葉を口癖にしていたのだろう。
いつかわかる時が、来るといいな。
「さてさて、じゃあ始めよう」
うん、やっぱりこっちの方がしっくりくるな。
「鏖殺を、虐殺を、殺戮を、死という死を与えよう」
鎌を回し、竜巻を起こし。
生者を死者へと還す。
「さあ、始めよう」
刹那、佐藤の首と胴体は分断され、腰と足が離れた。
血すら出ず、本人すら”死”を認識できない。
疾さ。
それは全てを凌駕し、超絶する。
俺が求めた一つの極地。
「人間は脆くか弱い。だから、期待したのかな」
俺は少し前までの自分を振り返る。
目の前の肢体に目もくれず。
「期待して絶望した、何度も繰り返した何度も」
それも終わりにしよう。
「俺は白き死神」
全てを帰結させ解離させる。
「生という呪縛から、生という鎖を」
だから、始めよう。
「この世に死と生をあたえ、より良くしよう」
もう人間に期待はしない。
それなら、俺が作ろう理想の世界を。
「さあ、始めよう」
世界と愉快なダンスを踊りに。
いかがですか。
それでは